止まらない「新聞購読率」の減少とその背景にある消費者心理とは?

2021.04.09

2021.07.19

新聞購読率の低下が止まらない。新聞は世帯単位で契約して月極で定期購読する形式が主流だが、この定期購読での新聞購読者が減っているの背景にはどういった理由があるのだろうか。

本記事では、一般社団法人日本新聞協会が毎年発表している「新聞の発行部数と世帯数の推移」などのデータを元に、新聞購読率の低下について、現状や課題などを解説していく。

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新聞の発行部数の現状や推移

まずは新聞の発行部数の現状や推移を見ていく。

新聞の発行部数は2000年代から右肩下がり

日本新聞協会が公表している「新聞の発行部数と世帯数の推移」を参考にすると、新聞の発行部数は2000年から右肩下がりとなっている。

一般紙とスポーツ紙を合わせた00年の新聞発行部数は約5370万部だった。20年には約3500部となり、20年ほどで2000万部も減少している。

08年から1世帯当たりの部数が「1」を下回る

次に注目するのは1世帯当たりの新聞購読部数だ。1世帯当たりの部数は08年に0.98となっている。00~07年までは1世帯当たりの部数は1を保っていたが、07年以降は徐々に数値を下げている。

20年には1世帯当たり部数が0.61となった。しかし、00年以降の世帯数は増加傾向であり、00~20年の21年間で約1000万世帯も増加している。核家族や単身世帯が増加するなど、世帯規模の縮小も1世帯当たりの部数に影響している。

20年の発行部数は過去最大の下げ率

発行部数が減少を続けている中、20年は過去最大の下げ率を記録した。19~20年にかけての発行部数の下げ率は7.2%だった。

新聞の購読率低下の理由は何か

●インターネットニュースの台頭

新聞購読率の低下には、インターネットニュースの台頭が影響しているとみられている。「第12回メディアに関する全国世論調査(2019年)」によると、「月ぎめで新聞をとらない理由は?」という質問に対し、70.7%の回答者が「テレビやインターネットなど他の情報で十分だから」と答えている。

また、総務省が発表した「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、平日や休日の主なメディアの平均利用時間の調査結果を掲載している。資料を参考にすると、10~20代を中心にネット利用時間が新聞閲読時間を圧倒している。

具体的な数値をみると、20代男女は平日に平均177.7分のインターネット利用時間があるが新聞閲読時間は1.8分だ。特に若い世代において、可処分時間の多くがインターネット利用に奪われていることが分かる。

新聞購読料の高さ

「第12回メディアに関する全国世論調査(2019年)」では月極で新聞を取らない理由として「新聞の購読料は高いから」とした回答者が38.6%となっている。同調査では「テレビやインターネットなど他の情報で十分だから」に次ぐ割合の高さだ。

もともと新聞はお金を払って読むものであるが、購読料以上の対価を見いだせないのだろう。テレビやインターネットからの情報収集で十分であれば、新聞からの情報には価値を見いだせないだろうし、相対的に購読料が高い判断するのも仕方がないことだ。

なお、大手新聞社の月極購読料は3000~4000円台となっている。

複数の理由が重なって新聞非購読者になっている

新聞購読率の低下には、インターネットニュースの台頭や購読料の高さの他にもさまざまな要因がある。「新聞を読む時間がない」「新聞を読む習慣がない」「紙の新聞は、処分が面倒」という人も多い。

これらの多岐にわたる理由が重なり、新聞の非購読者になっていると考えてもよいだろう。

新聞社の取り組みや課題

新聞各社は紙媒体以外にも電子版によるニュースや情報配信をしている。しかしながら、電子版にも課題もあるようだ。ここでは新聞社の取り組みや課題について紹介する。

●電子版でのニュース配信の伸び悩み

新聞各社は、ネット配信サイトにニュースの提供を行ったり自社で電子版ニュースの配信を有料や無料で行ったりしている。しかし、デジタル化に着手しても、購読料と広告費の減少分を補っているとは言いにくい。

一般社団法人日本新聞協会が公開している「新聞社の総売上高の推移」をみると、04~19年度の15年間で総売上高が30%も減少している。広告収入も年々減少している。

電子版の有料購読者数をみてみると、日経新聞が20年7月1日時点で約77万人と国内最多である。延べ数になるが紙媒体の新聞購読者に対して37%の電子版購読者数がいる。これはだいぶ健闘している数字だ。

電子版による配信を1995年から始めている朝日新聞は約32万人の有料会員であり、日経新聞の半分ほどだ。他の新聞社は電子版の有料会員数を公表していないため、電子版での売上補填などに苦戦している可能性がある。

ニューヨクタイムズの成功例と今後

新聞の電子化への移行は日本だけの問題ではなく、世界の新聞社でも課題である。その中で、新聞のデジタル化に成功しているとされる新聞社がある。それはニューヨークタイムズだ。

ニューヨークタイムズはピーク時の発行部数が約110万部であり、日本の大手新聞社に比べると規模は小さい。しかし、電子版の有料会員数が20年9月時点で466万人と、日経新聞の6倍ほどの会員数になる。さらに、紙媒体の売上高を電子版の売上高が超えている点も特筆すべきことだ。

ニューヨークタイムズはこれまでさまざまな危機を乗り越えて、電子版で成功を収めていると考えることができる。08年にリーマンショックが起きて翌年には本社ビルの一部を売却して何とか経営難をしのいだが、経営危機が収まらなかった。そこで、11年に電子版の有料化に踏み切ったという経緯がある。

また、ニューヨークタイムズは動画を使った情報配信にも取り組んでおり、英語圏でありながら紙媒体では届けることが難しかった、欧州での購読者獲得にも動いている。紙に固執することなく、時代の変化に適合していくことで経営難を乗り切り、電子版を展開し始めて4年後の15年には、有料会員数が100万人になっている。

新聞各社は購読率の低下にどう向き合うか

新聞の購読率は低下の一途をたどっている。新聞各社は電子版での配信にも取り組んでいるが、成果を出しているとは言い難い。

ニューヨークタイムズの成功例があるように、国内の新聞各社にも改善策はありそうだが、雨後の筍のように新しいメディアが勃興する中で、右肩下がりの現状を変えるのはそう簡単なことではない。新聞各社には、より抜本的な改善が求められる状況だ。

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