EC在庫管理システム導入のメリットとは?|各社のシステム紹介・比較と併せて解説
2022.10.26
2021.11.04
現在は実店舗での販売だけでなく、インターネット上の店舗でも商品やサービスを販売する企業が一般的だ。
ECサイトでの販売は、来店できない遠隔地にいる顧客からの注文も期待できるうえ、倉庫などを確保し在庫を抱える必要もない。しかし、目の前に在庫がないからこそ、ECサイトでは在庫管理を正しく行うことが、収益を大きく左右する。
本記事では、ECサイトの運営を効率化する在庫管理システムに関して、具体的なサービス紹介を交えて解説していく。
EC在庫管理システムとは
ECサイトでのビジネスが広がるにつれ、在庫管理システムの重要性を認識する企業や担当者も多く、EC在庫管理システムのニーズが高まっている。
実店舗の在庫とECサイトの在庫を管理しているケースも多く、EC在庫管理システムを導入する前に機能性もしっかり確認したいところだ。EC在庫管理システムでできることを詳しく見ていく。
仕入れの数や金額を把握する
EC在庫管理システムでは、仕入れの数や仕入れ金額、売上金額などの把握を行う。どこからいつ仕入れたものかを一括で管理すれば、商品ごとの在庫管理もしやすい。
また仕入れた金額やECで商品が売れた数や金額などもEC在庫管理システムで管理ができる。ECサイトの場合、実店舗とは違い世界中から24時間商品やサービスを購入できるため、在庫の数や仕入れ、売上金額などがリアルタイムですぐに把握できると管理しやすい。
出荷の管理
EC在庫管理システムでは、出荷の管理も行える。どの倉庫や場所に保管されている商品をいつ、どこに出荷するか、注文が入ったあとの在庫確保や梱包から出荷までを管理できるため、人件費の削減にも繋がる。在庫を倉庫間で移動させる場合も、すべてEC在庫管理システムで指示が出せる。
現在の在庫の管理
現在の在庫がいくつあるのかをEC在庫管理システムですぐに確認ができるため、前日までの売上を瞬時に計算したり、新たに商品を仕入れるときに発注する数を正確に把握したりするのに役立つ。
商品を多く発注しすぎてたくさん在庫を抱えることや、売れ行きが好調で品切れの商品が出てしまうのを防げるので、必要なだけの在庫を安定して仕入れて抱えられる。
実店舗の在庫との一括管理
EC在庫管理システムなら、実店舗とECサイトでの在庫を一括で管理できる。実店舗とECサイトを運営している場合、両方の売上や在庫の管理を一括で行えれば、無駄な在庫を抱えずに済む。
また、実店舗の近くの顧客から注文が来た場合に、倉庫ではなく実店舗からの発送を行ったり、店舗の商品の在庫を抑えて店頭での受け渡しをしたりと、出荷、配送の無駄もなくせる。
データの解析
EC在庫管理システムでデータの解析も行える。ECサイトや店舗での売上の管理はもちろん、商品ごとの売れ行きなどもわかるため、商品を仕入れるときの参考にしたり、売上予測を立てたりもできる。
また、注文が入ってから商品の出荷、顧客の手元に届くまでの流れも管理できるので、流通全体の効率アップや対策などの検討もしやすい。
必要書類の作成
請求書や納品書などの必要な書類もEC在庫管理システムで作成が可能だ。注文が入ったり仕入れの発注をかけたりしたタイミングで伝票を作成できるため、社員がパソコンなどを使って書類の作成をする必要がなく、ヒューマンエラーを防いで正確な書類を素早く作れる。
EC 在庫管理を導入するメリット
EC在庫管理を導入するメリットを紹介しよう。もちろんシステム導入にはコストもかかり、デメリットもある。
しかしEC在庫管理システムを使うとどのような点で業務の効率化がはかれるのかがわかれば、導入を検討する際に現状かかっている手作業の手間や時間などと比較しやすい。
正確な在庫数の把握
EC在庫管理システムがあれば、在庫の数を正確に把握できる。前日までの在庫や、今現在の在庫をリアルタイムですぐに確認できるため、在庫確認の時間差がなくなり、余分な発注をする必要がなくなる。
また在庫切れも防げるため、売れ筋商品や在庫の薄い品物だけを仕入れることも可能だ。このため、過剰に在庫を抱えるような無駄なコストを減らし、適正な在庫を抱えられるようになる。
余剰在庫の減少
EC在庫管理システムですべての商品やサービスの管理をし、データの解析をすれば余剰在庫を減らす効果が期待できる。
ニーズのある商品だけを仕入れるようにし、あまり売れない商品の仕入れを控えられるため、店舗で売れない商品をECサイトでセールで売ったり、ECサイトで売れ行きが伸び悩んでいる商品を店舗に回すなど、余剰の在庫も少しずつ減らすことも可能だ。
売り上げへの好影響
EC在庫管理システムで在庫を正確に把握し、データを分析すればある程度の売上の予測も立てられるだろう。
過去の売上を管理し、年齢や性別などの属性別に分析をすれば、売れ行きが見込める商品を多めに仕入れることもできるので売上UPの効果も期待できる。EC在庫管理システムは使い方次第で、在庫の管理だけではなくマーケティング施策にも活用でき得る。
EC在庫管理システムの選び方
EC在庫管理システムの導入を検討するときに、いくつかチェックしたいポイントを紹介しよう。システムを導入する場合、EC在庫管理システムに限らずそれなりにコストがかかる。
コストだけを重視してシステムを選んでしまうと、実際に使用してみて使いづらい点が出てきたり、社内のほかのシステムとの相性が悪かったりと不具合が出ることもある。導入前に、どのシステムがいいか総合的に見極める必要がある。
本当にシステムが必要か考える
まず、本当にEC在庫管理システムが社内で必要かどうか考えよう。現在の在庫管理のシステムや物流の流れの問題点を洗い出し、それらがEC在庫管理システムを導入することで解決するか検討してほしい。
EC在庫管理システムを使うだけでは解決しない問題がある場合や、社内のシステム全体または在庫管理以外の部分も含めたシステムの再構築や導入が必要になるケースもある。
自社の業務にあったシステムを選ぶ
EC在庫管理システムにはそれぞれ特徴があり、備わっている機能も違う。自社の在庫管理を一括して管理できるようなEC在庫管理システムを選ぶ必要がある。
ECサイトの在庫管理や書類作成、データ解析のみなのか、または実店舗とECサイトの在庫を一元化して管理したいのかなど業務のどの部分をシステムでカバーするかを洗い出してみよう。
既存システムと連携して使えるか
多くの企業では、すでに社内で利用しているシステムがある。EC在庫管理システムを導入する際に、既存の自社システムと連携ができるかは必ずチェックしよう。
社内の物流システムやすでに使用している受注品のピックアップシステムなどと一緒に使えないと不便なうえ、かえって人的な作業量が増えてしまうことも。データ共有やシステム連携ができるかどうかは重要なポイントだ。
コストは適正か
EC在庫管理システムに求めるものが明確になったら、コストパフォーマンスを検討しよう。高機能だが高すぎるEC在庫管理システムは、使わない機能などがあると無駄になる。
またコストが安くても欲しかった機能がすべてないものでは意味がない。オプションで機能をオーダーしてかえって総コストが高くなってしまうことも考えられる。システムの機能に対してコストが適正か検討しよう。
代表的なEC管理システムを紹介
EC在庫管理システムはさまざまなメーカーから販売されている。それぞれ特徴があるので詳しく紹介していこう。自社システムや業務と合うものがあるか参考にしてほしい。
CROSS MALL
株式会社アイルが作成しているソフト「CROSS MALL」は、5,000社の導入実績のあるEC在庫管理システム。
在庫管理のほかに商品登録・受発注管理、仕入れなどの業務を一元管理できる。ECを多店舗展開している企業や物流企業などにもおすすめだ。POSシステムと連携可能。初期費用がかからないのでコスパもいい。
NEXT ENGINE
Hamee株式会社が提供している「NEXT ENGINE」は、40名以上の専任エンジニアが開発したシステム。30,034件の運用実績がある。
受注管理、在庫管理、商品登録などを一元管理できる。使いたい機能を使いたいタイミングで導入できるのでフレキシブルだ。月額10,000円からで、注文件数によって従量課金制で料金がかかる。
TEMPOSTAR
NHN SAVAWAYの「TEMPOSTAR」は、ヤフオク!やFBAと連携できる機能がついたシステム。3,500社以上の運用実績があり、設定や導入、使い方を店舗ごとにサポートしてくれる。
月額10,000円からで、従量プランと定額プランから選べて商品課金と受注課金の合計で金額が決まる。30日間の無料トライアルがあるので、気軽に試せるのも嬉しい。
アシスト店長
株式会社ネットショップ支援室が提供する「アシスト店長」。在庫管理のほかに顧客管理や分析管理、メール管理などができる。
また、受注伝票、出荷伝票、納品書、後払い払込票を一体化して出力。受注管理機能は月額10,000円~、在庫管理機能は5,000円~からとなっている。
CAM MACS
株式会社キャムの「CAM MACS」は、クラウド型の基幹系情報システム。チャネルごとに自社倉庫、委託倉庫の在庫管理を統一化できる。月額は35,000円〜。30日の無料トライアルがあるので、試してから検討できる。
Aladdin Office
株式会社アイルの「Aladdin Office」は、オリジナルのCROSS-OVERソリューションを使用し、Webとリアル両方を一元管理。
各業界や業種によって必要な機能をカスタマイズできる柔軟性があり、実績は5,000社以上でリピート率が98.3%と高い。システム開発から提案、実装、メンテナンスなど一貫したサポートも充実している。
まとまるEC店長
株式会社ブランジスタの「まとまるEC店長」は、クラウド型の在庫管理システム。インストールなどの設定が不要ですぐに使えるのが魅力。月額9,800円と安い定額制なので、コスパを抑えてシンプルな機能を使いたい企業におすすめだ。
助ネコ
株式会社アクアリーフが提供する「助ネコ」もクラウド型のシステム。在庫切れの前にお知らせメールで発注のタイミングを知らせてくれる。
また、セールのときなど期間限定で高速化オプション機能などを利用できる。使いやすい操作なので、初心者やパソコンに慣れていない人でも管理しやすい。30日間の無料トライアルあり。
EC在庫管理システムを選ぶときの注意点
EC在庫管理システムを選ぶときに、陥りやすい点について解説する。システム導入はコストはもちろんだが、その後の業務がスムーズに進行するかどうかを判断して選ぶ必要がある。
1人の担当者の目線だけで選んだり、機能やコストについて十分に検討せず導入したりすると失敗することもあるので気をつけよう。
不要な機能がついてないか
多機能なEC在庫管理システムを見ると、非常に使いやすい気がしてしまうが、自社のシステムでは使わない機能がついていても仕方がない。定額制や使った分だけの料金課金なら問題ないが、機能が多い分ランニングコストがあがるEC在庫管理システムもある。また余計な機能があると誤操作の原因にもなりかねない。不要な機能が多すぎないかチェックしてほしい。
業務実作業車が使いやすいか
EC在庫管理システムを導入して使う部署全体の社員や作業員が使いやすいものを選ぼう。専門的な知識が必要なシステムや複雑な操作のシステムを選んでしまうと、EC在庫管理システムを操作する人が限られてしまい、かえって業務効率化が妨げられる場合もある。シンプルで簡単な操作のものがベストだ。
コストだけで選んでいないか
コスパはシステム導入を検討するうえで大切なポイントである。しかし、コストを重視しすぎると必要な機能が足りなかったり、一元管理やデータ分析など売上向上に役立つ機能がついていなかったりする。せっかく導入を検討するのだから、必要かつ十分な機能があったシステムを選びその中からコスパのいいものに決めたい。
EC在庫管理システムまとめ
EC在庫管理システムは、実店舗やECサイトの在庫管理が一括で行えたり、帳票の作成やデータ分析など、さまざまな業務の効率化に役立つ機能が使えたりする便利なシステムである。
自社システムと連携ができて、必要な機能が揃ったシンプルな操作方法のものを選ぼう。無料トライアルを提供しているところもあるので、導入前にぜひお試しで使ってみてほしい。