コロナ禍決算|ライフコーポレーション「守る」「攻める」「変える」で増収・大幅増益を達成、EC事業本腰で30年度1000億円を視野

2022.04.12

2021.04.12

ライフコーポレーションの2021年2月期の連結業績は、営業収益7591億4600万円(前期比106.2%)、営業利益273億8800万円(同197.3%)、経常利益281億5600万円(193.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益178億2400万円(227.5%)の増収増益。

コロナに対して、「守る」「攻める」「変える」という3点で対応をしてきた。まずは「守る」ということで、目先の売上げや利益ではなく、お客と従業員の安全と安心が最優先であることを大前提としてきた。これは今後も継続する。

「攻める」では、まず、ナチュラル志向のスーパーマーケット(SM)としての「ビオラル」事業の拡大を図った。「お客さまの健康志向が強くなっていることもあって、従来から手掛けてきたビオラル事業に対する需要が高まった」(岩崎高治社長)。

首都圏で初となるビオラル丸井吉祥寺店と実質的2号店となるさいたま新都心店の大型コーナーを出店した他、ビオラルのプライベートブランド(PB)の拡大を図った。丸井吉祥寺店は計画を10~15%程度上回る売上げ。人件費がかかりすぎているといった課題はあるものの、お客からの評判も良く、まずはトップラインが上がっていることに手応えを感じている。

「攻める」ことの2点目は自社およびアマゾン経由のネットスーパーであるEC(電子商取引)事業。EC事業の四半期ごとの売上高前年比は、第1四半期は144.5%、第2四半期は169.5%、第3四半期は184.6%、第4四半期は199.7%。通期では176.1%の伸びを達成。

「第1四半期は、実際はもっとニーズがあったが、われわれの態勢が追い付かず、そこまでのニーズには応えられなかったが、第4四半期には前年のほぼ倍の売上げになった」(岩崎社長)。年間売上高では53億円になった。

「攻める」ことの3点目は、改装の積極化。結果的に年間52億円の改装投資となった。大型の投資で26店、小規模なもので約50店を改装。加えてプロセスセンターは首都圏、近畿圏で合計400店まで耐え得る態勢を構築した。

その他、キャッシュレスの対応、採用の強化も図った。

「変える」では、働き方を変えるということで、新型コロナウイルス前から進めていたテレワークを推進し、本社勤務の6割がテレワークができる環境になっている他、店も会議や事務作業についてはテレワークができる環境を2月に整備、首都圏から実験に入っている。

また、2月の段階で、全店で日配のAI発注。発注の時間が半分程度になったことで、仕事のウエートを変えていけるとみている。

ネットスーパーではマイクロフルフィルメントセンターを実験

新型コロナによる特需の翌年となる今期は増収減益を計画。「正直、大変読みにくい外部環境、経済環境で、どういった数字を出すのが適切なのか大変悩ましい。本当にコロナ次第だと思う」(岩崎社長)

今期は第六次中期計画(中計)の4年目、最終年度ということで計画通りの経常利益200億円、純利益125億円とした。既存店売上高前年比は上期94.6%で計画、それに下期と新店効果で営業収益は7600億円(前期比100.1%)と微増を想定する。

今期は特に「同質競争からの脱却」を一番のテーマし、「お客さまとつながるデジタル化」を目指す。「いま現在、それほど消費が落ち込んでいることもなく、各社が過度な価格競争になっていることもないが、最悪の事態も想定して価格対応をある程度していきながら、それ以外の部分で独自性を高めることで持続的な成長をしていきたい」(岩崎社長)

代表的なものがビオラル事業の店舗拡大。ビオラルの店は50~100坪が適正と考えており、現状今期以降出店の店も含め3店程度出店予定がある。今後、主要駅の駅中、駅前をターゲットに出店を図っていきたいとしている。ビオラルのPBも拡大し、ビオラル事業で売上高100億円規模を目指す。

また、EC事業は、自社とアマゾン経由のネットスーパーをそれぞれ拡大。ネットビジネスを成功させる鍵となる「店舗の人員オペレーション」「システム」「配送」の3つを全て改善しながらバランスを取っていく。「配送」については間口ホールディングスと組み子会社「ライフホームデリバリー」を設立。19年のセイノーホールディングスとの業務提携と併せ配送の強化に取り組む。

「システム」では、10Xと組んでネットスーパーのアプリを開発したが、今後、システム面の強化も計画する。それを踏まえた上で、前期採用が進んだことによる人員の補強に加え、10Xとのシステム面での連携で「店舗の人員オペレーション」の改善を図る。

施設面での新たな取り組みは、従来の店舗出荷型を補完する形で、桜新町店(東京・世田谷)の近くにネットスーパー専用の「桜新町配送センター」を設置。店舗の近くに設置するマイクロフルフィルメントセンター(MFC)の位置づけで、商品を在庫し、ピッキング、パッキングしての配送を行う。店舗との在庫のやり取りなどをしながら、ロス、欠品などにも対応していく意向で、今後、結果を見ながら水平展開を図っていきたいとしている。

アマゾンの配送エリアも順次、拡大していくことで、EC事業の売上高を前期比約1.9倍の100億円にまで高める。EC事業は本腰を入れ、2030年度には1000億円規模の事業に拡大していきたいとしている。

リアル店舗でも、ネットでもシームレスに商品をお客に届ける

2月1日付で社⻑直轄のCX(カスタマーエクスペリエンス)共創推進室を設置した。狙いは、デジタルテクノロジーを活用しながら、リアル店舗、ネットスーパーを併せ商品をいかにシームレスにお客に届けるか。スマホを基盤にして店舗とネットの違いを超えて、シームレスに買物ができるような仕組みを目指すとしている。売場の中でも、スマホと連携した取り組みも模索しているという。

「1000億円はネット、リアル関係なく、お客さまが欲しいタイミングで、欲しい買い方ができる態勢を本格的に取り組まないと達成できない数字」(岩崎社長)。店舗ごと、現状では1店当たりネットスーパーの売上げは2億~2億5000万円が目安になることから、売上高25億円の店であれば10%程度が目安と見ている。

来期、22年4月には「恵比寿ガーデンプレイス」への出店を予定。旗艦店フォーマットの「セントラルスクエア」として出店し、「さらにもう一歩上のチャレンジをして、次世代の新たなSMをつくろうという意気込み」(岩崎社長)で取り組む。インショップのような形でビオラルコーナーを設ける他、ネットスーパーも最大限強化したり、いままでにないテクノロジーを導入した店舗になるという。今回の第六次中期計画後の、次の世代の経営計画の1号店となる見込み。

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