そよら横浜高田が4月26日にグランドオープン、近隣型施設「そよら」の新規出店としては関東初
2024.04.30
イオンリテールは4月26日、都市型への出店を想定する近隣型ショッピングセンター(SC)の「そよら」の横浜高田を横浜市港北区にグランドオープンした。
横浜市営地下鉄高田駅前の工場跡地へ出店するもので、新規出店地としては関東初のそよらフォーマットとなる。
そよらはイオンリテールが直営で運営するSCとして開発された。直営としては食品と医薬品を含む日用品を中心とした「フード&ドラッグ」の業態で出店し、その他近隣型のテナントの専門店を配置する。
店によっては直営、あるいはテナントで衣料品を取り扱うが、今回の横浜高田の場合、直営もテナントも基本的に衣料品の取り扱いはしていない。これは、立地によるもので、例えば、同店から南に約2kmにはキッズ強化店ではあるものの、総合スーパータイプのイオン横浜新吉田店(横浜市港北区)があることがある。
出店に当たっては、約1年前に近隣に対して約3万軒にポスティングの形でアンケートを実施。結果、100円均一店やカフェ、飲食店の要望が多かったことから、今回のテナントリーシングにおいてはそれらを重点的に誘致した。
「“普段使いのワンストップ”を実現する店舗」と位置づけ、「タイパ(タイムパフォーマンス)」と「コト消費」の2つのニーズに応えるSCを目指すことにした。
地下鉄の駅前だが、周辺には300mほどの至近にオーケーの600坪タイプの店がある他は大型商業施設はなく、静かな住環境と都心部への通勤利便性を併せ持つ地域となっている。
また、2008年に全線開通した横浜市営地下鉄グリーンラインの乗降客、1日約1万4000人の他、20年の新横浜方面の県道の開通など利便性向上もあってファミリー世帯を中心に人口が増加している。主要なターゲットとなる半径2km圏の人口は約14万人と厚く、立地的に有望とみている。
アンケートからは「高鮮度の生鮮食品」「タイパメニューの拡充」「カフェなどの“過ごす場”」といった要素が求められていたことから、これらの機能を特に強化。
核店舗のイオンスタイル横浜高田では港北区などの神奈川県産の農産物をコーナー展開する他、県内有数の漁獲量を誇る三崎から直送する鮮魚を対面で毎週末販売。特に鮮魚売場については、競合店との差別化の意味も込め、演出含め強化している。
また、駅前ということもあって、通勤帰り時間帯の惣菜やつまみメニューの出来たて商品の拡充も行う。
また、要望の多かったカフェ、ファストフードを含めた飲食店については、近隣にない機能として特に意識的に強化した。
イタリアンの「Italian Kitchen VANSAN」、和食の「大戸屋」の他、5月末オープン予定の「バーガーキング」、夏にオープン予定の「スターバックスコーヒー」など、近隣型商業施設としては強化されている。
同様に要望の多かった100円均一店については、グループの「キャンドゥ」が出店している。
イオンリテール直営は「イオンスタイル」フォーマットとして展開。農産売場では生産者が直接店舗に届ける野菜を提供。横浜市、神奈川県産の地場野菜をコーナー展開する他、港北区産の野菜を地場野菜コーナーで提供。季節や生育、収穫量に応じて生産者が直接店舗に届け、昼過ぎに販売する。当日朝取れた野菜も品揃えする。
横浜市産・神奈川県産の野菜を集合展開する地場野菜コーナーは通年展開。ミニトマトや小松菜、ホウレンソウなどの旬の野菜を取りそろえる
また、オーガニック需要に対する対応として、有機JAS認証を取得しているプラベートブランド商品トップバリュグリーン アイのオーガニック野菜に加え、神奈川県産のオーガニック野菜を取り扱う。
水産売場では毎週日曜日、当日漁獲、水揚げされた鮮魚を販売する。三崎、佐島など三浦半島の各漁港から届ける態勢を敷いた、13時過ぎに店舗に到着し、対面鮮魚コーナーで販売する。
丸魚の他、切り身を常時品揃えする他、お客の要望に合わせ、2枚・3枚卸しや切り身、刺身用の調理サービスを実施する他、食べ方の提案も行う。さらに対面販売の鮮魚を店内でフライや焼き魚、唐揚げなどに調理して惣菜売場で販売。
駅前である他、ファミリー世帯が多いこともあって、利便性、「タイパ」「おいしい」ニーズへの対応を強化。惣菜では女性を意識し、野菜も摂れる弁当を店内製造で提案。
季節ごとに旬の具材を使用し、おいしさの他、見た目の彩りやおかずの種類、栄養バランスを意識した。オープン時は、春が旬のタケノコを使用した天ぷらと豆腐ハンバーグにかつお節と昆布で取っただしで炊き込んだご飯と白ご飯を盛り付けた「春のたけのこ尽くし弁当」を提供。
夕方にはフライや卵焼きのなど食卓の1品、晩酌のつまみの提案を強化。仕事帰りのお客に向けて調理に手間がかかるフライ、鉄板焼きなどの提案を強化する。アジフライやイカフライ、アジの南蛮酢など人気の商品を販売する他、鉄板で焼いた「釜揚げしらすと九条ネギのだし巻玉子焼」など鉄板メニューも提案
惣菜売場では、約30種類の惣菜を対面量り売りする「リワードキッチン」を展開。素材や彩りにこだわったサラダやメインディッシュにもなる惣菜を対面方式で提供する。
赤身とサシのバランスが良い希少部位トモサンカクを使用した「ともさんかくローストビーフ」や「九州産真鯛のカルパッチョ風サラダ」「5種果実のヨーグルトサラダ」など、普段の食卓を華やかにする、あるいはハレの日に向けたメニューを提供。
また、酒のつまみに最適なメニューとして殻まで美味しい「ガーリック・クラブ~スパイシーな香りと香ばし仕上げ」なども展開する。
また、長年手掛けている直営ピッツァの「ピッツァソリデラ」をコーナー展開。インストアベーカリーとしては「カンテボーレ」が入るが、ベーカリーとは別にピザのみでコーナー化、核商品として展開を強化している。
店舗で生地の発酵から行い、1枚ずつ延ばし、高温短時間で焼き上げるなど製法にこだわっている。イタリア産モッツアレラチーズを使用した看板商品の「マルゲリータ」の他、新たにポテトサラダ、明太子、チーズなどを使用した「明太子とポテトのピッツァ」など、7種類を用意。4分の1にカットした商品も販売することで、手軽に買える工夫もしている。
34席のイートインスペースを設置したインストアベーカリーの「カンテボーレ」を展開。こだわりのバゲットやホテルブレッド、菓子パン、惣菜パン、店内調理のサンドイッチなど毎日約80種類のパンを展開、コーヒーも販売し、イートインコーナーをカフェ利用することを提案している。
惣菜と同様に「タイパ」「おいしい」ニーズに応える商品として、冷凍食品も強化。地域最大級の900品目をそろえる。特に専門店メニューや全国各地のスイーツを強化。主菜と副菜がセットになったワンディッシュ(ワンプレート)やロック・フィールドの「神戸コロッケ」「RFFF(ルフフフ)」の惣菜メニュー、さらに韓国グルメなど専門店の味が手軽に楽しめる商品をそろえた。
冷凍スイーツでは各地域で人気のアイスを「ご当地アイスコーナー」として展開する他、和菓子や洋菓子なども展開。その他、時短調理に便利な冷凍野菜では、蒸してから急速冷凍することで甘さとうまさを凝縮させた蒸しカボチャ、蒸し玉ネギスライスなどを品揃え。
トップバリュ グリーンアイのオーガニックの冷凍野菜も展開強化する。
畜産売場はファミリー、単身世帯の焼肉需要、「タイパ」需要に対応し、バーベーキューや焼肉用の商品を拡充。黒毛和牛やトップバリュ グリーンアイの「タスマニアビーフ」の商品展開や牛タン、ホルモン、火が通りやすい薄切り肉などを強化。
他、冷凍の味付け焼肉、ジンギスカンなど保存性の高い商品もコーナー展開する。
フライパンで簡単に調理できる商品として、豚肉、鶏肉の味付け肉を強化した他、加工肉ではおつまみやサラダ材料にも便利な「トップバリュ手仕込みローストビーフシルキーカット」「トップバリュグリーンアイナチュラル純輝鶏サラダチキン」などのPBを売り込む。
「フード&ドラッグ」のドラッグは2階にレイアウト。日用品や暮らしの品、化粧品、医薬品などを短時間で手軽に買い回れる売場づくりを目指した。生活シーンごと、購入頻度、利用頻度の高い商品に特化した上で展開する。
エスカレーターを上った正面には調剤機能の「イオン薬局」を配置。年中無休で処方せんを受け付ける。平日は9時~20時、土日、祝日でも9時~19時まで受け付ける。
また、お客が来店しなくても、スマホやパソコンとビデオ電話でつなぐことで薬剤師がオンライン服薬指導するサービスも展開する。
例えば処方せんのデータを医療機関からイオン薬局にオンラインで送り、さらに決済、配送もオンラインで完結できるシステムを導入する他、処方せん提出時に自宅配送を希望すれば、調剤された医薬品を自宅に届けてもらえる「調剤おくする即日便」といったサービスなど、選択肢を多数用意している。
ドラッグ売場先頭には化粧品を配置。人気のアジアンコスメなどを身近な店舗で購入したいというニーズに応える。「ETUDE(エチュード)」や「TIRTIR(ティルティル)」などのアジアンコスメを取り扱う。その他、プチプラコスメでは、「キャンメイク」や500円コスメの「Kirei&Co(キレコ)」を取りそろえる。
また、オリジナルのスキンケアブランド「コペルニカ」を品揃えし、年齢や性別にとらわれないシンプルなスキンケアを提案。さらにフランスのボタニカルビューティケアブランドの「イヴ・ロシェ」も展開する。
その他、ドラッグの売場内にはお客自身が体の状態を測定できる「サルーステーション」を設置。「体組成計」「血圧計」「血管年齢計」を設置し、薬の待ち時間や買物ついでに気軽に利用できる。
決済についても「選択肢」重視。ドラッグ売場は対面の集中レジだが、食品売場では5種のレジ構成を用意する。
貸し出し、もしくはお客のスマホの携帯端末を使ってお客自身で商品をスキャンしながら買い回り、専用の端末で精算を済ませられる「レジゴー」、「キャッシュレスセルフレジ」、現金にも対応する「セルフレジ」、精算のみセルフサービスで行う「セミセルフレジ」、さらに従業員が商品のスキャンから精算まで行う「サポートレジ」の5種。
サポートレジは、以前は一般的であった対面レジだが、基本的に1台の設置で、比率としてはかなり少なくなっている。
その他、イオンのトータルアプリ「iAEON(アイイオン)」の会員を対象に、通常は紙で提供するレシートを電子化する電子レシートを導入するなど、ペーパーレス化を進める。
サービス面では店舗を拠点としたオンライン販売の「イオンスタイルオンライン」「イオンネットスーパー」を導入。イオンネットスーパーは5月8日配送開始で、港北区、川崎市の一部エリアの約40万世帯が対象。
「イオンスタイルオンライン」では約6万点の商品が注文可能で、限られた売場での品揃えを補完。売場にない衣料品や暮らしの品などの生活に必要な商品をオンラインで注文できる。店内に表示されている2次元バーコードをスマホで読み取る形で注文に対応する。
配送だけでなく、店頭で商品が受け取れるBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)サービスの「ピックアップ!」も展開。サービスカウンターと1階駐車場側入口に設置するロッカーで受け取れる。
また、店舗で買った商品の配送サービスの「イオンの即日便」も展開。これらにも買物の「選択肢」を増やす考え方が良く表れている。
専門店は2階の中央部に要望の多かった100円均一店のキャンドゥを大々的に配置。日用品をはじめ、シーズン商品、キャンドゥオリジナルのディズニー商品などさまざまな商品を取りそろえる。
その他、要望の多かった飲食店やカフェの他、クリニックも導入。歯科が開業した他、小児科が開業予定となっている。
2日間のソフトオープン時は売上げも計画比3割増と、お客の期待の大きさが表れている。同期間には朝は年配のお客、昼には周辺に勤務する人、あるいは周辺に住む人が昼食需要で飲食店を含め来店し、夕方からは子どもを連れたファミリー世帯、さらに18時以降は仕事帰りの人が訪れるなど、時間帯別にそれぞれ来店があった他、20代、30代が化粧品などを目当てに来店するなど、幅広い世代に利用された。
食品と、一部日用品は至近のオーケーとの競合があるが、大型店不在の地域で商業集積の強みを生かし、地域一番店になることが期待される。
そよら横浜高田概要
所在地/神奈川県横浜市港北区高田西1-1-47
グランドオープン日/2024年4月26日
営業時間/1階8時~22時、2階9時~22時、イオン薬局9時~20時(土日祝は19時まで)、専門店9時~22時(※一部営業時間が異なる売場あり、専門店の営業時間は店舗により異なる)
敷地面積/9647㎡
売場面積/5041㎡(直営3345㎡、専門店1696㎡)
駐車台数/257台
駐輪台数/198台
建物構造/地上2階建て
専門店数/13店舗(2024年夏までに開店予定の店舗を含む)
責任者/西澤正明