無人決済店舗TOUCH TO GOを紀ノ國屋が初展開、目白駅改札外に「KINOKUNIYA Sutto」オープン

2020.10.21

東日本旅客鉄道(JR東日本)完全子会社の紀ノ國屋は10月16日、無人決済システムの開発を進める株式会社TOUCH TO GO(タッチ・トゥ・ゴー、TTG)が開発した無人決済システムの外部導入第1号店として、KINOKUNIYA Sutto(キノクニヤスット)目白駅店をJR山手線の目白駅改札外にオープンした。

同じ場所で展開していたKINOKUNIYA entrée(キノクニヤアントレ) 目白駅店をリニューアルする形でオープン。紀ノ国屋としは初の無人決済小型スーパーマーケットの展開となる。

売場はわずか約12坪。左手のゲートから入り、ワンウエーで回り、右手のレーンで決済して店を出る

「キノクニヤスット」は「スッと寄るだけで楽しい紀ノ国屋」をコンセプトとした新フォーマットとなるが、その前提には今回のTTGの無人決済システムを導入したことがある。

TTGの無人決済システムは、天井に設置されたカメラの情報や陳列棚に設置された重量センサーなどが入店したお客と手に取った商品をリアルタイムに認識。商品を持ったお客が決済エリアに立つとタッチパネルに商品と購入金額が表示され、お客は表示内容を確認して支払いをすることで買物が完結する仕組み。

従来の店と比べて、①商品スキャンが不要、②対面無人で商品の識別と決済が可能、さらに③お客の対応を遠隔のコールセンターで一括対応する点などがメリットとなる。

無人決済ということで接触を避けられることから、新型コロナウイルス対応につながる店といえるが、実際は新型コロナの問題が発生する前から検討していたという。今回の目白駅の第1号店での検証を踏まえ、今後の拡大などの方針を決めていく。

TTGはJR東日本100%子会社のJR東日本スタートアップと、金融向けシステムコンサルティングやAIを活用した製品・サービスの開発・販売を手掛けるサインポストが共同出資し、昨年7月1日に設立。3月14日にJR高輪ゲートウェイ駅の2階、改札内のスペースに無人決済店舗の第1号店として直営店の「TOUCH TO GO」を開業している。

当初からシステムを外部にソリューションとして提供していく意向を示していたが、前述のとおり、今回のキノクニヤスット目白駅店が外部導入の第1号店となった。背景には、同じJR東日本グループの企業ということもあった。

カメラ台数の削減や省スペース化など精度向上の成果生かす

目白駅店の売場面積は約12坪で、これは紀ノ國屋の店舗として最小規模。アイテム数は530でこれも同社最少規模になる。

陳列棚に商品を取ったことを感知するための重量センサーもあるため、陳列としては什器の設置や棚の内部に収めるなど制約があり、突き出し陳列などの売り込みはできない半面、紀ノ國屋としてはTTGの無人決済システムの導入によって忙しい朝や時間のない移動の合間でも、商品を手に取った瞬間に判別し、一瞬で会計を済ませることのできる利便性と省人化による店舗オペレーションコストの低減に期待を寄せる。

実際、人員としては、リニューアル前は2、3人で運営していたが、今回のキノクニヤスットは1人で運営できるようになった。

こうしたオペレーション面での負荷低減もあって、紀ノ國屋の堤口貴子社長は「いままで出店してこられなかったところ、お断りさせていただいたところもあるので、そういうところにも出店できるようになるかもしれない」との認識を示す。

また、今回の新型コロナによる買物に対する意識の変化もあって、TTGのシステム導入に対する「問い合わせが増えた」(阿久津智紀・株式会社TOUCH TO GO社長)。「いままで一等地だった首都圏が(消費が、)落ちたので、そこからの話が多い」(同)という。

入店に際してはゲートを通る。近づくと自動的にゲートが開く。入店の前にアプリなどの事前登録の必要はなく、個人認証もしない。この点がレジレス店舗の米国のアマゾンゴーとの大きな違い
店内に入ったら、買う商品を手に取るだけ。持参したバッグなどに入れてもよい。天井のカメラのセンサーと棚の重量センサーが人と商品の動きを捉える
ワインやビール、酎ハイなど酒も品揃えする。これも同様に手に取るだけ。決済時に年齢確認がある

3月にオープンした高輪ゲートウェイでの運営によって、次第にカメラなどのセンサーの精度が上がってきていることもプラスの材料となっている。

売場が約18坪の高輪ゲートウェイの店では天井のカメラの設置台数は約50台だったが、画角の見え方や認識精度を向上させたことで、今回は売場が約12坪に対してカメラが30台と面積当たりでも減らすことができた。また、3月の段階では決済は交通系電子マネーのみの対応だったが、今回はオープン時からクレジットカードにも対応。決済の設備も簡素化し、より省スペース化を図っている。

また、今回の目白駅店では高輪ゲートウェイと同程度、同時に7人まで入店できる想定にしている。今後の出店に当たっては、こうした成果をそのまま水平展開できる。

決済のレーンは高輪ゲートウェイと同様、2レーン設置しているが、設備を簡素化し、より省スペース化を図っている
レーンの前の決済エリアに立つと手に取った商品が表示される。確認し、決済に進む
酒を買った際の年齢確認。これをバックヤードの従業員がカメラを通じて確認する
レジ袋が必要か否かなどの確認の後、決済手段を選択。今回は当初からクレジットカードに対応している

当初からシステムの外部提供に当たっては、月額のサブスクリプションでの提供を想定していたが、現状は面積などによって月額50万~80万円の水準。TTGとしてはもう少し下げたいところで、精度の向上などによる設備面のコストダウンと運営の標準化に取り組んでいる。その点、高輪ゲートウェイで半年あまり運営したことで、「コストダウンに向けての確度が上がっている」(阿久津社長)という。

また、運営面での大きな強みが、既存設備を変更することなく導入が可能であると同時に、アップデートなどの際に設備の入れ替えを必要としない点がある。「われわれは持っているデータに対して上位でアルゴリズムをつくっている。そこが変わったら配信すればよいだけで、そのたびにハードの入れ替えなどをしなくてよい」と阿久津社長は、その強みを強調する。

すでに幾つかの計画が動いており、年度内にはTTGの無人決済システムを導入した店が数カ所オープンする予定だ。

約12坪と狭いが、紀ノ国屋オリジナルの弁当など惣菜の他、飲料、パン、菓子など約530アイテムを品揃え

KINOKUNIYA Sutto目白駅店

所在地/東京都豊島区目白3-3-1目白駅構内(改札外)

オープン日/2020年10月16日

売場面積/約40㎡(約12坪)

営業時間/平日8時~20時、土日祝8時~19時(変更となる場合あり)

決済方法/交通系IC、クレジットカードに対応

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