帝国データバンクが、上場する食品メーカー主要195社における価格改定動向について調査を実施

2023.01.31

■調査結果(要旨)
1. 年内値上げは食品主要195社で1万品目突破 前年より3カ月早く到達
2. 2月は加工食品で昨年以降最多の「値上げラッシュ」 3月には菓子が月間最多に
3. 月間2000品目超の値上げ、夏まで常態化の可能性も 今後注目は「輸入小麦」と「飲料」

[注1] 調査対象は上場する食品主要105社のほか、非上場の食品主要90社を新たに追加した計195社が対象。なお、追加した90社における過去(23年1月時点以前)の値上げ品目数データも収集・保有しており、数値の連続性に影響はない。

[注2] 品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウントした。値上げ率は発表時点における最大値を採用した。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む。

年内値上げは食品主要195社で1万品目突破 前年より3カ月早く到達

年内値上げは食品主要195社で1万品目突破 前年より3カ月早く到達  2023年1月31日までに決定した23年中の飲食料品値上げ品目数は、上場する主要105社で1万482品目判明。

また、非上場の主要90社で判明した値上げも1572品目判明。この結果、年内の食品値上げは累計1万2054品目に達し、このうち4月1日までの累計で1万品目を突破するという。

22年の値上げでは1万品目到達までにおよそ7カ月を要したのに対し、23年は実施ベースで3カ月早く到達する予定で、前年と同じ時期(22年1-4月:5573品目、対象計195社)と比べても倍増ペースで推移するなど、値上げの動きは収束の気配がみられない。

今後は、春~夏頃にかけて1カ月当たり2000~3000品目前後の値上げが常態化する可能性が高まっているとしている。

このうち、2023年2月単月の値上げは加工食品を中心に5463品目となり、前年同月(1420品目)に比べて3倍規模に達したほか、22年以降の単月では最多の22年10月(7864品目)に次ぐ2番目の多さ、23年中では最多となるという。

前年の主な値上げ要因だった円安は一服感もあるものの、引き続き原材料価格の高止まりに加え、物流コストや輸入コスト上昇が続き、製品価格へ緩やかに反映する動きが目立つ。

2023年に予定される値上げ約1.2万品目のうち、原材料高が理由となったものは99%以上(品目数ベース)と、ほぼ全てで原材料高が理由にあげられた。一方で、原油高などのエネルギー(88%)、プラスチック容器などの包装・資材(71%)のほか、円安(25%)なども理由にあがったという。

2月は加工食品で昨年以降最多の「値上げラッシュ」 3月には菓子が月間最多に

2023年の値上げでは加工食品(6657品目)が最多で、チルド麺や缶詰製品のほか、ウィンナー製品の大規模な値上げラッシュが控える。

嗜好性の強い菓子(944品目)も、3月には最も多かった22年9月の水準を上回る規模となる見通し。クッキーやチョコレートなどが中心で、本体価格の引き上げのほかに内容量減による価格維持=「実質値上げ」の傾向が目立つ。

次いでドレッシングや醤油、ポン酢製品を中心とした調味料(2236品目)、焼酎や輸入ワイン・ウイスキーなど酒類を中心にした酒類・飲料(1810品目)と続いた。

2月の値上げでは加工食品が3076品目で最も多く、単月の値上げとしても22年10月を上回り最多だった。かまぼこなど水産練り製品や冷凍食品などを中心に値上げが集中した。

月間2000品目超の値上げ、夏まで常態化の可能性も 今後注目は「輸入小麦」と「飲料」

2023年に値上げする食品は上場・非上場の主要食品メーカー195社で4月までに1万品目を超え、足元で値上げの動きが収まる気配は見られない。

原材料価格のほか、電気・ガス代でも今後さらなる上昇の余地が残るうえに、昨年上昇したコストをいまだ十分に価格転嫁できていない企業・商品も多い。そのため、5月を除き夏まで月間2000品目超の値上げが常態化する可能性もあるという。

今後は、4月に控える「輸入小麦」の価格改定動向が注目される。小麦の国際相場はピークから下落しているものの21年に比べると高止まりの状態が続いており、改定幅次第では値上げの動きが比較的沈静化しているパンなどの製品価格に波及する可能性があるとしている。

物流コストや容器代などのコスト増が続く酒類・飲料の値上げ動向も今後注視が必要となる。

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