ファミマが食品ロスの23年8月までの削減率が18年対比約27%となったと発表した

2023.10.26

ファミリーマートは、2023年8月までの店舗における食品ロスの削減率が、2018年度対比で約27%となったと発表した。現在9割以上の店舗で実施している店舗値下システム「ファミマのエコ割」や、特殊な包装技術を活用した商品の消費期限延長の取り組みなどが奏功したという。

■中長期目標「ファミマecoビジョン2050」に基づき推進
ファミリーマートは、2020年2月に環境に関する中長期目標「ファミマecoビジョン2050」を制定し、「温室効果ガス(CO2排出量)の削減」「プラスチック対策」「食品ロス削減」の3つのテーマにおいて取り組みを推進している。持続可能な社会の実現に貢献するため、それぞれのテーマについて数値目標を設定しており、「食品ロス削減」については、店舗における食品ロスの削減を、2018年対比で2030年に50%、2050年に80%削減することを目標にしている。

■店舗における食品ロス削減の取り組みについて

①店舗値下システム「ファミマのエコ割」
2021年7月から、消費期限の迫ったおむすびや弁当などの中食商品に、バーコード付きの値下げシールを貼って値下げ販売する取り組みを実施している。レジでバーコードを読み込むと自動的に値下げされる。値下げのタイミングや価格は、各店舗の判断で実施する。この取り組みによって、店舗での値下げの作業が簡素化されるとともに、食品ロスの削減に繋がる。現在、全国の9割以上の店舗で活用されている。

②「てまえどり」を全国の店舗で通年展開
ファミリーマートでは、消費者庁及び農林水産省、環境省の3省庁と連携し、全国の店舗で「てまえどり」を推奨する掲示物を通年で掲示している。「てまえどり」は、陳列棚の手前にある販売期限が短い商品から、購入してもらう購買行動だ。店舗での期限切れによる食品ロスを削減することに繋がる。

③特殊な包装技術を活用した消費期限の延長の取り組み(ロングライフ化)
惣菜やサラダなどの一部商品に、特殊な包装技術であるガス置換方式を採用し、美味しさをそのままに消費期限を従来より1日~3日延ばす取り組みを行っている。ガス置換方式とは、容器内の空気を商品に適したガスに置き換える技術だ。容器のふた部分をトップシール化することで、プラスチック使用量の削減も見込んでいる。

<参考情報>
(1)規格外商品を活用した商品開発など、サプライチェーン全体での食品ロス削減も推進

①規格外のバナナを活用した商品開発
2022年7月から、生産や商品化の過程で規格外となったバナナを活用したチルド飲料などのオリジナル商品の販売を定期的に行っている。使用するバナナは、ファミリーマートのPB「ファミマル」のバナナの規格外品や、株式会社ドールの廃棄バナナを削減するSDGs活動「もったいないバナナ」プロジェクトを通じて提供された「もったいないバナナ」となる。今年の8月には、アイスバーと飲むヨーグルト(チルド飲料)を全国のファミリーマートで発売した。

②サーモンをスライスする製造工程で出た切り落としを活用した海鮮丼
2023年8月に、サーモンをスライスする製造工程で出た切り落としを有効活用した海鮮丼「サーモン三昧丼」を発売した。トッピングのサーモンの一部に、ファミリーマートで販売している寿司「サーモンづくし」を製造する際に出る切り落としを活用し、食品ロスの削減に繋げた。

③お中元ギフトの余剰在庫を割引価格で販売
2023年9月に、お中元ギフトの余剰在庫を割引価格で販売する「訳ありセール」を実施し、約0.6トンの食品ロスの削減に貢献した。セールは、ファミリーマートギフトネット申込サービスにおいて受付し、販売元希望小売価格か20%~40%OFF(※)で販売した。※割引価格は販売元希望小売価格と比較した割引価格

(2)地域における食品ロスの削減と食支援に貢献する「ファミマフードドライブ」

ファミマフードドライブは、家庭で食べきれない食品をファミリーマート店舗に持ち込み、地域の自治体やNPOなどの協力パートナーを通じて、支援が必要な方に提供する取り組みだ。「ファミマフードドライブ」の取り組みを通じて、家庭にある食べきれない食品が活用され、食品ロス削減につながる。2021年4月の全国展開の開始から2023年2月までに寄せられた食品の合計は92.2トンとなったという。

また、全国に店舗があるファミリーマートを回収拠点とすることで、地域住民が、気軽に社会貢献活動に参加できるようになる。2023年10月6日現在、全国47都道府県2535店舗で実施している。

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