ローソン増収増益、国内コンビニは回復基調、コロナ禍で捉えた日常生活需要に加え、従来のコンビニ需要回復に期待

2023.04.14

ローソンの2023年2月期決算は、連結営業利益が550億5600万円だった。前年差約79億円増、計格差約20億円増といずれもプラスだった。

国内コンビニの伸長が大きく作用した。営業総収入は9886億2100万円、前期比41.6%の大幅増加となった。国内コンビニの既存店売上高前年比は103.6%、総粗利益率は31.0%だった。

親会社に帰属する当期純利益は246億8900万円で37.9%増。営業利益が増益だったことに加え、既存店の利益回復による店舗の減損損失が減ったことによる。

営業増益約79億円の要因を5億円単位で分解すると、まずチャージ収入等は前年差で200億円増加。国内コンビニの商品刷新、店舗の改装の他、マーケティング施策が奏功した。

一方で店舗の改装は大変革実行委員会新規施策の一環で店舗の厳選などによって改装費用は35億円の減少。逆に上昇傾向の光熱費等は、加盟店が負担する電気代の本部負担が60億円の増加。当初計画30億円の倍増だった。

グループ会社成城石井は巣ごもり需要の一巡で前年差ほぼ横ばい。エンタメ関連事業はプラス15億円と人流の回復に伴って回復過程にある。金融も同様、ATMの利用件数の増加 などにより計画を上回る前年差プラス10億円。

海外事業は、中国事業はロックダウンやゼロコロナ政策の影響が大きく、マイナス40億円だった。

22年度はゆるやかに人流の回復があったものの、人流の影響を受けるおにぎりなどの米飯・弁当、ソフトドリンクなどは戻っていない。一方で注力したファストフード・厨房、デリカ・日配・冷食は伸びている。また、日雑品は無印良品の商品の販売などでこちらも伸びている。

既存店売上高前年比は103.6%だが、客数は100.9%、客単価が102.7%といった形となった。

現状人流はコロナ前の9割程度ということで、米飯・弁当、ソフトドリンクなどはこれから戻ってくるとみる。また、欧米、東南アジアなどインバウンド需要がさらに増えることに期待する。

また、22年度は未来型店舗として「グリーンローソン」を開発し、アバター活用による接客などの生産性向上、冷凍弁当と店内厨房で作る弁当の2極化による廃棄削減の試みなどに取り組んだ。また、電気使用量40%削減・CO2排出量55%削減を目指すモデル店を開発、1店舗当たり電気料金100万円削減が見えてきたことから24年3月以降の標準化を目指す。

グリーンローソンではアバターによる接客を導入
ロス削減の観点で開発した冷凍弁当。味に対する好評価も得ているが、シズル感の出し方などに課題があるとみる

竹増貞信社長は、「国内コンビニエンスストア事業は、コロナの中で日常生活需要にお応えすることができてきている。それに対するお客さまからのご評価を得られてきている。ここから本当に人流が回復してくる、インバウンドが回復してくる。そういった需要はわれわれが一番得意とするところ。それが上に乗っかってくることで、さらに国内コンビニエンス事業の収益を高めていける。コロナ前から日常生活需要にチャレンジしてきたが、なかなか来てくれなかった。コロナの中で近い店ということで評価された」と語り、新型コロナウイルスによって、以前はなかなか取れなかった日常生活需要に関するローソンの評価が高まったことが強みとなるとみる。

振り返りと今後について説明する竹増貞信社長

今期、24年2月期はチェーン全店売上高は前年差107.2%の2兆7300億円、営業利益(日本基準)は前年差103.5%の570億円、親会社に帰属する当期純利益(IFRS)は290億円を計画している。国内コンビニエンスストア事業の既存店売上高前年比の前提は104.0%、総店舗数は純増10店の1万4641店を見込む。

現在、ローソンでは創業50周年となる25年に向けて「ローソングループChallenge2025」を実践している。竹増社長は、「2025年、グループでの営業利益を1000億円の大台に乗せていきたい」とする。

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