イオン「次世代ネットスーパー」着々、新会社がセンター建設用地取得の予約契約締結

2020.08.19

更新:2020.08.21

イオンは、昨年11月、イギリスのネットスーパー専業企業Ocado Group plc(オカド)の子会社Ocado Solutionsと日本国内における独占パートナーシップ契約を締結。

同年12月にはイオンネクスト準備を設立し、2023年に最先端のAI(人工知能)およびロボティクス機能を導入した日本初の最先端の顧客フルフィルメント・センター(中央集約型倉庫、CFC)建設と「次世代ネットスーパー」事業の本格稼働を目指し、準備を進めてきた。そして今年8月19日、イオンネクストは、千葉市緑区誉田町に国内初となるCFC建設予定用地の取得に関する予約契約をエム・ケーと締結するに至った。

CFCはセンター内に約5万品目の商品を品揃えすることができ、 さらにロボットとAIによる24時間稼働や効率的なピックアップにより、安定的な供給力を誇る。Ocadoのソリューションを活用することで、CFC内のロボットは50点の商品を約6分間で処理することが可能だという。

また、最先端のAIアルゴリズムを用いて、常に最適な配送ルートを特定することができることから、最も効率よくお客に商品を届けることが可能になるとしている。

今回、建設するCFCの建築面積は2万7500㎡。千葉県および首都圏を対象に生鮮食品を含む暮らしの必需品を中心に、オンラインでお客から注文を受けて宅配するサービスを提供する。

今回建設予定のCFCはイオンネクスト第1号の大型自動倉庫として、日本事業のモデルとなる。23年の事業開始時には、千葉県で約700人程度の雇用を計画。

同社としては、「『いつでも、どこでも』お届けする」というミッション達成に向け、今後数年内に同様の施設の建設を計画しているという。

オカドはネットスーパーのノウハウや技術を他社に提供

2000年に設立されたオカドは店舗を持たず、オンラインで食品などの注文を受け、お客にお届けするサービスを提供。CFCと精緻な宅配システムを独自に確立したことが強みだ。

本国イギリスでは生鮮食品を含む5万5000SKUを取り扱い、持続的な成長と長期的な収益性も担保できているという。昨年11月の提携発表の際には、イギリスで1週間に35万軒の配達を実施しているとしていた。配達は100%の精度ではないものの、1時間単位で選択可能。昨年8月からはイギリスでの事業を大手小売業のマークス&スペンサーとの合弁会社が行う態勢になっている。

また、そのノウハウや技術をもとに、Ocado Smart Platform(OSP)と名付けられたシステムを構築し、14年以降、他国を含むパートナーと提携しながら世界中の小売業者にOPSを提供。イギリスのモリソンズを皮切りに、スペイン・カタルーニャのボンプレウ、フランスのグループ・カジノ、カナダのソビーズ、スウェーデンのICA、アメリカのクローガー、オーストラリアのコールズと提携先を増加させてきた。イオンとの提携もその延長線上にある。

イオンは中期経営計画の柱としてデジタルシフトを推進している。オカドとの協業を通じて、「お客さま第一」の理念に沿った新しいプラットフォームの構築を追求することでお客の利便性向上に貢献すると共に、日本のネットスーパーの中でも最も支持されるサービスの確立を目指すとしている。

昨年11月、提携を発表する記者会見に臨んだメンバー。左から岡田氏、ルパーニ氏、吉田氏、ティム・スタイナーOcado Group plc、ルーク・ジェンセンOcado SolutionsCEO
CFCで仕分けを行うロボットは50個の製品を約6分でピッキングできる。センターでの仕分けを全てロボットが行うことも、オカドの強みの1つ

イオンの岡田元也会長は11月の提携発表の際(当時社長)、「オカド社がパートナーシップを結ぶグローバルな小売業とも競い合いながら、イオンとしてはぜひとも、その中でナンバーワンになりたい。それを通じてイオン自体の大きな(デジタル)シフトを可能にしていきたい」と期待を示していた。

オカドは2000人以上の技術者を擁し、フロントエンドだけではなく、サプライチェーン、オートメーション、ロボティクスなど新技術の開発に努めるなど、まさにデジタル戦略に長けた存在でもある。

イオンネクスト準備の代表取締役に就任したバラット・ルパーニ氏は昨年11月の提携発表の記者会見(当時イオンネットスーパー事業リーダー)で、「今回、重視しているのは直感的なユーザーインターフェース。日本のお客さまにカスタマイズされた使い勝手の良いもので、いつでも、どこでも利便性が提供され、時間と労力が節約できる他、感動と発見も与える。さらに注文内容も柔軟に変更できるといったものだ」と語った。

また、イオンの吉田昭夫社長も同じ記者会見(当時副社長)で、「商品を選んでから精算するまでの時間はかなり短縮されている。AIのレコメンド機能などもあり、選ぶ時間を少なくする機能も入っている」とオカドの強みを強調。「時間価値がネットスーパーの大きなポイントになってくる」(同)としていた。

既存店舗型のネットスーパー、リアル店舗の資産をどう生かすか

イオンとしては、次世代ネットスーパーの事業規模を30年までに年間売上高6000億円まで高める計画で、さらにその段階では黒字化も視野に入れている。

もちろん、当面は現在の強みであるオフラインについて事業構造改革を進め、さらに存在感を高めていくが、同時にオンラインについてはこの次世代ネットスーパーを主軸として、こちらでも存在感を高めていきたいとしている。いわば、イオンのDX(デジタルトランスフォーメーション)の中心的な存在として位置付けられる重要な事業となる。

ルパーニ氏は、昨年11月の会見で、「ネットスーパー市場は今の1.7兆円から30年には3兆円に伸びるといわれているが、われわれはその中でマーケットシェア20%(6000億円)を目指し、日本における強固なプレゼンスを打ち立てたい。イオンは日本におけるナンバーワンネットスーパーを目指す」とも語っていた。

なお、今回の「次世代ネットスーパー」はセンター型のネットスーパーだが、主要事業会社のイオンリテールでは現在、店舗でのピックアップによるネットスーパーを手掛けている他、グループ企業には独自に店舗型のネットスーパーを手掛けているケースもある。これらは事業開始を契機にまとめていく意向だ。

今後は、現在の強みでもある「リアルの強みを生かした」展開が鍵となる他、いかにして事業を1つにまとめていくかが焦点となる。

ただし、23年予定の「次世代ネットスーパー」のスタート後も既存ネットネットスーパーは並走させ、商圏に応じて統合などしていくとみられ、現在も存在する店舗型のネットスーパーについてもOPSの技術を部分的に生かしながら、イオンとしての最適な方向を追求していくことになるだろう。特に商圏人口の少なさなど、効率の面でCFCがカバーできないような地域では、店舗を材居拠点とした店舗型のネットスーパー、あるいは宅配ではなく店舗などで商品を受け取る「クリック&コレクト」といったモデルの活用も検討課題となる。

イオンネクスト準備概要

設立日/2019年12月20日

本社所在地/千葉県千葉市美浜区中瀬1-5-1

代表取締役/バラット・ルパーニ

事業内容/暮らしの必需品を中心に、 オンラインで顧客から注文を受けて宅配するオンライン・スーパーマーケットの運営

出資比率/イオン100%

千葉誉田物件概要

所在地/千葉県千葉市緑区誉田町2-22-3他

建築面積/2万7500㎡(約8318坪)

延べ床面積/4万3070㎡(約1万3027坪)

予約締結日/2020年8月19日

締結先/エム・ケー

※千葉誉田物件は、エム・ケーが千葉市より産業用地整備支援事業の認定を受け、官民連携による産業用地整備を実施している。

着工予定/2021年春

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