JANコードとは?意味や作成方法、JANコードを作る必要性やメリットなどを解説

2023.01.06

2022.12.14

JANコードとは、13桁または8桁のバーコードで表示される商品識別番号である。特にPOSシステムや在庫管理システムを活用して商品販売、在庫管理を行う事業者には欠かせないコードで、導入することで業務効率化や販路拡大、人手不足の解消などが期待できる。今回はJANコードのデータ構成や導入時の注意点、作成から運用までの流れについて解説する。

JANコードとは

JANコードは、Japanese Article Numberの略称で、事業者と商品を識別するための国際的なコードである。JANコードは日本における呼び名であり、国際的には、EAN(European Article Number)コードやGTIN(Global Trade Item Number)-13、GTIN-8などと呼ばれている。

買い物の際に、店頭に並べられた商品に付けられているバーコードを目にしたことがある人は多いだろう。そのバーコードの下部に表示されている数字がJANコードである。JANコードを読み取れば、どの事業者のどの商品かが簡単に特定できる。そのため、POSシステムや商品管理システムを運用する事業者にとって、JANコードの導入は必須といえる。

JANコードのデータ構成

JANコードは、13桁の数字からなる標準タイプと、8桁の数字からなる短縮タイプの2種類に分けられる。それぞれのタイプのデータ構成について詳しく解説する。

標準タイプ(13 桁)

標準タイプは、左から、GS1事業者コード(10桁、9桁、7桁の中から事業者が選択)、商品アイテムコード(2桁、3桁、5桁)、チェックデジット (1桁)の順に並んでいる。

GS1事業者コードとは、国と事業者を識別するコードである。日本の場合は、45または49から始まり、その後に事業者を表すコードが組み合わせられている。商品アイテムコードは、商品1つ1つに割り当てられるコードである。

同じ商品でもサイズや色、内容量や香りなどによって異なる数字が割り当てられる。チェックデジットは、所定の計算式によって算出された数値で、コードの読み取りや入力間違いを防ぐための確認番号として設けられている。

短縮タイプ(8桁)

短縮タイプは、左から国コード(2桁)、GS1事業者コード(4桁)、商品アイテムコード(1桁)、チェックデジット (1桁)の順に並んでいる。標準タイプより少ない計8桁で構成されており、細かな商品や小さい商品など、バーコードを印刷するスペースが限られる商品で多く採用されている。

JANコード導入で期待される効果

JANコードの導入は、事業者にどのようなメリットをもたらすのだろうか。ここからは、JANコード導入によって、期待されるメリットや効果について詳しく解説していく。

業務効率化を実現

JANコードは、他商品との重複がなく、バーコードを読み取るだけで商品の識別が可能である。そのため、棚卸業務や検品業務、データベース管理など、さまざまなシーンでの活用が期待できる

棚卸業務や検品業務にJANコードを導入すれば、今まで手間や労力のかかっていた作業が、バーコードを読み取るだけでできるようになる。簡単な作業で素早く正確に商品情報を把握できるため、大幅な業務効率アップが期待できる。

販路拡大のチャンス

近年は、通常の小売店舗だけではなく、ECサイトや道の駅、物産展などでもJANコード表示が求められる傾向がある。JANコードを導入することで、幅広い販売経路へスムーズに対応できるのは大きなメリットといえる。

また、JANコードを活用して在庫管理を行えば、どの店舗に何がどのくらいあるかがリアルタイムで把握できる。自店にはないが他店になら在庫があるといった情報がすぐにわかるので、販売機会のロスを防ぐことにも繋がる。

人手不足の解消

繁忙期になると人手が足りない、在庫管理などに人手を取られて本来行うべき業務が疎かになっているという悩みを抱えている事業者は多いのではないだろうか。JANコードを導入すれば、そういった課題の解決も期待できる。

JANコードは、バーコードを読み込むだけで商品識別ができる。効果的に活用すれば、商品の検品・仕分け・梱包など、従来人手をかけて行っていた出荷業務などの時間、人的コストを大幅に短縮できる。

またJANコード導入により、誤積みや誤出荷などのミスの軽減も期待できる。出荷業務を従来の人による確認から、JANコードでの読み取り・確認という手順に切り変えたメーカーでは、誤積みや誤出荷の件数が1/10程度に抑えられたという事例も報告されている。

業務時間の短縮やトラブル対応の軽減により、これらの業務に充てていた人材を、より生産性の高いコア業務へ回すことも可能となる。

JANコード導入時の注意点

業務効率化、人手不足の解消など、JANコードを導入することで多くのメリットが期待できる。しかし、コスト面や運用面でのデメリットも少なからず存在する。ここからは、特にJANコード導入時に注意すべき点について解説していく。

導入コストがかかる

JANコード導入時の障壁として、まず挙げられるのがコスト面といえるだろう。JANコードを導入する際には、バーコードを読み取るハンディターミナルやタブレットなどの専用機器や、在庫管理などを行うソフトウェアの新規導入が必須となる。

既存の在庫管理システムがある場合は、JANコードに対応するようシステムの再構築をしなければならない。また、本社以外に工場や倉庫、営業所など、拠点が複数ある場合は、全拠点にシステム導入が必要な点も忘れてはならない。

運用開始前には扱う商品全てにバーコードを貼り付ける業務も発生する。そのため、シール印刷にかかるコストや、貼り付けにかかる時間コストも確保しておく必要がある。

運用のマニュアル化が必要

JANコードを円滑に導入するためには、作業手順をマニュアル化、仕組み化しておくことが重要である。バーコードの作成方法から貼り付けまでの手順、仕分け方法やミスが起きた際の対処法など、従業員に混乱が起きないよう、事前にしっかりと準備しておく必要がある。

また導入後、効果的にJANコードの活用を進めるためにも、JANコードを導入する意義や理由の説明、マニュアルの周知など継続的な従業員教育も必須といえる。

JANコード作成の流れ

JANコードを導入するにはどのような手順を踏めばいいのだろうか。ここからは、初めてJANコードを作成する際の流れや注意点などについて説明していく。

GS1事業者コードの登録

まずは、JANコード作成に不可欠なGS1事業者コードの登録を行う。GS1事業者コードは、GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)へ申請をすれば登録が可能である。

申請方法は、インターネット申請と書面申請の2種類。インターネット申請の場合は、GS1 Japanホームページの申請フォームに必要事項を入力し、振込などで登録申請料を支払う。支払い完了後、約7営業日で「GS1事業者コード登録通知書」が届く。書面申請の場合は、GS1 Japanのホームページから登録申請書を取り寄せ、必要事項の記入・郵送、登録申請料の支払いを済ませた後、約2週間で登録通知書が届く。

新規申請の際には、初期申請料と登録管理費の2種類の費用が必要となる。それぞれの金額は、事業者全体の年間売上高と支払年数(1年払い、3年払い)により決定される。例えば、年間売上高が1億円以上10億円未満の事業者が3年払いを選択した場合は、初期申請料22,000円、登録管理費20,900円の計42,900円(税込)が登録申請料となる。

GS1事業者コードの有効期限は3年と定められている。有効期限後も継続してコードの利用を行う場合は、更新手続きが必要である点も覚えておこう。

商品アイテムコードの設定

GS1事業者コードの登録を終えたら、次は商品アイテムコードの設定を行う。標準タイプで、GS1事業者コードが10桁の場合は2桁(00から99)、9桁の場合は3桁(000から999)、7桁の場合は5桁(00000から99999)の番号から任意で商品アイテムコードを設定する。

商品ごとだけではなく、内容量や色などによって異なる番号を設定する必要があるため、重複がないよう注意が必要である。また、一度使用したJANコードは別の商品に再利用できない。

GS1 Japanでは、商品アイテムコードは若い番号(01、001など)から順番に設定することを推奨している。これは、一部の桁の数字を商品分類別や部門別の数字として設定すると、変更などがあった際に管理に支障をきたす恐れがあるためである。

チェックデジットの算出

GS1事業者コード、商品アイテムコードの設定が完了したら、最後にチェックデジットを算出する。チェックデジットは、JANコードの一番右端の数字であり、検証数字、検査数字とも呼ばれている。チェックデジットの計算方法はやや複雑で、設定したGS1事業者コードと商品アイテムコードを偶数桁、奇数桁にわけ、その数字を足したり、引いたり、掛けたりして求める。

GS1 Japanのホームページでは、チェックデジットを自動計算できる入力フォームを設けている。

標準タイプ・短縮タイプともにGS1事業者コードと商品アイテムコードを入力すれば、自動的にチェックデジットを計算し表示してくれる。スムーズにチェックデジットを算出したい方、自分で計算した数字があっているか確かめたいという方は活用するとよいだろう。

印刷会社へ印刷依頼

作成したJANコードは、JANシンボル(バーコード)にして印刷を行う。JANシンボルの印刷は、事業者自身で行うことも可能である。

しかし、バーコード印刷に対応したソフトやプリンターの導入が必要なため、印刷会社に印刷を依頼するのが一般的である。

JANシンボルは、以下に示したJIS規格(規格番号X0507)で決められているサイズ、品質(色、印刷位置など)に合致する必要がある。

【JIS規格により定められたJANシンボルのサイズ・品質】
サイズ :基本となるサイズは縦25.93mm×横37.29mm(左右の余白を含む)。状況に応じて、基本サイズの0.8倍~2.0倍の範囲で拡大縮小が可能
印刷位置:商品に印刷しやすい位置で、POSシステムでの読み取りがしやすい位置
カラー :最も望ましいのは背景が白色でバーが黒色の組み合わせ。その他の色の組み合わせ(特の赤系統の色)の場合、読み取りができない可能性があるので注意

上記に合致しないJANシンボルは読み取りができないケースがある。印刷したJANシンボルがJIS規格に合致しているかは、バーコード検証機を使うか、バーコード検証サービスを行っている専門業者へ依頼して確認する。

JANコードを取引先へ通知

JANシンボルの準備ができたら、取引先へ作成したJANコードを知らせ、取引先のシステムへ自社のJANコードの登録をしてもらう。

商品カタログや見積書、契約書などと共に通知するとわかりやすい。JANコードを登録してもらうことで、取引先でもバーコードリーダーを使用し、自社商品を在庫管理システムなどで扱えるようになる。

商品出荷開始

取引先へのJANコード通知が完了したら、商品出荷を開始する。

なお、社名や所在地、担当者などの変更があった場合は、随時GS1Japanへ登録事項変更届を提出する必要がある。手続きを怠ると、GS1事業者コード更新手続きなどの重要な案内が届かず、JANコードが利用できなくなるケースもあるので注意してほしい。

更新手続きの案内はGS1事業者コード有効期限の1~2か月程度前に、管理担当者宛に郵便で届く。継続利用を希望する場合は、インターネットまたは書面で必ず更新手続きを行う。更新を希望しない場合や有効期限途中でGS1事業者コードの利用を中止する場合は、GS1Japanへ連絡後、返還手続きを行う必要がある点も理解しておこう。

登録申請料について: https://www.gs1jp.org/code/jan/jan_apply.html

JANコード取得は効率的な商品販売への第一歩

JANコードは、POSシステムや商品管理システムを利用し、商品販売、在庫管理を行う事業者にとって、必要不可欠なコードである。コスト面、運用面など導入に際しての障壁はあるが、それ以上に業務効率化や人手不足の解消など、期待できる効果も大きい。

導入しておけば、ECサイトへの展開など、新しい販路へもスムーズに対応できる点も魅力といえるだろう。今後の販売戦略や会社の成長戦略の一手として、JANコードの導入を積極的に検討してほしい。”

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