ファミリーマートが植物工場で栽培された野菜を全国約1万6000店規模で展開、「今後は新たな商品開発も」

2022.04.21

2020.08.31

ファミリーマートは、レスターホールディングス(HD)と子会社で植物工場事業を行うバイテックベジタブルファクトリー(VVF)と協業し、植物工場で栽培された野菜をファミリーマート商品に導入し、全国の約1万6000店規模で展開する。今後は新たに商品の共同開発にも取り組む。

ファミリーマートでは、2015年4月から植物工場で栽培された野菜を中食商品に導入している。年々展開地域を拡大し、20年11月までに北海道・沖縄県を除く全国約1万6000店にまで展開を拡大予定。ファミリーマートの植物工場栽培の野菜の使用量は、導入当初と比較して約60倍となっているという今後も従来の露地栽培の野菜と組み合わせながら、植物工場で栽培された野菜の使用を拡大していく。

安定供給と農薬不使用のアドバンテージを生かす

植物工場の野菜は、閉鎖された環境で栽培を行うため、天候や災害による影響を受けにくく、一年を通して安定した供給が可能となる。また、虫がつかないため農薬を使用する必要がなく、安全・安心であることも特徴。さらに野菜の洗浄などの手間も少なく済むため、省力化、省資源化にもつながる。捨てる部分が少ないことからフードロスも最小限に抑えられ、環境負荷も軽減できる。

レスターHDおよびVVFは、国内最大規模の完全閉鎖型植物工場を全国に5カ所(秋田県鹿角・大館、石川県七尾・中能登、鹿児島県薩摩川内)擁し、全ての工場において食の安全と持続可能な生産活動を実行する優良企業に与えられる世界共通ブランドGLOBALG.A.P.を取得している。

工場運営に当たっては自治体や地元農家をはじめ主婦層、高齢者にも参画を促し、地元農業との共存、地域貢献、地域雇用創出を目指している。

昨今では、スーパーマーケットでも工場野菜の取り扱いは次第に広がりを見せている。企業によっては、コーナー化してアピールしながら販売する企業もある。

また、今年2月には西友がテナントとして植物工場を導入する取り組みを開始。植物工場に関する研究開発、コンサルティング業務の他、農業資材の販売、卸売業務、農産物の販売、卸売業務など手掛けるプランツラボラトリーと協働し、大型店である上福岡店の3階のテナント区画部分の150㎡(約45坪)のスペースに水耕栽培装置を備えた植物工場を設置。工場内でグリーンリーフを種から収穫まで育て、包装、さらに販売まで行っている。

さまざまな切り口で広がりを見せる工場栽培の野菜。今後、安定供給や農薬を使う必要がないというアドバンテージを生かしつつ、商品構成的な補完という意味でもより大きな意味を持ってきそうだ。

ファミリーマートとレスターHDおよびVVFとしては、今後も植物工場で栽培された野菜の普及に向け協業していくとしている。

VVFの植物工場で栽培されたグリーンリーフを使用した「フレッシュ野菜サラダ」(151円、本体価格、以下同)、沖縄県を除く全国で販売。キャベツ、グリーンリーフ、コーンなどの野菜を使用したシンプルなサラダ。ドレッシング別売り
同様にグリーンリーフを使用した「ミックスサンド」(238円)。関東、中部、関西地区で販売。ハム卵、ハムチーズレタス、ビネガーやブイヨンで味付けしたツナサラダを組み合わせたサンドイッチ

お役立ち資料データ

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…

  • 2023年 上半期 注目店スタディ

    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …

  • 有力チェーントップ10人が語る「ニューノーマル時代のスーパーマーケット経営論」

    有力スーパーマーケットチェーンの経営者10人にリテール総合研究所所長の竹下がインタビューを実施し、そのエッセンスをまとめています。 インタビューを通じ、日本を代表する有力トップマネジメントのリアルな考えを知ることができ、現在の経営課題の主要テーマを網羅する内容となっています。 変化する経営環境において、各トップマネジメントによる現状整理と方向性を改めて振り返ることは、これからの新しいスーパーマーケットの在り方形を模索する上でも業界にとって大変有用と考えます。 ぜひ、今後のスーパーマーケット業界を考える材料としてご活用ください。 ■掲載インタビュー一覧 ライフコーポレーション 岩崎高治社長 ヨー…