ヤオコーが川越的場店でもネットスーパーをスタート、改めて「ネットスーパー」を考える
2022.04.12
2020.08.15
約1万品目を最短4時間で届ける
ヤオコーは8月27日からYAOKO ネットスーパー川越的場店を開業、ネットスーパーサービスを開始すると発表した。同社のネットスーパーは、三芳藤久保店(三芳町)、志木宗岡店(志木市)、上福岡駒林店(ふじみ野市)、川越南古谷店(川越市)、川越今福店(川越市)、川越山田店(川越市)に続いて7店舗目。
ヤオコーのネットスーパーは、店舗で販売する商品のうち、支持の高い商品を中心に約1万品目を取り扱い、最短4時間で届けるサービス。チラシ商品に加え、生鮮食品や日配食品、加工食品、デリカ(惣菜、寿司、ベーカリー)商品も品揃えする。
また、妊娠中や小さな子供がいて忙しいお客に向けて「子育て特集」のページを用意し、「子育てで忙しい」「昼間は働いている」「重たいに荷物を運んで欲しい」など、日ごろ買物を楽しむ十分な時間を持てない人にも「ヤオコーのおいしさをもっと身近に、もっと便利に楽しんでいただくこと」をモットーに、サービスを提供している。
注文は配送日の2日前から当日の配送開始時間の4時間前まで可能で、24時間365日受け付ける。なお、開業セール開催時および災害発生時などには、注文締切時間、配送時間に変更が生じる場合がある。
配送時間は13時~15時、17時30分~19時30分の1日2 便から指定が可能だが、営業日によって注文締切時間や配送時間帯が異なる場合がある他、ネットスーパーの配送日は店舗の営業日と異なる場合がある。
配送料は1回の注文につき100 円(本体価格、以下同)。ただし、月ごとの購入回数が5回までは1回の注文ごとに100円の配送料だが、6回目以降の配送料は無料となる。また、1回当たりの買上金額が2000円未満の場合は100円の追加サービス料がかかる。
決済方法はクレジットカードの他、スマホの後払い決済(コンビニ、口座振替)のatone(アトネ)に対応。ネットスーパーでもヤオコーカードポイントをためることができる他、ネットスーパー限定「使うほどプラス」のサービスとして、毎月1日~末日の期間におけるネットスーパーの利用回数に応じて、ヤオコーカードポイントをプレゼントする。
商圏シェア向上戦略とネットスーパー
少しずつ店舗数を増やしているヤオコーのネットスーパーだが、ポイントは「店舗を起点としている店舗型」である点、「配送料を基本的に有料」としている点などにあるといえそうだ。
これまでの店舗の対象エリアとの関係を見ると、まさに「対応エリアをつなぐ」ような形で拡大していることが分かる。ヤオコーは「商圏内全住民のカスタマー化(カスタマー創造)」を目指し、商圏内でのシェア向上を図ることを戦略としている。
多店舗化を進め、単店では小商圏化を進めながら、それぞれの商圏内でのシェアを高めるというチェーンストアのドミナント戦略にもつながるこの戦略は、人口減に突入し、商圏を拡大することが難しくなっている日本では、以前にも増して重要な戦略になっている。
実際、同社は「商圏シェア」として既存店1㎞商圏の来店率と月間来店回数をKPI(重要業績評価指標)としている。ちなみに直近の2020年3月期末の数値では、来店率は前期比1.9ポイント増の57.9%、月間来店回数は同0.2回増の6.8回となっている。店舗を起点としながら店舗と同じ商品をネットで届けることは、この商圏シェア向上にとっても大きな意義ある取り組みとなる。
ヤオコーがネットスーパーを展開しているエリア内には、すでに多くの店が出店している。その中の拠点となる店舗でサービスを開始することで、リアル店舗だけでなく、ネットスーパーも加えた形で、サービスでお客のより多くの購買シーンで利用してもらえる可能性が高まる。
お客はそのときの状態に応じて、リアル店舗、ネットを選ぶことができるようになるため、以前は他のチャネルに流れていたかもしれない買物を取り込むことができるかもしれない。結果としてヤオコーが目指す「全住民カスタマー化」に近づくことができるというストーリーである。
もちろん、ネットスーパーには長らく採算性の問題が横たわってきたことも確かだろう。通常、お客が自ら来店して商品をピックアップし、自ら持って帰るというリアル店舗での買物行動に対して、ネットスーパーの場合、商品をピックアップし、配送する作業が店側に移転されるから通常の売価では採算が悪化するのは当然のことといえる。
もちろん、ヤオコーとしても、「ネットスーパーとしても収益が確保できる状態にしていきたい」(同社)ことは確かで、その意味では配送料を基本的に有料としていることには大きな意味がある。
ライフコーポレーションはアマゾンとの取り組みを拡大
ヤオコーと業務提携関係にあるライフコーポレーションは、自前の店舗型のネットスーパーを手掛けると共に、アマゾンジャパンのAmazonプライム会員向けサービスの「Prime Now(プライムナウ)」で、店舗で取り扱っている生鮮食品や惣菜を販売する取り組みを19 年9月12日から東京の一部地域で開始。
今年7月14日には東京都の4市(狛江市、調布市、三鷹市、武蔵野市、一部地域除く)が新たに加わり、東京23区と4市が配送対象エリアとなった。7月16日からは大阪市の16 区(一部地域除く)を対象エリアに加え、近畿圏でのサービスも開始するなど、自前のネットスーパーの拡大にはやや慎重な方針であるのに対し、こちらは積極的にサービスの拡大を図っている。
採算性などその在り方について長らく議論が続いてきたネットスーパーだが、シェア確保のためには重要な打ち手になることは確かだろう。採算性やその運営法など、より適切な方法が常に模索されてきたが、企業ごと、次第にその方法が明確になりつつあるようだ。
YAOKOネットスーパーの概要
URL/https://www.ns.yaoko-net.com/
サービス開始の日程/8月13日注文受付開始、8月27日商品配送スタート
利用可能エリア/川越市…的場新町、伊勢原町、霞ヶ関北、的場北、的場(入間川より北側エリア)、霞ヶ関東、大字吉田、笠幡、吉田新町、上戸新町、上戸、川鶴、かすみ野、かわつる三芳野、天沼新田、鯨井新田、安比奈新田(入間川より北側エリア)
鶴ヶ島市…太田ヶ谷、南町、柳戸町、鶴ヶ島、松ケ丘
取扱商品・品目数/生鮮食品(精肉、鮮魚、青果、花)、日配食品、加工食品、酒、住居商品、惣菜、寿司、ベーカリーなど約1万品目