カスミBLΛNDEの挑戦、こう見る! 生鮮編 売場面積に広さを生かし、専門性ある売場だけでなくデイリーユースにも対応
2024.07.16
BLΛNDE(ブランデ)フォーマットとしては3店目であり、これまでのつくば市内から埼玉県三郷市への出店となり、今後の展開を占う意味でも大きな試金石となる。
売場面積は3044㎡(約921坪)であり、ブランデとしては最大である。デイリーユースの買物とブランデとしての価値をどのようにシナジーとして発揮するかが、生鮮部門に期待される役割だといえる。
青果はサイネージでの訴求を兼ねたオープンバックルームを売場の先頭に配置している。果物原体と、カットフルーツやフルーツスイーツのコーナーを融合させている。
果物では、アッパーグレードの大玉サイズを中心に構成。価格に手軽さを出すための小分けサイズや、セットで1万円以上する干しブドウなどバラエティに富んだ品揃えをしている。カットフルーツにおいては、全てをインストアではなく、一部にアウトパック加工品を加えていて、作業効率を考慮した対応となっている。

売場全体では、売場中央にあるクッキングコミュニケーションまでの動線を引き込むための各平ケースのプレゼンテーション、マグネット機能強化を図っている。
オリジナル商品の「MiiL(ミール)」は売場の複数の箇所(写真)で展開され、商品自体の差別化を狙っている。オーガニックを中心とした「ミールプレミアム」では、ケールなどのベーシックアイテムに加えて、マスタードといった見慣れないアイテムも紹介している。商品の幅広さをどのように定着させるかが注目される。




また、ミール以外にも、栄養価と安全性を高めた付加価値ブランド「Vege Love」(写真)や北陸野菜、地場野菜など、スペースを確保して展開され、コーナー化が確立されている。


加工品販売も充実している。ドレッシングやピクルスをはじめ、独立したドライフルーツやドライナッツの量り売りコーナー、ブランデオリジナルの野菜ふりかけなどをコーナーエンドで展開している。

サイズはワンサイズではなく、大、中、小とバリエーションのある構成となっている。トライアル需要からリピート利用まで幅広いニーズを想定した品揃えといえる。
また、レイアウトとしても青果売場の奥に冷蔵の野菜、果汁飲料を配置し、関連性を高めた立寄率と回遊性の向上を図る取り組みが行われている。
鮮魚はハレに限らず、デイリーユース商品も押さえる
鮮魚は壁面に沿って市場風対面型の販売コーナーを店奥の角に配置し、その脇に刺身と寿司が続く。対面販売コーナーには常に人が配置され、威勢の良い声が店内に響く。地元だけでなく九州からの魚種も幅広く取りそろえられている。
お客の要望に応じて加工するため、あらかじめ刺身や切り身になっている商品は別の平ケースで展開されていて、訪店時点では対面販売コーナーは丸魚で売場が維持されていた。
刺身は近海産の白身魚の盛り合わせを先頭に、マグロやカツオを組み合わせている。刺身に関しては、平ケースと併用しながら、売場でのボリューム調整を行っていた。
手前では珍味を陳列し、魚卵と併せ統一されたパッケージで商品アイテムの豊富さを訴求していた。
鮮魚で注目したのが、商品加工のバリエーションである。平ケースでは刺身のサクの状態で、店内加工の炙りを施した商品(写真)を展開していた。また干物や漬魚も冷蔵、冷凍の温度帯別に、インストア、アウトパックでの商品が提供されていて、それぞれがコーナー化での展開となっている。

さらにミールアイテムや低温熟成漬魚といった製法にこだわりのあるアイテム(写真)を差し込みながら塩干カテゴリーの専門性を高めている。


また、コーナー化アイテムには、冷凍で提供する完全ワラ焼きカツオたたきの「龍馬タタキ」や北陸地方の昆布〆アイテムや銘品類といった商品を差し込みながら、幅広い演出を試みている。

ハレの部分を含むものの、壁面部分と一部平ケースではデイリーユースを意識した構成を中心とし、塩干や加工品については多様な製法や管理状態の幅広い対応を行うことで付加価値のあるコーナー化作りを目指している。
刺身や寿司においても、冷凍技術を活用してアイテム開発に取り組んでおり、プラスアルファの要素を狙った展開をしている。

精肉は3桁売価が主力、購買頻度向上に向けた商品も
精肉は壁面展開が牛肉、豚肉、鶏肉の流れとなっており、オーソドックスなレイアウトといえる。
牛肉では単価1000円以上のアイテムがあるものの、多くが3桁売価の設定となっていて、デイリーユースによる購買頻度向上を狙っていることがうかがえる。牛肉と豚肉では定番の中に味付肉(写真)をコーナー化し、即食ニーズに応じた展開となっていた。


豚肉では、ブランド肉をしっかりスペースを割いて大々的に展開し、質へのこだわりを訴求している。容器には仕切りの入った大パック「キリトレール」を採用し、保存性や小分け用途への対応できるものを採用している。


また、精肉はスキンパックや深絞りのパッケージを採用し、購入後の鮮度保持を特徴として訴求している。

豚肉と鶏肉売場の間に対面型の販売コーナーを設けている。壁面定番コーナーでもすでにパッキングされた商品は用意されているが、個別の対応にも柔軟に対応できる売場となっている。訪店時は常時人を配置しておらず、チャイムで呼び出す形となっていた。
平ケースではミールキットのアイテムが充実している。生鮮アイテムを使った冷蔵の商品は500~600円台の価格設定で、トライアル需要を促す仕掛けを展開していた。また、アウトパックの冷蔵、冷凍アイテムもそれぞれ平ケースを1台ずつ使ってコーナー化。手軽さを訴求している。
また、売場中央の多段ケースでは加工肉をメーカー別に棚割し、商品自体の特徴を生かして売場での存在感を高めている。

生鮮全体でみると、これまでのブランデと比較して、定番やデイリーユースをしっかり押さえながら、各部門でマグネットとなり得るカテゴリーについてはしっかりコーナー化し、訴求をしている。
これにより店内の回遊性を高め、商品自体の認知度の向上とトライアル購入への流れを生み出せるかが今後のポイントになってくるだろう。POPに加えて、サイネージでの訴求など、店内でさまざまなアプローチを試みていることもあって、この辺りの反応も興味深いところだ。