販売管理システムとは?特徴やメリットを、代表的なサービス紹介と併せて解説
2022.10.27
2021.12.09
商品の発注や受注、在庫管理や請求、仕入れなどのお金の管理は、販売管理システムで行うと効率的だ。ミスを減らせるばかりでなく、人件費を抑えることもできる。販売管理システム導入を検討するときは、自社のシステムや関係部署で使いやすいものを選ぶといいだろう。押さえるべきポイントや注意点についても詳しく解説する。
目次
販売管理システムでできることは?
商品を仕入れて販売するまでにはさまざまな過程があり、ソフトを使って管理したり紙で処理をしたりすると、ミスが起きる可能性が高くなり、トラブルやクレームにつながる場合がある。
これらの販売に関する業務一連を一括で管理できると、効率化を計れるだけなく的確に収支の計算ができ、商品仕入れのマーケティングもスムーズに行えるようになる。販売管理システムでできることは、主に次のような業務である。
受注発注の管理
販売管理システムでは、どの商品をいくつ発注したか、納期はいつか、何の注文がいつ来るか、商品の発送手順や納品予定日など受発注に関する業務を管理する。受注した数に合わせて仕入れを行ったり、発注した商品の配送が完了したかどうかなど一連の流れを把握したりできるようになるので、余剰在庫を多く抱える必要がなくなり、コスト削減が期待できる。また、顧客満足度の向上にもつながる。
在庫管理
販売管理システムで在庫を管理できる。仕入れた商品がいつどのくらい売れたのか、売れ行きのよい商品は何か、あまり売れなかった商品の種類、仕入れから販売までどのくらいの時間がかかったのかなどがわかるため、人気の商品を多めに購入したり売れない商品の仕入れを控えたり、在庫がなくなる適度なタイミングで商品を仕入れたりと顧客のニーズに合わせた商品を揃えられる。
支払いや売上、請求書の管理
販売管理システムでは、会計に関する管理もできる。商品を仕入れた際の支払いの確認や受注した数と売上金額、請求書の作成や代金回収、納品書の管理などを一括で行えるので、支払い漏れを防止できる。商品発送後の入金確認なども商品ごとや顧客ごとなどさまざまな属性からチェックができるようになる。
販売管理システムを導入するメリット
販売管理システムを導入することには、さまざまなメリットがある。
業務の効率化をはかれる
販売管理システムを使えば、今まで手で入力して管理していた注文者の基本情報や仕入れ伝票、請求書や納品書などの書類作成が簡単な操作で行えるようになるので、業務の効率化をはかれる。システムで管理するため、ダブルチェックなどの必要もなくなり、販売管理に必要だった人件費も大幅に削減できる。コストを下げて、売上アップが見込めるようになる。
人的ミスを減らせる
人の手で在庫管理や受発注、伝票または請求書作成などを行うと、どうしても人的ミスが発生する可能性がある。しかし販売管理システムを使えば、販売に関する情報を一元化でき、必要な情報だけをすぐに取り出して閲覧したり、紙面にアウトプットしたりできる。また、転記するときの記載ミスや記載漏れなどがなくなるので、ヒューマンエラーによるトラブルやクレームなどがなくなる。
データを活用できる
販売管理システムを使えば売上の管理、注文情報などのデータを蓄積できる。商品を発注するときに売れ行きのいい商品の仕入れを増やしたり、購入者の属性(年齢・性別・居住地域・購入履歴など)から過去の売上の傾向を判断し、次の商品仕入れで有効活用したりできる。また過去の売上データだけでなく、今週、昨日、今日などリアルタイムの販売状況も確認できるので、スピーディかつ的確な経営方針を立てられる。
販売管理システムの主な機能
販売管理システムにある基本的な機能を紹介しよう。業界や業種別に必要な機能をカスタマイズすることもできるので、自社の販売管理にどの機能があると便利で業務の効率化が計れるのか、導入前に関係部署と詳しく検討することをおすすめする。
在庫管理
販売管理システムで、販売における在庫管理を一括で行える。受注数、注文を受けた商品の出荷、現在の在庫状況などを検索、瞬時に確認できるので、的確なタイミングでの出荷指示を出したり、リアルタイムの在庫状況を確認したり、売れ筋商品の追加注文を行ったりできる。
顧客からの注文に迅速に対応できるだけでなく、在庫切れを減らし人気の高い商品を多く仕入れられるので、売上にも影響してくる。もちろん棚卸しの際のデータ入力や管理などもできるので、毎月の棚卸し業務の効率化にもなる。
債権管理
販売管理システムでは販売に関する会計管理も行える。見積りや請求書などのデータ入力や発行、検索機能が使えるので債権回収漏れや未収件数のチェック、入金後の消し込みなどがすぐに行える。
既存の自社会計システムからのデータ取り込みやエクセル、CSVへ出力などの機能があるものなら、販売管理システム導入後、すぐに現在までの債権に関する情報を一括で管理できるだろう。
支払い管理
商品を仕入れる際の管理も販売管理システムで行える。毎週、毎月などいつ発注するのか、在庫がどのくらいのタイミングで注文すればいいのか、仕入れに対する支払い期日や金額など支払い管理に関する機能があれば、管理者の手間も大きく省け、売上と支払いのバランスが整う。
受注してから在庫を確認し、なければ仕入れるといった流れではなく、顧客のニーズや売れ行きを判断して常に適切な量の発注、仕入れを行えるようになる。
販売管理システムの種類
販売管理システムには大きく分けてクラウド型とオンプレミス型の2つがある。それぞれどんな特徴があるのか、またメリットについても詳しく紹介しよう。
クラウド型
クラウド型は、インターネットを経由してソフトウェアを利用する販売管理システム。自社のサーバー用のハードを準備したりパソコンにソフトをインストールしたりする必要がないので、導入コストを抑えられる。また、月額の利用料を支払う方式なので、ランニングコストも抑えられる。システムのアップデートやメンテナンスは、販売管理システムを提供する企業が行ってくれるところが多いため、インターネットがある環境ならどこでも簡単な操作で運用できる点もメリットといえるだろう。
オンプレミス型
オンプレミス型は自社サーバー用のハードウェアを購入し、パソコンにソフトウェアをインストールしてから端末同士を社内ネットワークで繋いで使う販売管理システムだ。自社の販売システムにあったものを開発してもらえるので、柔軟にカスタマイズができる。また、インターネットを経由しないため、通信障害のときでも業務に支障が出ない点もメリット。
一方、ハードウェアやソフトウェアを購入する必要があるため、初期費用が高くなる点はデメリットといえる。また、導入後のアップデートやメンテナンスの管理も行わなければいけない。
販売管理システムの選び方
販売管理システムの選ぶときのポイントを紹介しよう。初期費用が安いものを選んでも、自社の販売管理に合ったオプションをつけると最終的に高額になってしまったり、ランニングコストがかかりすぎたりするケースもある。価格だけでなく、自社の既存システムとの連携や販売管理システムを使う担当者の使いやすさなど考慮し、慎重に検討する必要がある。
業務内容に合っているか
まず、自社の販売管理に合う機能が揃っているか確認しよう。自社で扱う商品を管理したい製造業の場合、商品管理だけでなく製造管理、出荷管理もできるシステムだと便利である。
一方、商品ではなくサービスやインターネット上のIT関係の商品を販売する企業なら、在庫管理や出荷管理などは必要ない。仕入れや売上管理などお金に関するシステムとあわせて、自社の商品やサービスに合った利用の仕方ができるシステムを選ぶといいだろう。
特化型にするか凡庸性の高いものにするか
販売管理システムには、業界や業種に特化したものや幅広い業種や企業で利用できる凡庸性の高いシステムなどがある。特化型の場合、食品業、アパレル業の値引きやセールなどに対応したシステムなど、それぞれの業界の販売管理がしやすい機能が標準で搭載されているので、カスタムせずとも使いやすい。
一般的な在庫を仕入れて販売するスタイルの企業なら、凡庸性が高いものが低コストで導入できるだろう。必要な機能をオプションで装備しようとするとコストが高くつく場合もあるので、注意が必要だ。
コストに見合っているか
販売管理システムの費用は、ハードウェアやソフトウェアを買い切って使うインストールタイプと、毎月料金を支払って使うクラウドタイプがある。インストールするシステムなら初期費用しかかからないが、メンテナンスやアップデートなどを自社で行いながら使わなければいけない。
クラウド型の場合、毎月定額で利用できてメンテナンスやアップデートも販売会社が行ってくれるので、システムに詳しくない人でも簡単に利用できる。しかし、毎月利用料がかかるため、長期で使用するとコストが高くなる。どのくらいのスパンで利用するつもりかを考えて、最適なものを選びたい。
販売管理システム導入を検討するときの注意点
販売管理システムの導入を検討するときに、注意したい点について。
運用頻度とコストが見合っているか
導入のコストやランニングコストとシステムを、社内でどのくらいの頻度で利用するつもりかを比較してみよう。週に1回、月に1回程度の販売管理を行うのに、高額なシステムは必要ない。また、導入時のコストだけでなく、導入後のメンテナンス、サポートなどが充実しているシステムなら、実装してからのトラブルも少なく使えるだろう。総合的に販売管理システムのコストが適切か、さまざまな角度から検討してほしい。
関係部署すべてで使いやすいか
在庫管理を行う部署、経理など、販売管理システムを使う関係部署の担当者全員が使いやすいシステムを選ぼう。全員が全員、システムやパソコンの操作に詳しい社員ばかりではない場合もある。また異動で人が変わってもスムーズに業務を引き継げるかどうかも、あらかじめ考慮しておきたい。
導入後のサポートがあるか
導入後に販売管理システムのサポートやメンテナンスがあるかどうかも確認したいポイントだ。自社ですべて行える場合はいいが、システムに詳しい人材がいない場合、販売管理システムのアップデートやメンテナンスに手間がかかり、業務に支障が出ることも考えられる。ヘルプデスクなど困ったときにいつでも相談できる窓口などが設けられているところなら、社内に詳しい担当者がいない状況でも安心だ。
販売管理システムの比較
様々なメーカーが販売管理システムを提供しているので紹介しよう。
アラジンオフィス
導入社数5,000社を超える販売管理・在庫管理パッケージシステム。小売や卸販売、商社、製造、加工など業種別に対応している業種特化型システムだ。パッケージが数多くあり、商材もいろいろなので、5,000社を超える企業で使われている。カスタマイズ開発や導入時の研修、導入後のメンテナンスやトラブルの対応などサポートが充実している点もおすすめだ。
WorkVision販売管理
製造業や卸売業に特化している販売システムが、WorkVision販売管理である。クラウドサービスなので、低コストで利用できる。
TRADING
TRADINGは、貿易関係に特化した販売管理システム。輸出入の販売、在庫管理、通貨の変換や英文での文書作成や出力などにも対応。パッケージになっているので低コストで、導入してすぐに使える。導入後のサポートも万全だ。
懐刀
食品業界に特化しているのが懐刀である。ロットの在庫管理や特売の管理などもできる。食品メーカーだけでなく卸売や小売業でも使えるシステムだ。
ApaRevo
ApaRevoは、アパレル向けの販売管理システム。商品別はもちろん倉庫別や商品倉庫別などで管理ができる。POSと連携しているので、店舗ごと、委託先ごとの在庫管理などもできる。
楽楽販売
楽楽商売は、凡庸型のクラウドシステム。それぞれの企業の業務に合わせて、システムを柔軟にカスタマイズできる。
SKit FLEXi
一般的な販売管理や在庫管理、会計や情報分析などができるシステム。ほかにも外注管理や受注発注連動、販売管理個別受注、個別原価管理などもhttps://skitflexi.jp/index.htmlできる。運用に関する業務をすべて委託することも可能だ。
楽商
楽商は、中小規模の卸売業向けの販売管理や在庫管理システム。特化型のパッケージシステムが16種類揃っている。見積処理や輸入処理、ロット管理、CRM、CTI、ハンディターミナル活用などオプション機能もある。
DeskAssist
小規模企業や個人事業主など向けの販売システムが、DeskAssist。一般的な販売管理システムの中から、必要な機能だけを選択して使えるのでコストを抑えられる。操作が簡単で使いやすい点にも注目したい。
販売管理システムは自社に合うものを
販売管理システムは、自社の販売特性に合ったものを選ぶといいだろう。システムにはクラウド型やオンプレミス型があり、業界に特化したシステムや凡庸性の広いシステムなどさまざまである。コストと使いやすさ、利用頻度や使用するつもりの年数なども合わせて検討して、最適なものを選びたい。