帝国データバンクが「カレーライス物価指数」の調査結果を公表、過去10年で最高値を更新

2024.07.11

帝国データバンクは、生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算し分析を行った。

総務省「小売物価統計」から、カレーライスの具材となるじゃがいもなどの材料や、電気・ガス代など水道光熱費の全国平均価格を基に、それぞれの分量や各調理工程の分あたりエネルギー使用量を配分し、算出した。

<調査結果(要旨)>
・カレーライス物価が急上昇カレー1食分の費用は323円、過去10年で最高値を更新

※カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指標。各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)。当該調査は今回が初めて
カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移。なお、前年同月比の計算式は下記に準ずる(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100

※カレーライスの材料・エネルギーの定義は下記の通り。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした
【原材料】ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:200g換算)カレールー(市販)、食用油
【エネルギー】電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)

7月に入り、いよいよ夏本番。暑い季節に食べたくなるメニューといえば、スパイスがたっぷりと効いた「カレーライス」を挙げる人も多いだろう。

一方で、近時は様々な食品が値上がりした影響で、食卓のカレーライスを作る「費用」が上昇している。カレーの調理に必要な原材料や光熱費等の価格(全国平均)を基に算出した、カレーライス1食当たりのトータルコストを示す「カレーライス物価」は、2024年5月に1食当たり323円となった。23年8月以降10カ月連続で300円台となったほか、単月では2015年以降の10年間で最高値を更新した。また、1年前の23年5月(298円)から25円増加し、安価で手軽に調理できるカレーライスのコスト負担増が続いている。

カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も費用が高いのが「カレー具材(肉・野菜)」で、全体の約6割を占めた。前年同月から15円の増加となり、円安の影響で値上がりが続く輸入牛肉のほか、天候不順で「ニンジン」など野菜類も高値で推移していることが影響した。

「ごはん(ライス)」は、近年のコメ不足の影響から店頭販売価格の上昇が続いており、食品の相次ぐ値上げの中でも割安感があった、コロナ禍の価格推移とは一転した状態が続いている。一方、炊飯器での炊飯や保温、ガス調理など「水道光熱費」は、前年同月から変化なく4円となった。

カレーライス物価を基に、2020年平均を100とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2024年5月の指数は117.8となり、前年同月比で8.3%上昇した。12カ月連続のプラスとなったほか、総務省が発表する同月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の3倍となる高い伸び率となり、物価上昇の影響を強く受けている。

農林水産省の発表では、ジャガイモ(バレイショ)とニンジン、タマネギの各価格は、いずれも「平年を上回って推移する」としている。コメや輸入牛肉も当面は価格の下落が見通せず、6月のカレーライス物価も過去最高値の更新が見込まれるなど、今夏は高値での推移が予想されるとしている。

お役立ち資料データ

  • 2024年上半期 注目店スタディ

    2024年上半期も注目新店がたくさん出ました。今回はその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップしました。今回もいつものとおり、企業戦略、出店背景、商品政策(マーチャンダイジング)までを拾いながら記事にまとめました。豊富な写真と共にご覧いただければ幸いです。 注目企業の最新マーチャンダイジングの他、売場づくり、店舗運営など、いまのスーパーマーケットのトレンドも知ることができる一冊となっています。企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ライフ/ソコラ所沢店 ・ヤオコー/武蔵浦和店 ・サミットストア/ららテラ…

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…

  • 2023年 上半期 注目店スタディ

    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …