エリアマネージャーとは?求められる能力やスキル、具体的な仕事内容例などを紹介

2023.02.17

エリアマネージャーとは、各地域に多数の店舗や支店を抱えるコンビニや飲食店、アパレル販売、介護・福祉施設といった小売業やサービス業で、売上向上を目指して、店舗管理・運営を担う管理者を指す。

エリアマネージャーの仕事内容は、本社とのパイプ役やスタッフ教育、運営方針や戦略の立案、マーケティング施策の策定と幅広く、店舗経営を行う企業にとって重要なポジションのひとつである。この記事では、企業や業界ごとの定義に差異はあるが、エリアマネージャーに求められる能力やスキル、具体的な仕事内容や業界ごとの事例を紹介する。

エリアマネージャーの役割とは?

さまざまな業界で活躍するエリアマネージャーだが、常に決まった場所で就業しているわけではなく、近しい役職も複数あることから、役割や業務内容など、具体的な全体像が掴みにくい職種のひとつである。実際にどのような立場にある役職なのか、スーパーバイザーとの違いについても紹介する。

担当エリア内にある複数店舗の管理・統括を行う役職

エリアマネージャーは、担当するエリアにある複数の店舗や支店を管理・統括する立場の役職を指す。全国各地にチェーン店やフランチャイズ店を展開する企業で活躍する職種であり、本社と店舗のパイプ役として、店長の上でさまざまな業務を担う。

店長は自店の売上目標や利益向上のみを達成するべく業務にあたるが、エリアマネージャーは1店舗だけではなく、エリア全体の数字を把握する必要がある。コミュニケーションの機会も多く、業務内容も多義に渡り、責任の重い役職ではあるが、大きなやりがいが得られる仕事である。

スーパーバイザーとの違い

エリアマネージャーとスーパーバイザーは、管理者や指導者、監督者といった同じ意味合いで用いられることが多いが、商品の仕入れを担当する管理者として使われるスーパーバイザーより、広範囲の業務を受け持つエリアマネージャーの方が、上のポジションとして扱われる場合もある。

流通・小売業ではエリアマネージャーとスーパーバイザーは同じ役職のことも多く、企業によって呼び方が異なる。コールセンターでは、スーパーバイザーは職場での業務やスタッフを統括する監督者の立場であり、介護・福祉業では、ケアマネージャーの上位職にあたる主任介護支援専門員のことを指す。

エリアマネージャーの具体的な仕事内容

エリアマネージャーを採用する業界は多種多様であるが、本社目線ではなく現場の立場に立って、各店舗や支店の売上や利益を最大化する施策を実行し、管理・統括を行う点ではどの業界においても共通している。エリアマネージャーが実際に担当する具体的な仕事内容を見ていこう。

エリア分析に基づいた売上アップ施策を立案・実行

エリアマネージャーの重要な役割のひとつに、エリア分析に基づいたマーケティングがある。売上向上といった目標を達成させるために、担当エリアの特性や店舗に合わせた施策を立案して実行する。

売上アップを図るためには、エリアマネージャーは各店舗の客層や立地、競合店の情報などを調査・分析し、エリア内の市場を把握しておく必要がある。キャンペーンやイベントを打ち出す最適な時期や、売上が上がりやすい時間帯などが掴めると、需要予測も図れるようになるので、コストの削減や適正在庫の維持が可能となる。

店長や現場スタッフの教育・育成

現場スタッフが働きやすくなるようサポートを行うのも、エリアマネージャーの大切な仕事だ。エリアを統括するマネージャーとして、店長やスタッフにアドバイスを行ったり、相談に乗ったりすることもあり、必要に応じて教育や研修など、人材育成も担当する。

また現場スタッフのモチベーションを向上させるために、個別面談や人事評価などにも関わり、できるだけストレスのない職場環境を整える役割もある。

本社と各店舗との橋渡し役

エリアマネージャーは本社(本部)が決定した経営方針やビジョンなどを各店舗に伝え、その決定事項がしっかり店舗で反映されているかを監督する役割を持つ。またトップダウンだけではなく、現場で働く従業員の声を聞き取り、課題点や改善点を吸い上げて現状を本社へ伝えるボトムアップを行うのも重要な任務のひとつである。

店舗で得られた成果や取り組み内容を本社にフィードバックすることで、他店舗の運営や今後の経営に活かしていく。本社と各店舗の橋渡し役となり、店舗運営や経営が円滑に行えるよう、縁の下の力持ちとして担当エリアのマネジメントを行う。

エリアマネージャーに求められる能力やスキル

エリアマネージャーは店長の上のポジションであり、エリア全体を統括・管理する職種のため、高い管理・監督能力が必須である。また本部と店舗の橋渡しを行う立場であるので、板挟みになりやすい役職ともいえる。

重大なトラブルが発声した際には、店長では対応が難しい場合は、エリアマネージャーが代わりにトラブル解決を行うこともある。理不尽なクレーム対応や多忙なスケジュールが続くことがあると、メンタルを管理する能力も必要とされる。エリアマネージャーとして職務にあたるうえで、求められる能力やスキルを確認しておこう

高いマネジメント能力が必要

エリアマネージャーはエリア全体を統括する管理者として、高いマネジメント能力が欠かせない。業務に就くにあたり重要なスキルであり、本社が示す経営方針を実現するうえでマネジメント能力を有するエリアマネージャーの存在は必要不可欠である。店長やスタッフの能力や特性を見定め、どれだけ適切な人材配置ができるか、的確な指示出しや改善策が講じられるかといったスキルが求められる。

また現場スタッフから信頼を得るには、人をけん引できるリーダーシップに優れた人物が望ましい。信頼に値するエリアマネージャーでなければ、各拠点をまとめ上げることは難しく、指示や意向に即した店舗運営が行われないリスクも生じる。

現場での経験と商品・サービス内容の熟知

未経験でエリアマネージャーとして採用された場合であっても、まずは現場で実務を経験するのが一般的である。実際に現場で働いた経験がないと、店長やスタッフの教育はもちろん、売上を向上させるための効果的な施策を打ち出すことは難しいだろう。現場の従業員から相談されることも多い役職のため、成功した経験だけではなく、失敗した経験も踏まえて、部下により的確なアドバイスや問題の解決策を提案できるようになる。

数字管理能力・分析スキル

エリアマネージャーに求められるスキルに、数字管理能力や分析スキルがある。エリア全体の業務を円滑にして業績を上げることがエリアマネージャー最大の目標であり、売上の向上を図るためには、集めたデータから現状を分析し、数字を日々管理していかなければならない。数字を読み解き、問題があれば対策を講じたり、顧客や市場のニーズにマッチした戦略を打ち出したりしていければ、確実に売上はアップしていくだろう。

コミュニケーションスキルや人材育成・管理能力

エリアマネージャーは、担当エリアの店長をはじめ、店舗スタッフや本部社員など多くの従業員と常にやり取りを行う必要があるため、高いコミュニケーションスキルが求められる。

本社と各拠点を結ぶパイプ役であり、相手の意向を正しくくみ取れないと、誤解が生じる可能性も高く、円滑なコミュニケーションが難しくなる。高いコミュニケーションスキルとは、一方的に話したり伝えたりするだけではなく、聞く能力も重要になってくる。またエリア内の管理者として、成果が上がる人材育成や適切な目標設定ができる器量も、エリアマネージャーには必要な要素といえる。

エリアマネージャーの業界ごとの事例を紹介

エリアマネージャーの業務内容は、業界や企業、環境によって異なることが多く、スーパーバイザーとの違いも曖昧である。エリアマネージャーが実際にどのような業務にあたっているのか、企業ごとに違いはあるが、コンビニ業界、アパレル業界、飲食業界を例に具体的な業務内容を紹介する。

コンビニ業界の業務内容

コンビニ業界のエリアマネージャーはスーパーバイザーと呼ばれることもあり、店舗運営の支援やスタッフ教育などを行う役職である。複数の担当店舗を定期的に巡回し、各店舗の売上を向上させるための戦略を実行して、運営をサポートする役割を持つ。

競合店舗や地域性、客層、売れ筋などの調査・分析をもとに、売り場の商品構成やレイアウトを考慮したり、売上アップにつながる改善を。在庫管理やスタッフ管理、店舗への情報提供なども行う。

アパレル業界の業務内容

アパレル業界では、一般的にエリアマネージャーとスーパーバイザーの区別はなく、管理者や監督者を意味する役職だが、担当エリアが決まっている場合には、企業によってエリアマネージャーと呼ばれることが多いとされる。本社と店舗をつなぐ重要なポジションであり、エリア内のショップ店長と店員の教育・管理、市場調査、店舗の目標設定などの役割を担う。

エリアマネージャーは店長の上司にあたる職種であるが、販売員として店頭に立つことも多く、売れる店になるよう客観的に店舗を見る視点が必要になる。アパレル業界はトレンドの移り変わりが激しいため、常にアンテナを張って最新トレンドや競合他社の分析を行う必要がある。

飲食業界の業務内容

飲食業界でのエリアマネージャーは、チェーン店を全国展開している飲食店で活躍している。店長を経験した後に職務に就くことが多く、店長と協力して地域内の飲食店すべての売上を伸ばしていくことが仕事である。

具体的には従業員の教育・管理、キャンペーンやクーポン、ポスティングなどの販売促進活動、本社への売上や現状の報告、エリア内の情報のリサーチ、地産地消のメニューの考案なども行う。担当エリアの店長やスタッフを指導する立場であるため、飲食店での就業経験や知識が必要になる。

エリア全体の売上目標達成がエリアマネージャーの最大の仕事

エリアマネージャーの仕事は、自らが受け持つエリア全体の売上目標を達成させることが最大の任務である。複数店舗の目標達成を目指すには、その業界での経験や知識、スキルを有するエリアマネージャーが必要不可欠であり、全体を統括できるような管理者が求められる。本社と店舗を橋渡しする役職として、迅速に的確なコミュニケーションを行っていかなければならない。

お役立ち資料データ

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