クロスマーチャンダイジングとは?メリットやデメリット、活用事例や検証方法と併せて解説
2024.05.16
2024.05.10

クロスマーチャンダイジング(MD)は、関連性のある複数の商品を戦略的に隣接させたり関連させて展開することで、併せ買いを狙う販売促進手法となる。
クロスマーチャンダイジングの例
クロスMDは業種・業態問わず、また、意識する、しないにかかわらず、多くの売場で展開で展開されている。
■スーパーマーケット…パスタを売る隣にトマトソースやパルメザンチーズ、オリーブオイル、精肉売場に焼肉のたれや唐揚げのもと、スパイス、酒類の隣につまみなどを並べる、パン売場近くにジャムやバターを配置したり、野菜売場にサラダ用のドレッシングを置くなど。
■アパレル…服の近くに合わせやすいアクセサリーや靴を置いたり、ジム用のアクティブウエアセクションにトレーニング用のバッグやウオーターボトル、スポーツタオルを並べる。
■家電専門店…ノートパソコンやタブレットの売場に専用ケース、充電器、外付けハードドライブなどのアクセサリー類を置く。デジタルカメラの近くにメモリーカード、バッグ、三脚、レンズクリーニングキット、予備バッテリーなどを展開する。
■書店…人気の子ども向けの本の近くに関連する玩具や教育ゲームを置く。料理本のセクションにキッチン用品やスパイスキットを展開する。
以上のように、時にカテゴリーは異なっているとしても、利用シーンが重なる商品を隣接して展開することで、ついで買いの誘発を狙うクロスMDは、多くの小売店舗で見られる。
クロスマーチャンダイジングのメリット・デメリット

クロスMDを有効活用することで、併せ買いによってお客1人当たりの購入金額増加、店舗全体での売上向上が期待できる。また、1つの売場で関連商品を購入できるため、売場を行ったり来たりする手間がなくなる、さらにはそもそも購買する発想がなかったが、存在に気付いて買うといった点などは、お客にとってもメリットが大きい。よりスムーズな買物体験はお客の満足度向上にもつながる。
またお客からの認知が低く普段露出が少ない商品も、人気の関連商品と並列することで、露出を高めることができ、売れ行きが鈍かった商品の販売促進を行える点もクロスMDを行うメリットといえる。
以上のようにクロスマーチャダイジングはメリットが大きいが、例えば商品との関連性が明確でなければ消費者に混乱も招くといった可能性もある。商品をただ近くに置くだけではなく、その組み合わせがお客の求めるものに沿ったものである必要がある。適切でない組み合わせのクロスMDは、効果が見込めないばかりか、お客を困惑させ、否定的な印象を与えてしまう可能性もあるので注意が必要だ。
クロスマーチャンダイジングの検証について
クロスMDも定量的なデータ分析と定性的な顧客フィードバックなどを用いた効果検証を行うことが重要だ。クロスMDの効果検証の方法としてはバスケット分析が挙げられる。
バスケット分析とは、お客の買物カゴの中に入った商品を把握し、商品の購入の組み合わせや傾向を分析するものだ。商品単体ではなく商品Aと商品Bの売れ行きの関係性を分析する手法の1つだ。
ID-POSデータを用いれば、購入した人の年代や性別などのデモグラフィック情報と併せて、クロスMDの効果検証もできる。