販促ポップの作り方とは?効果やメリット、販促ポップの種類などを解説

2024.03.29

2023.12.05

店舗の売上をアップさせる上で、不可欠な存在となっている販促ポップ。商品の認知度向上や説明の補足、従業員の業務補助など、さまざまな役割を担うツールである。

しかし、販促ポップは闇雲に制作・設置するだけでは、目標とする販促効果を得られないケースも多い。そこで、本記事では販促ポップの基本や効果、メリットだけでなく、作成手順、作成ポイントまで解説していく。

販促ポップとは?種類や概要

販促ポップとは、商品の価格や特徴などをポップで訴求し、消費者の購買意欲を高めて売上を向上させるツールの一種である。販売員を配置せずとも、多くの消費者と接触してコミュニケーションを取ることができ、販売促進に限らず人件費も削減可能。小売業界では必須のマーケティング戦略と言える。

販促ポップには多様な種類が存在し、それぞれの特徴を把握して適切に選定・設置することが重要。ここでは、代表的な販促ポップの種類を紹介していく。

カード型ポップ

商品の近くに設置して購買を促すタイプが、カード型ポップだ。商品の安さや広告の品であることを訴求できるプライスカード、商品の補足情報を記載できるショーカードなどが存在する。

商品ごとに顧客へ訴求可能なのが魅力のタイプと言えるだろう。

のぼり旗

店頭に設置して消費者の来店を促進できる販促ポップが、のぼり旗だ。大きな文字やイラストで通りがかりの人に商品・サービスをアプローチでき、購買意欲を高めることが可能。店頭だけでなく、店内に設置できるミニのぼりやバナースタンドを活用する店舗も存在する。

のぼり旗は看板よりも安価で作成・設置できるのが大きな魅力。コストを抑えて利益を上げたい事業者に最適と言える。

また、軽量設計であるのも、のぼり旗の魅力的なポイントの一つ。従業員が女性中心の店舗であっても、手軽にレイアウトを変更して販促の効果測定も行えるだろう。

タペストリー

垂れ幕の形状で販促を行う織物タイプのポップが、タペストリーだ。タペストリーは店内の窓・壁面・天井などに吊り下げて利用されるポップタイプで、催事など一時的に設けられたブースで活用されることも多い。

タペストリーの生地には防水性に優れており、雨風・汚れにも強いターポリン素材が採用されているのも、事業者から重宝される理由。店頭やイベントなど、屋外の販促ツールとしても有効活用されている。

また、柔らかい生地でコンパクトに丸められるため、使用しないときの収納性にも優れたタイプと言えるだろう。

電子ポップ

ポップ広告を静止画・動画データで電子化し、顧客へ訴求できるのが電子ポップだ。紙媒体のポップと違い、音や映像で商品の訴求を行えるので、消費者の興味関心を引きやすいのが特徴。

電子ポップは主にUSBメモリやSDカードを差し込み、画面にコンテンツを流す仕組みとなっている。記憶媒体のデータを書き換えるだけで訴求したい内容も変更可能なため、紙媒体のポップのように、都度ポップを印刷するといった手間はない。

電子ポップモニターは、ディスプレイサイズが4.3インチ、7インチ、10インチなど幅広く、目的に応じて選定する必要がある点に注意。例えば、商品ごとに訴求したい場合はコンパクトな4.3インチ、店頭に設置して来店を促したい場合は視認性の高い15インチ以上など、設置箇所を明確にして導入することが重要である。

販促ポップの効果やメリット

ここでは、販促ポップを設置することによる効果・メリットを解説していく。

消費者の購買意欲を高めて来店・購買を促進する

販促ポップの最大のメリットは、消費者の購買意欲を高めて来店や商品の購買を促進できる点だ。

店頭に販促ポップを設置しておけば、店舗の前を通りかかった消費者や店舗の存在自体を知らない消費者に対し、集客を図ることが可能。新規顧客の来店も見込めるだろう。

対して、店内に設置する販促ポップでは、消費者の商品購入を後押し。商品のおすすめポイントをポップに記載しておけば、購入を迷っている消費者に向けて強い訴求を行えると考えられる。

また、季節ごとのイベントや祝日に合わせたポップを使用することで、顧客にタイムリーな情報を提供し、買い物の動機付けができる。

商品説明の補足を行える

商品の味や使用感などは、当然ながら実際に購入しなければわからない情報だが、販促ポップで商品の補足を行えば、消費者の購買を後押しできる。例えば、書店では店員のレビューを交えた個性的な販促ポップが並んでいるケースも多く、ついつい本を手に取りたくなるような工夫が施されている。

商品のパッケージに記載の情報が不十分である場合や、チラシでは伝えきれない情報がある場合などに、販促ポップは最適と言えるだろう。

従業員の商品説明の負担を軽減する

前述のように、販促ポップに商品の補足情報を記載しておけば、従業員はその説明を行う負担を軽減できる。アパレル店などでよく見られるが、商品購入を迷っている消費者への一押しとして、声掛けによる接客を実施する店舗は多い。

しかし、店内に配置可能な従業員数は限られており、来店した消費者全員に声掛けを行うのは現実的ではない。また、接客経験の浅い従業員が多ければ、接客品質に偏りが出てしまう可能性も。

消費者視点で見ても、従業員の声掛けが苦手という人も一定数いるだろう。

その点、販促ポップでは従業員の業務負担を軽減できるだけでなく、文字や映像を活用した訴求により、常に一定品質の接客レベルを実現可能。店側・消費者の双方にメリットがあると考えられるだろう。

店内のイメージ作りに効果的

販促ポップは店内に活気を与え、店舗のイメージ作りにも効果的である。

例えば、手書きの販促ポップ。印刷して制作するポップに比べると、完成までに多くの工数を要するが、独自性を出しやすく他店と差別化を図れるのが大きなメリット。

また、温かみのある表現で消費者からの共感を得やすいのも、手書きの販促ポップが選ばれる理由の一つ。滞在時間・回遊性を高め、顧客単価の向上も期待できるだろう。

消費者の記憶に残る店舗を作り上げたい場合にも、販促ポップを積極的に活用してみてほしい。

消費者の導線用に活用する

販促ポップは消費者を目的の商品へ誘導すべく、導線用に活用されるケースもある。取り扱う商品が多い場合、どこにどの商品が配置されているのか、迷ってしまう消費者も。在庫があるにも関わらず、商品の配置場所がわからず購入されない機会損失は、事業者としては必ず避けたいところ。

昨今では、デジタルサイネージを活用し、売り場の案内を行う店舗も増加している。適切な案内ポップは機会損失を防止するだけでなく、目的の商品を見つけやすい高利便性の店舗として、顧客満足度や顧客ロイヤリティの向上も期待できるだろう。

販促ポップ作りの手順・フロー

販促ポップは効果を最大限に高めるために、正しい手順で制作していくことが重要。ここでは、販促ポップ作りの手順・フローを解説していく。

ターゲット・目的を明確化する

最初に実施したいのが、ターゲットおよび目的の明確化だ。

まず、ターゲットの明確化は、商品の顧客層に適したポップデザインに仕上げるための大切な工程。ターゲットが若い女性であればカジュアルで可愛い見た目、高齢者層であれば大きくて見やすい文字など、ターゲット層に刺さるデザイン設計が可能となる。

販促ポップを制作する目的に関しても、店頭に設置して来店を促したいのか、価格の安さを訴求して売上を伸ばしたいのか、併買を促進して顧客単価を向上させたいのかなど、目的によってポップの内容も変わってくる。施策の効果を最大化させるため、ターゲットと目的は慎重に分析していこう。

また、販促用のポップを作る際には、5W1H(「Who」誰が、「What」何を、「Why」なぜ、「Where」どこで、「When」いつ、「How」どのように)を用いることが非常に有効な方法だ。このフレームワークを念頭に置いておくことで、明確で効果的なコミュニケーションを行い、顧客の注意を引きつけることが期待できる。

キャッチコピー・訴求したいポイントを決める

次に行うのが、キャッチコピーおよび訴求したいポイントを決める工程だ。

キャッチコピーはシンプルな文章で、商品のベネフィットや消費者の悩みを端的に伝え、興味を持ってもらうことが重要。その場で商品の購買を促せるだけでなく、後々キャッチコピーを思い出し、購買の機会を創出することにもつながる。

訴求したいポイントに関しては、価格や商品の特徴などを一度書き出し、列挙するのがおすすめ。その上で、ターゲットに合わせて優先順位を決め、販促ポップに落とし込んでいく。

インパクト・意外性のあるキャッチコピーや訴求ポイントが販促ポップには重要であるが、過大な表現やネガティブすぎる言い回しは避けたほうが得策。販促ポップの内容と商品の間にギャップが生じないよう、キャッチコピー・訴求ポイントを定めてほしい。

デザインを決める

販促ポップ作りの事前準備が完了したら、実際にデザインを決めていく。色使い・サイズ・フォント・レイアウトなど、さまざまな要素を考慮して制作する必要がある。

非常に重要な工程だが、デザイン技術や思考は一朝一夕で身に付くものではない。最近では販促ポップのデザイン制作を請け負う企業や、デザインテンプレートを配布しているWebアプリも多いので、自社に最適な方法で販促ポップの作成を行ってほしい。

販促ポップの作り方のポイント

ここでは、販促ポップを作る際のポイントを解説していく。

使用する色は3色程度でまとめる

消費者の目を引くことが目的の販促ポップなので、目立つデザインで制作しなければならないと思いがちだが、さまざまなカラーを多用すると却ってキャッチコピーや訴求ポイントがわかりにくいポップに仕上がってしまう。

販促ポップに使用するカラーは、3色程度にまとめるのがおすすめ。デザイン業界では、下記3色でまとめると、統一性の高いデザインになるとも言われている。

  • ベースカラー:70%
  • メインカラー:25%
  • アクセントカラー:5%

扱うカラーの数が増えると、配色も一層難しくなってしまうため、シンプルなデザインで伝えたい文章が消費者に伝わる販促ポップを心掛けてほしい。

写真やイラストを差し込む

文章だけの販促ポップで商品・サービスのイメージが伝わりにくい場合は、写真やイラストを挿入するのもおすすめ。一目でどの商品の訴求を行っているのか判別でき、消費者もイメージしやすくなる。

また、生産者の写真を挿入すれば、消費者に安心感・信頼感を与えることも可能。視覚的にわかりやすく、優しい雰囲気で親しみやすさも生まれる販促ポップに仕上げたい店舗は、写真・イラストの活用を検討してみてほしい。

具体的な数字を入れる

販促ポップには具体的な数字を入れると、説得力が増して消費者からの信憑性も高くなる。例えば、下記のような数字の入れ方が挙げられる。

  • まとめ買いで税込300円
  • 数量限定50個
  • レタス2個分の食物繊維
  • 30%OFF

具体性のある数字は消費者も簡単にイメージしやすく、高い訴求効果を見込めると言えるだろう。

季節・イベントに合わせたデザインで作る

販促ポップは季節・イベントを考慮し、写真・イラストや配色を変更して制作することが重要。例えば、お正月・ハロウィン・クリスマスなど季節感を表現することで、消費者の目にも留まりやすくなる。

定期的に内容を見直し、常に情報の鮮度が高い販促ポップを目指してほしい。

販促ポップのまとめ

昨今では、さまざまな類似商品が市場に出回っており、新商品の販売を開始しても、既存商品に埋もれて消費者から認知されないケースも多い。そのような中でも、消費者の購買意欲を促進し、売上の向上を見込めるのが販促ポップである。

ただし、不適当な販促ポップの設置は売り場が雑然とする、押し売りの印象を消費者に与えてしまうなど、デメリットを被る可能性も。正しい販促ポップの活用で、売上の改善に努めてみてほしい。

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