記録的な猛暑でウェザーMDにも変化の兆し? True Dataが改めて気温と売上げの関係性を発表

2024.07.17

True Dataは、スーパーマーケット(SM)の統計化した購買データと気象データを掛け合わせ、「菓子類」「飲料(アルコール類を除く)」「惣菜」の売れ行きと気温の関係性の調査結果を発表した。

調査結果は同社所属の流通気象コンサルタントで気象予報士の常盤勝美氏が監修の上、気温の上昇、下降と売上げの関係を、相関係数(関係性の強さを示す指標)を使って可視化した。

日本の平均気温は昨年、観測史上最高となったが、今年の夏もすでに記録的な高温が続いている。結果として、これまでの「何月に売れるもの」「秋に売れるもの」といった季節の常識と、「実際に売れるもの」の間にずれが生じるケースが発生していると考えられ、同社としても、気温変化に対する消費者のニーズを把握することの重要性が高まっているとしている。

調査に当たっては、SMにおける購買情報を基に統計化した週別の購入個数を購買データとして使用。また、気象データは各週(7日間)の最高気温の平均値を使用した。

相関係数は「0.5以上」の場合、気温との関係性が強いといわれる。値自体は-1~1の範囲に収まり、0に近いほど2者の関係性が弱く、1(逆相関であれば-1)に近いほど関係性が強いことを示す。

菓子類

菓子類で最も気温の上昇と売上げの関係性が強いカテゴリーは、「ファミリーアイス」(箱入りなどのアイス)だった。単品の「パーソナルアイス」も強い関係性を示す。

「プレミアムアイス」(乳脂肪分の高いアイス)はクリスマスや年末年始など、冬に人が集まるタイミングで売上げが上昇することなどが影響し、アイスクリーム類の中では気温上昇との関係が弱いという結果になった。

冷たいゼリーやプリンなどの「デザート類」も気温上昇に伴って売上げが伸びる傾向にある。反対に、気温の低下と関係性が強いのは「チョコレート」「米菓」「ビスケット・クッキー」など。

常盤氏のコメントは次のとおり。「菓子類の中でも、気温が高いときは、身体を冷やす目的で、冷蔵庫や冷凍庫で冷やして食べるものが好まれます。アイスやデザート類はその典型です。ただアイスの中でも、乳脂肪分の高さによって、気温との関係性が異なります。一方気温が低いときは、身体を温める目的で、体内産熱につながる甘味の強いものや、熱いお茶と一緒に食べることが多い米菓などの和菓子が好まれます」

菓子類カテゴリーの相関係数(暑さとの関係性が強い順)

気温上昇に伴って売れるアイスはクールダウン&水分補給

SMでの単品のアイスクリーム類(同社カテゴリー「パーソナルアイスその他」と「プレミアムアイス」)について、購入個数上位20商品の相関係数を調査した結果、最も気温上昇と関係性が強いのは、クールダウンと水分補給が素早くできる「アイスボックスグレープフルーツ135㎖」だった。「クーリッシュバニラ140㎖」「パピコチョココーヒー80㎖×2」など、氷入りでシャリシャリとした食感の商品も高い相関係数を示した。

チョコレート入りや濃厚な味わいのアイスは気温上昇との関係性が弱くなり、冬のイメージがある「雪見だいふく」の相関係数はマイナス0.19(気温低下と弱い関係性)だった。

単品アイスの相関係数(暑さとの関係性が強い順、購入個数上位20商品)

飲料(アルコール類を除く)

アルコール類を除く飲料カテゴリーで、気温上昇と最も関係性が強いのは「コーヒードリンク」となった。「スポーツドリンク」も非常に関係性は強いが、高温時季に一気に売上げが伸びるため、気温上昇との関係性を示す相関係数としては「コーヒードリンク」より低く出ている。

「日本茶・麦茶ドリンク」(ペットボトル、パックなど)といった無糖のドリンクも強い関係性がある。「麦茶」はティーバッグなどのカテゴリーも暑さと強い関係性を示している。

炭酸系の飲料や牛乳、豆乳も気温上昇との相関が認められるが、牛乳は年間を通して購入される商品であることから、夏場は消費スピードが速くなることが影響していると考えられるという。

反対に、「レギュラーコーヒー」(豆や粉など)や「インスタントコーヒー」「日本茶」(茶葉)などは、気温低下との関係性が強いことが分かった。

常盤氏のコメントは次のとおり。「コーヒー、紅茶、日本茶・麦茶は、夏場の暑い時季はコールドで、冬場の寒い時季はホットで飲むという風に陽気によってホットとコールドを切り替える人が多いため、気温との関係性がより強くなる傾向があります。炭酸水も、無糖のものは、蒸し暑い陽気の日に喉ごしの爽快さを求めるニーズが強まることから、気温との関係性が強くなっています。ただ、コールド飲料の中でも、水分補給のためというより健康のために飲まれることの多い乳酸菌飲料は、気温との関係性が弱い結果となりました」

飲料カテゴリーの相関係数(暑さとの関係性が強い順)※アルコール類を除く

コーヒードリンクは暑いほど糖が少ないものが好まれる

最も気温上昇との関係性が強かった「コーヒードリンク」について、甘さによる気温との関係性の違いを分析した。

このカテゴリーには缶コーヒーやパック、ペットボトルなどすぐに飲めるものが分類されているが、その中から、①商品名に「無糖」または「ブラック」が含まれるもの、②「微糖」または「低糖」が含まれるもの、③その他の3種類に分け、それぞれ購入個数上位20商品をグルーピングして相関係数を計算した。

結果、気温上昇と最も強い関係性を示したのは「無糖」、次いで「微糖・低糖」、3番目が主カフェオレなど甘い系が含まれる「その他」だった。3種類とも相関係数は0.8以上と高いものの、甘さによって違いがあることが分かった。

「コーヒードリンク」の甘さ別相関係数

惣菜

最後にSMで売られている惣菜について分析した。最も気温上昇との関係性が強かったのは「酢の物」だった。酸味のあるさっぱりとした味わいや、夏ばて対策として酢を取りたいというニーズを反映している。

次に関係性が強かったのはスタミナメニューの代表格の「うなぎかば焼き」。冷たい麺類と一緒に食べることも多い「天ぷら」も、気温上昇に伴って売れる傾向にあるとみられる。反対に、気温の低下との関係性が最も強いのは「おでん」、次いで「煮物」という結果となった。

常盤氏のコメントは次のとおり。「気温や季節と味覚の関係から、気温が高い時季は酸味あるいは辛味のあるメニューが、気温が低い時季は甘味のあるメニューが好まれます。料理法に関しては、気温が高い時季は生食あるいは焼き物メニューが好まれやすく、気温が低い時期は煮物メニューが好まれやすい傾向にあり、今回の結果でもそれが表れています」

惣菜の相関係数(暑さとの関係性が強い順)

気温と購買の関係性をより正確に表すため、※印のカテゴリーは売上げが急上昇する週を除外している(※1/土用の丑の日を含む週、※2/大晦日を含む週、※3/クリスマスを含む週)

データ概要

数値/小数点以下第三位を四捨五入

データ集計期間/2022年5月2日~2024年4月28日

データ抽出日/2024年5月10日

業態/食品スーパーマーケットの統計化した購買データをもとに作成

分析対象商品/分類・カテゴリー名の冒頭が「その他」のものを除外

特記事項/特売など、気象と関係のない行事などで売上げが急増するデータを含んでいる場合は、相関係数の値が低く抑えられている可能性がある

お役立ち資料データ

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