什器とは?意味や業態毎に店舗で活用される種類、レンタル・購入における選び方などを解説
2023.01.05
2022.11.17
店舗・オフィスを構えて新しいビジネスに乗り出す際、必要となるのが什器。ビジネス領域では度々使用される用語だが、日常生活で耳にする機会は少ないため、意味を理解し切れていない人もいるはず。
本記事では、什器の概要から種類、レンタル・購入する上でのメリットとデメリット、選び方まで解説していく。
什器とは?意味や読み方とは?
什器とは、「じゅうき」と読む用語で、一般的には日常生活で利用する家具・道具・器物・備品などを指す。主にビジネスシーンにおいて活用されているため、生活者が日常的に使用する場面は少ない。
什器の一例を挙げると、店舗で利用するショーケース・調理器具・ワゴン、オフィスで利用するデスク・キャビネット・書棚などが該当。
ビジネスを展開する上では必須とも言える什器だが、物品を購入する以外に、レンタルして揃える方法もある。初期費用を抑えたい場合や、ポップアップストア・催事・野外展示会など一時的なイベントを開催したい場合にも、什器のレンタルは多くの事業者に利用されている。
什器の種類
什器には大きく分けると、「店舗什器」と「オフィス什器」の2種類が存在する。各タイプの什器例とともに、詳細を解説していく。
店舗什器
飲食店・アパレル店・物販店などで利用され、店舗の運営・営業に必須とも言える物品が、店舗什器だ。店舗什器は、売上に大きく影響すると言っても過言ではないほど、重要な役割を担っている。業界・業態別に見た店舗什器の例や、その重要性を見ていこう。
スーパー
スーパーで利用される什器例としては、下記が挙げられる。
- 商品陳列棚
- 冷凍冷蔵ショーケース
- レジ台
- サッカー台
- 接客カウンター
- ワゴン・台車
- カートゲート
商品陳列棚は、消費者の商品視認率および訴求力を高め、購買率の向上につなげるスーパーの必須物品。とは言っても、商品陳列棚には青果用・パン用・酒類用・菓子用などさまざまな種類が存在する。自店で扱う商品によって、商品陳列棚を選定することが重要だ。
生鮮食品・飲料品・冷凍食品などを販売する場合は、冷凍・冷蔵ショーケースも必須。寸法はもちろん、扉が大きく開くスイング式・横にスライドするスライド式など、顧客の導線を意識した扉設計も必要となる。
その他、レジを設置するレジ台や、購入者が買い物袋へ袋詰めを行う作業台のサッカー台、重量のある商品を運ぶ用のワゴン・台車、ショッピングカートを収納するカートゲートなど、利用する什器はさまざま。また、衣料品を扱う場合は、ハンガーラックやスタンドミラーの調達も行いたい。
アパレル店
アパレル店で利用される什器例としては、下記が挙げられる。
- 商品陳列棚
- ハンガーラック
- ミラー
- マネキン・トルソー
- フィッティングルーム
- オブジェ
アパレル店の商品陳列棚も多種多様。例えば、畳まれた衣服や小物を並べるディスプレイテーブル、靴を並べるシューズラックなどが存在する。商品を目立つように展示して訴求力の高いブースを構築したり、他店との差別化を図る上でも重要な什器である。
アパレル店ならではの什器として、マネキン・トルソーやフィッティングルームも必須。マネキン買いの促進で売上向上につなげたり、フィッティングルームを設置して購入後の返品を防止することも可能だ。
その他、おしゃれな照明やオブジェなども配置しておけば、居心地の良い空間で滞在時間・集客効果を高めることも期待できるだろう。
飲食店
飲食店で利用される什器例としては、下記が挙げられる。
- 食器
- 食器棚
- 調理器具
- ガスコンロ
- 冷蔵・冷凍庫
- 製氷機
- テーブル
- 椅子
- 照明
飲食店は、展開する業態次第で必要な什器も異なってくる。例えば、ラーメン店であれば製麺機・ゆで麺機、ベーカリーであれば専用オーブン・発酵機なども調達が必要と言える。
また、顧客が利用するテーブル・椅子も業態に合わせて選定することが重要。快適な空間であるほど滞在時間は伸びる傾向にあるため、カフェでは座り心地の良い椅子を用意、逆に回転率を高めたい場合は、あえて小さいテーブルや硬い椅子を設置することで、滞在時間の短縮を見込めるだろう。
美容院
美容院で利用される什器例としては、下記が挙げられる。
- シャンプー台
- カット椅子
- デジタルパーマ用機器
- ワゴン
- 音響設備
- 照明
- オブジェ
美容院では理想の髪に仕上げたい、髪の悩みを解消したいという顧客ニーズがあるのはもちろんのこと、ゆったりくつろげる空間で過ごしたいというニーズも存在する。シャンプー台やカット椅子など大型の設備も必要となる美容院だが、音響設備・照明・オブジェといった什器にもこだわり、癒しの空間を提供できると差別化にもつながるだろう。
オフィス什器
オフィスを運用する上で利用する什器が、オフィス什器だ。オフィス什器の例としては、下記が挙げられる。
- オフィスデスク
- オフィスチェア
- キャビネット
- 会議用チェア
- ワゴン
- 書棚
- ソファー
- パーテーション
- ホワイトボード
- 金庫
従業員が業務に従事する上で、オフィスデスクやオフィスチェアは必需品。オフィスデスクのサイズ・形状はさまざまだが、事務職であれば書類を置けるスペース、技術職であればディスプレイを設置できるスペースなど、職種によっても最適なデスクは異なってくる。
会議室にデスクを設置するのであれば、フリーアドレスデスクがベスト。業務の効率性に関わるオフィスデスクは、オフィス什器の中でも非常に重要と言える。
作業環境を整え、仕事の生産性を向上させるオフィス什器だが、最近ではおしゃれな物品も数多く登場。植物を取り入れ自然を感じられるオフィス、落ち着いた雰囲気でリラックスできるモダンなオフィスなど、雰囲気を重視して作業環境を構築する企業も増加している。
おしゃれなオフィスは、社員のモチベーション向上や離職率の低下にも直結。新しくオフィス什器を取り入れる企業は、デザイン性にも着目してはいかがだろうか。
什器をレンタルするメリット・デメリット
ここでは、什器をレンタルするメリット・デメリットを解説していく。
什器をレンタルするメリット
初期費用を抑えられる
店舗・オフィスを構える上では、大型の高額な物品から小型の安価な物品まで、さまざまな什器を取り揃える必要がある。それ故に、まとまった資金を準備しなければならないが、レンタルであれば初期費用を大きく抑えられる。
仮に、新規事業を撤退することになっても、イニシャルコストが低いため、金銭的リスクを低減可能。早期に利益を出し、会社を軌道に乗せたい場合にも、什器のレンタルはおすすめである。
メンテナンス・廃棄費用が発生しない
依頼する事業者にもよるが、什器のレンタルには修理費やメンテナンス費用が発生せず、加えて廃棄費用もかからないのが大きな特徴。また、レンタル費を経費で計上するため、固定資産税や減価償却も必要としない。
什器を管理する手間が減り、事務員の負担も軽減可能と言えるだろう。
短期間の利用も可能
什器のレンタルは、下記のような短期間の利用にもおすすめできる。
- 期間限定の展示会を開催したい
- ポップアップストアを開きたい
- 催事やセールのときだけセール用ワゴン什器を使いたい
什器を購入する場合、未使用時は保管しなければならないが、レンタルであれば必要なときに必要なだけ取り揃えることが可能。使用しない什器を抱えておく倉庫を持たない事業者にも、レンタルは最適と考えられる。
什器をレンタルするデメリット
中古品が基本となる
レンタル什器は新品のケースもあるが、基本的には中古品が配送される。顧客の目に触れる什器である場合や、オフィスの清潔感やインテリアにこだわりたい事業者は注意が必要。
事前に什器の状態をレンタル事業者に聞くのも1つと言えるだろう。
長期間のレンタルはコストが高くなる
什器の長期間レンタルは、本来の製品代金よりも高額になるケースがある。ポップアップストアなどで一時的に利用する什器ではなく、故障するまで使用するオフィス什器であれば、購入したほうがコストを抑えられる可能性も。
利用期間も踏まえ、什器のレンタルを検討してほしい。
什器を購入するメリット・デメリット
次に、什器を購入するメリット・デメリットを見ていこう。
什器を購入するメリット
目的に沿った什器が見つかる
目的に沿った什器を探したい事業者には、製品の購入がおすすめ。什器のレンタル品は購入するよりも、種類が限定されているからだ。
サイズ・デザイン・機能性など、細部の仕様にまでこだわりたい場合は、幅広い什器から選択できる購入を推奨する。
資産として計上できる
什器は企業の資産として計上できるのも1つのメリット。減価償却の対象となるため、毎年減価償却費を計上し、法人税の節税効果を期待できる。
また、得られた収益に対する費用も可視化し、損益を把握可能なのも什器を購入する魅力と言えるだろう。
什器を購入するデメリット
製品の組み立てが必要になる
多様なパーツで構成される什器は、当然ながら自社で組み立てを行わなければならない。それに対し、什器のレンタルでは事業者が組み立てを代行するケースも多い。
また、セッティングまで行ってくれるレンタル事業者も存在するので、什器の購入はレンタルよりも設置に工数を要する点も考慮しておきたい。
新しい什器に買い替えにくい
一度購入した什器は使えなくなるまで、長年に渡り利用し続けるのが基本。しかし、オフィス家具を古いデザインからアップデートして社員のモチベーション向上につなげたり、高機能な什器と交換したいケースもあるだろう。
新しい什器の購入は高額な費用も発生するため、気軽に入れ替えるのは困難。定期的に什器を交換したい場合は、レンタルのほうが適していると考えられる。
什器をレンタル・購入する際の選ぶポイント
什器は闇雲に安い製品をレンタル・購入するのではなく、正しい選定ポイントを踏まえて、店舗の販促やオフィスの作業環境構築などにつなげることが重要。ここでは、什器の選び方を解説していく。
コンセプトに沿った什器を選ぶ
什器は店舗のイメージにも直結する重要な物品である。例えば、小物やアクセサリーを販売する雑貨店であれば、什器は商品の魅力を引き立てる言わばアクセント。おしゃれな木目調の陳列棚やガラスディスプレイテーブルなどに商品を配置することで、より顧客の興味関心を引ける。
オフィスに関しても機能性だけでなく、コンセプトに沿ったデザイン性の高い什器で環境を構築しておけば、人材確保・社員のモチベーション向上・コミュニケーションの促進といったメリットを享受可能。また、統一感のあるオフィスは来客顧客からの印象を良くし、良好なパートナーシップの構築も期待できる。
単におしゃれな什器を選ぶのではなく、店舗・オフィスのコンセプトに合った什器を選定してみてほしい。
安全性の高い什器を選ぶ
什器を選ぶ際は、安全性を必ず考慮しよう。例えば、縦長の陳列棚は多くの商品を顧客へアプローチできるが、奥行が短いとバランスを崩しやすく、倒れてしまう可能性も。奥行きの長い土台のしっかりした陳列棚、もしくは転倒防止金具を取り付けるなどの対策が必須となる。
什器の耐荷重に関しても、忘れてはいけないポイント。さまざまな商品をアピールしたい思いの余り、棚やテーブルに商品を陳列しすぎると、什器の転倒・床の破損といった危険が生じる。耐荷重をオーバーしない余裕を持った商品陳列が大切と言えるだろう。
また、什器の移動のしやすさも、安全性を考慮する際には重要。導線の再設計やセール時などに店舗内の什器を移動するケースもあるが、重たい什器は移動に時間を要して非効率であるだけでなく、従業員の事故につながる危険性も。軽量設計の什器やキャスター付きの什器であれば、リスクを低減することも可能だ。
顧客はもちろん、従業員の安全も確保できるような什器選びを心掛けたい。
什器のまとめ
什器は業界を問わず、店舗・オフィスを構えたビジネスを展開する上で必ず押さえておきたい用語。物品を揃える際は、まずレンタル・購入どちらの方法を選ぶかが1つのポイントとなっている。
短期利用する場合はレンタル、長期利用する場合は購入など、一概におすすめの調達方法はないため、臨機応変に使い分けることが重要。什器を上手く活用し、店舗の販促やオフィスの快適性向上などにつなげてみてほしい。