ヨークベニマル馬渡店が6月26日オープン、900坪弱の大型店で、直営衣料も強化

2026.07.03

ヨークベニマルは6月26日、茨城県ひたちなか市に馬渡店をオープンした。同店が立地するのは、スーパーマーケット(SM)棟の他、バラエティショップ棟、リユースショップ棟、飲食棟で構成される複合商業施設のリンクスクエア馬渡内への居抜き出店。もともとSMだった物件の建物を生かした形での低投資での出店。ヨークベニマルはこの施設の核店となる。

同業のショッピングセンター内のSM跡地に出店。建物の構造は生かした

今回の出店によって全社では250店体制となった。ひたちなか市への出店は、2012年9月オープンの東大島店以来7店目で、久しぶりの出店でもある。

大髙耕一路社長は、今回のオープンに際し、同社の商品政策の方向性についても言及した。同社では新型コロナウイルス禍に急増した売上げの反動対策として、月初の3日間に税込み3000円分買うごとに300円分のクーポンを配布していたが昨年9月からそれをやめた。

狙いは値引きクーポンに頼った販促から距離を置き、インストア加工を生かした生鮮とデリカを軸に、毎日の来店機会を増やす商品づくりに軸足を移すこと。馬渡店の生鮮、デリカ強化も、その方針を体現した売場だという位置づけになる。

社長就任から2年が経過した大髙耕一路社長。まずは業績よりも「従業員の幸せ、安心して安全に働ける環境を整える」ことを重視していると語る

SM棟には衣料コーナーを含むヨークベニマルの他、ドラッグストアやカプセルトイ、買取店、コインランドリーが入店する。また、当初はテナントへの賃貸も検討していた衣料コーナーについては、食品の売上げへの相乗効果も見込んで自社で運営する形にしたという。昨年3月にグランドオープンしたヨークパーク(福島県郡山市)で直営衣料品の再強化に挑戦したが、予算比でも良い数字を挙げているということもあって、今回も挑戦を選んだ。

大髙社長も「衣料の存在(価値)は一定あると思う。投資効率的には(賃料の収入がある)テナントを入れた方が良いのだが、やはり、品揃えで食品売上げも含めた見えない効果がある」と語る。

衣料品は食品レジの外側に横長のコーナーを形成している
青果とデリカを入口すぐの場所に配置。衣料品売場にはレジがなく、食品売場との間のレジを使う形となっている

商圏は1km圏内で人口約5000人、世帯数は約2200世帯。2km圏内にまで広げると人口約2万3000人、世帯数は約1万世帯になる。1km圏内は1、2人世帯が約6割を占め、70代のシニア層が比較的多くみられる一方、2km圏になると学生やファミリー層も増え、幅広い世代が居住する商圏だという。

大髙社長は、近隣に学校の多い地域だと聞いているとして、子ども用の衣料や、共働き世帯向けの簡便なデリカ商品の品揃えにも力を入れる考えを示した。売場面積は約888坪と大型だがこれは衣料品も含むため。

衣料は、地域の暮らしに寄り添い、日常使いに適した普段着、肌着を中心にレディス商品を充実させた売場を展開する他、婦人アパレルと服飾雑貨を組み合わせたコーディネート提案に加え、「キッチン」「ヘルス&ビューティ」など生活シーンに対応した商品もそろえた。日々の買物の流れの中で自然に立ち寄れる売場設計とし、衣料品、生活雑貨を選びやすくする売場づくりに取り組んだという。

服飾雑貨やキッチンのテーマでの商品も展開

一方の食品売場は、入口付近に青果と併せ惣菜、寿司、ベーカリーのデリカゾーンを配置し、主通路沿いに鮮魚、精肉へと続くレイアウトを敷いた。衣料品はレジ外に売場を設けている。

売場づくりでは、立体的な内装や棚や柱に貼る演出媒体、POPなどを見直し、大幅に減らすことで「商品そのもの」で価値を伝えることを重視したという。もちろん、投資を抑え、また経費を節約することも目的の1つ。今回の馬渡店などで効果などを検証していく方針だ。

さらに今回は居抜きでの出店だが、建築費が上がっている昨今ではある程度、設備を生かすようにしていく方針で、もちろん、出店に関しては居抜きも選択肢に入って来る。

青果とデリカを先頭に持って来たレイアウト。壁面の内装はかなりシンプル、平台も以前のような傾斜タイプではなくフラットにするなど、全般的に低投資が意識されている。販促物も次第にシンプル化を図ってきた

マーチャンダイジングとしては今後も基本的には生鮮のインストア加工とデリカ、さらに豊富な品揃えを実現することで差別化を図っていくが、特に加工食品ではセブン&アイグループのプライベートブランド(PB)商品のセブンプレミアムなどグループの強みの強化と地域性の高い商品の組み合わせでしっかり対応していきたいとする。

一方で、前述のクーポンの廃止、あるいは内装や媒体、POPなどを減らすことによって浮く経費は積極的に価格原資として活用していく意向で、特に最近は平日の売上げが落ちていることからその対応として、平日の底上げをしていきたいとする。特にゴンドラに付ける帯媒体などは、付けたり外したりする作業も経費となることからそうした全体の経費を価格投資に回していく方針だ。

さらにサービスカウンターは有人レジ、セルフレジと一体化した省人化レイアウトとし、たばこや公共料金の取り扱いもやめた。商品券についても、これまでの500円券を廃止し、1000円券に一本化して運用の効率化を図っているという。サービスカウンターの包装紙についても、これまでは複数種類を置いていたことからスペースを必要としていたが、現在では種類を減らし、省スペースで済むようにしている。

サービスカウンターは壁面ではなく、中央部に省スペースで設置。オープン日は隣接して衣料品専用レジが設けられたが、基本は食品と共通レジとなる

マーチャンダイジング面ではまず、精肉では、和牛の赤身肉や薄切りの焼肉用商品など、家庭で楽しめる焼肉メニューを強化。その他、味付け肉やカットステーキといった簡便商品に加え、大容量の買い得品も充実させた。

焼肉商材は平ケースでしっかり量販
味付け商品も平ケースでコーナー展開
子育て世代に向けて大容量商品を充実させている
鶏肉では脂肪カットの商品を用意し、コーナー展開している

鮮魚は、水戸市場や大洗市場などの前浜から直納される旬の近海魚を中心に、豊洲市場から仕入れた魚介類も豊富に取りそろえる。骨取りや味付けなど、手軽に調理できる簡便商品も強化した。

居抜き出店で建物を生かしたため、鮮魚などのバックヤードと売場の間に窓が設けられていない。通常の新店と異なるが、鮮魚では対面販売の要素をしっかり残す
鮮魚でも冷凍で大容量パックをコーナー化

青果では、旬の野菜・果物に加えて地元生産者による農産物の取り扱いを強化。カットフルーツやカットサラダなど、利便性の高い商品も幅広く用意した。

簡便商品として青果ではカットフルーツやサラダ、カット野菜を充実させているが、最近ではデリカと近い場所にコーナー化される

デリカは、身体にやさしく安心して食べられる惣菜づくりを目指し、自社工場製と店内製造の双方にこだわった商品をそろえる。弁当や揚げ物、生寿司は曜日や時間帯に応じた品揃えで展開するという。ベーカリーは、店内焼き上げのパンやピザ、調理パンを豊富に取り揃え、出来たての美味しさを打ち出す。

弁当ではしっかりおかずが入った高単価の商品も多い
カレーを3アイテム展開。唐揚げや野菜がトッピングされていて見た目も良い
以前はパック売りをしていた焼き鳥は、ばら販売するようになっている
電子レンジ加熱前提の冷惣菜の「~デリ」シリーズでは積極的に新商品も投入する
「~デリ」シリーズのカジュアルデリにビリヤニが登場。エスニックメニューなど、トレンドの商品に開発も進む
ベーカリーはコンパクトだが、必要な機能としてしっかり配置。ピザの他、調理パンなども強化したという

加工食品(加食)では、地域の魅力を生かした商品構成が目を引く。干し芋の生産量が全国1位の地域ならではの品揃えとして、「全国ほしいもグランプリ2026」でグランプリを受賞したオオスガファームの「ほしいも」をはじめ、黒澤醤油の醤油、お菓子の工房Karinの洋菓子など、地域で長年親しまれてきた商品を豊富に取りそろえる。ご当地グルメとしては、わたなべ製麺所の「那珂湊焼きそば」や、地元人気店Groovyの「海賊スパゲティ」も並べた。

地域商品として干し芋をコーナー展開しながら、話題の商品なども取り扱う

また、全般的に共働き世帯の多い地域性を踏まえ、下味付けの簡便商品なども充実させる方針だ。共働き世代を中心とした忙しい客のニーズにも対応し、時短、簡便、即食商品を強化。夕方の時間帯を中心に、すぐに食べられる惣菜や簡便調理商品、冷凍食品、チルド惣菜などを充実させた。日々の買い得品や月替わり企画、セブン&アイグループのプライベートブランド商品のうち、低価格ラインとなるセブン・ザ・プライスなどを通じて、おいしさと価格のバランスに優れた商品提案を進めるという。

SMにとっては低価格ラインのPBが重要になる。親会社のヨーク・ホールディングスとしても、低価格ラインの「セブン・ザ・プライス」の開発を強化する方針を発表している

取扱SKU数は鮮魚、精肉、青果、デイリー、加食の食品5部門で1万155。日用品が4111、デリカが285(惣菜168、寿司33、ベーカリー84)。SM商品としては合計1万4551となる、また、衣料品のSKU数は1万7500といった品揃え。

売上高構成比の計画では、鮮魚9.6%、精肉13.1%、青果13.1%(果実5.4%、野菜7.7%)、デイリー16.6%、加食21.2%、日用品4.4%、デリカ8.2%(惣菜4.8%、寿司1.9%、ベーカリー1.5%)、衣料品13.8%(アウトスタイル6.9%、インスタイル6.9%)で、やはり衣料品の比率が大きい分、売上高構成比については食品は全般的に低くなっている。また、多くのSMで売上高構成比トップを占める青果と精肉が同数値、つまり、精肉の売上高構成比が高いことは、大きな特徴といえるだろう。

目下、値上げが続く中、ヨークベニマルとしても買上点数が課題になっているということで、売場ではよりどり2点や3点で買い得になるバンドル販売(この場合はミックスマッチ販売)を多数実施している

居抜き出店、ハード面での低投資、低経費の取り組み、さらに直営衣料品の再強化など、馬渡店の注目点は多い。ヨーク・ホールディングスの中核企業の1社として、人口減少が激しい東北から北関東を地盤に、堅実な業績を残すヨークベニマルの次の一手のための実証実験として、馬渡店は大きな役割を担っているといえる。

ヨークベニマル馬渡店概要

所在地/茨城県ひたちなか市大字馬渡2563-4

オープン日/2026年6月26日

営業時間/9時30分〜21時30分

売場面積/2936㎡

駐車台数/243台(施設全体)

店長/井川 聡

従業員数/110人(正社員18人、地元採用者92人)

年間売上高/18億円(初年度予定)

商圏人口/1km圏内5084人(2188世帯)、2km圏内2万2937人(9977世帯)、3km圏内5万2709人(2万3308世帯)

お役立ち資料データ

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