ゴールデンゾーンとは?重要性や高さ、陳列方法を解説
2024.03.27
2023.08.22
什器(商品棚)に商品を陳列して販売する小売店では、陳列戦略が商品の売れ行きや売上を左右する。陳列戦略の上で、意識しておくべき陳列場所が「ゴールデンゾーン」だ。今回の記事では、ゴールデンゾーンの定義や重要性、顧客や什器の種類別のゴールデンゾーンの高さ、陳列方法について解説する。
ゴールデンゾーンの定義と陳列するもの
ゴールデンゾーンの定義や陳列するものを解説する。
ゴールデンゾーンとは
ゴールデンゾーンとは、スーパーマーケットをはじめとした小売店での陳列計画(ゾーニング)において、重要視される位置だ。商品が陳列している什器を顧客の目線から見て、目に入りやすい、手に取りやすい位置がゴールデンゾーンにあたる。なおゴールデンゾーンの次に手に取りやすい位置は、シルバーゾーンと呼ばれる。
一般的には「床から約75~135cmの高さ」がゴールデンゾーンと言われているが、ターゲットや通路の幅、什器によってゴールデンゾーンは異なるのも特徴だ。詳細なゴールデンゾーンの位置や高さについては後述する。
ゴールデンゾーンで陳列するもの
什器における売上の8~9割はゴールデンゾーンに集中すると言われている。そのため、限られたスペースであるゴールデンゾーンに何の商品を置くかを戦略的に考えることで、利益や客単価のアップにもつながる。
おもにゴールデンゾーンに陳列する商品には、以下のものがある。
・売れ筋商品
・主力商品
・重点を置きたい商品
・限定商品や新商品
・割引商品
・PB(プライベートブランド)商品
売れ筋や人気商品のそばに売れ行きの悪い商品を陳列してついで買いを狙う、宣伝目的で限定商品や新商品を陳列する、割引商品やチラシ掲載商品を陳列して購買意欲を上げる、などゴールデンゾーンを活用したさまざまな戦略がある。
ゴールデンゾーンを活用することの重要性・メリット
小売企業において「ゴールデンゾーン」とは、店舗内で特に目立つ位置に設けられる商品陳列エリアであり、このゾーンは、顧客が最も注目すると考えられる場所に位置しており、消費者の購買意欲を高めるために戦略的に利用される。ゴールデンゾーンを有効活用することによって、以下のようなメリットが生じると考えられる。
①売上の向上
目立つ位置にあるため、ゴールデンゾーンに配置された商品は、顧客によって注目されやすく、視認率が高まり、その結果、商品はより多く売れる可能性が高まる。 購入につなげたい商品や、顧客に認知して欲しい商品をゴールデンゾーンに陳列する施策として有効だ。新商品や季節限定商品などゴールデンゾーンに陳列することで視認率が上がり、顧客に認知してもらえる。
例えば、利益率の高い商品や推奨商品をゴールデンゾーンに置くことで、これらの商品の露出が増え、店舗の総利益を向上を期待できる。
また、消費者が特に計画せずに購入を決定するインパルス購買を促すため、アイキャッチ効果のある商品をゴールデンゾーンに配置することで、抱き合わせ購入により、売上向上もで期待できる。
②ブランド認知の向上
新しいブランドや商品をゴールデンゾーンに展示することで、顧客のブランド認知を高めることができる。消費者は新たな製品に興味を抱きやすくなる。
③商品戦略のテスト
さまざまな商品やディスプレイ戦略をゴールデンゾーンでテストすることにより、消費者の反応を確認し、効果的なマーチャンダイジング戦略を練る上での活用も考えられる。
④ストアレイアウトの最適化
ゴールデンゾーンを中心に顧客の動線を計画することで、店内の他のエリアへの誘導にも成功し、目立たない商品の売上増加につなげることができる。
ゴールデンゾーンの具体的な位置や高さ
ゴールデンゾーンはターゲットとする顧客や通路の幅、什器の種類によって異なる。具体的なゴールデンゾーンの位置や高さをそれぞれ解説する。
ターゲット別のゴールデンゾーンの位置・高さ
ターゲットとした顧客の身長によって目線の高さが異なるため、ゴールデンゾーンの位置が異なる。ターゲット別のゴールデンゾーンの高さは以下の通りだ。
・男性(平均身長170cm)がターゲット…ゴールデンゾーンは床から130〜160cm程度、シルバーゾーンが70〜130cm程度
・女性(平均身長160cm)がターゲット…ゴールデンゾーンは120cm〜150cm程度、シルバーゾーンが60〜120cm程度
・子どもがターゲット…おおよそ80cm以下
通路幅からのゴールデンゾーンの位置・高さ
顧客の立つ位置によって捉えられる視界の幅が変わるため、什器を設置している通路幅によってもゴールデンゾーンの高さは異なる。人間の視界は「中心視野角」と「周辺視野角」の2種類があり、中心視野角とは視線を中心にした20度くらいほどの範囲で「意識しなくても自然と見える範囲」を指す。
周辺視野角とは中心視野角の外側で上下150度、左右180度くらい「漠然と見える範囲」を指す。什器にまっすぐ目を向けた場合、中心視野角にあたるのが上段の商品となる。
通路幅が広ければ什器から一定の距離を取れるため、顧客の視界に入る範囲が広くなる。一方通路幅が狭ければ什器に接近することになるので、顧客の視界に入る範囲は狭くなることを覚えておこう。たとえば通路幅が2mほどの場合は什器の足元から上下全体がゴール全ゾーンとなるが、1mの場合は上段のみがゴールデンゾーンとなる。
ゴールデンゾーンでの陳列方法
ゴールデンゾーンに陳列する商品の種類だけでなく、陳列方法を工夫するのも陳列戦略上有効だ。ゴールデンゾーンとともに知っておきたい、効果的な陳列方法を解説する。
垂直陳列
垂直陳列とは、商品をカテゴリ別に縦方向へ陳列する方法だ。顧客がどこに何の商品があるかを瞬時に把握できるため、ニーズに合わせた商品をすぐに探しやすい。一方カテゴリ別の陳列となるため、特定の商品をアピールするのには不向きだ。
水平陳列
水平陳列とは、商品をカテゴリ別に横一列へ陳列する方法だ。同一商品や特定カテゴリの商品を大量に陳列することで、顧客に商品を注目させやすくなる。ただしゴールデンゾーン外の商品は顧客の目に入りにくくなる。
島陳列
島陳列とは、陳列棚から孤立させた「島」を作り、商品を陳列する方法だ。島は目立つため商品の売上アップや認知度アップに有効な一方、什器や商品の大きさ、形によっては陳列が難しくなる。通路に島を作る場合、島を設置する場所や通路の幅によっては顧客の回遊性が下がってしまう可能性があることに注意しよう。
エンド陳列
エンド陳列とは、陳列棚の両端に商品を陳列する方法だ。メインの通路から見える位置に商品を陳列できるため、顧客の目に留まりやすい。一方で大量に商品を陳列するため通路から売り場の見通しが悪くなる、商品崩れが起きる可能性がある点に注意が必要だ。
ジャンブル陳列
ジャンブル陳列とは、商品を無作為に陳列する方法だ。什器そのものが目立ちやすく顧客の目に留まりやすく、お得感を演出できるほか、陳列が不要になるため作業の効率化につながる。ただし商品同士がぶつかり損傷が起きたり、顧客の目から安っぽく見えたりする可能性もある。
ゴールデンゾーンを理解し、販売戦略に活用しよう
ゴールデンゾーンの概要や重要性、具体的な高さや位置、ゴールデンゾーンと併用できる陳列方法を解説した。ゴールデンゾーンを意識して商品のラインナップや位置を戦略的に決めることで、集客や売上アップなどの効果を得られる。設置している什器や通路の高さ、ターゲットとした顧客ごとに異なるゴールデンゾーンをふまえて、販売戦略に活用しよう。