イオン「総合」再構築の進ちょく、イオン相模原ショッピングセンターが全館リニューアル

2025.08.01

イオンリテールは南関東カンパニー管轄のイオン相模原ショッピングセンター(SC)、核店のイオン相模原店を7月18日、全館リニューアルオープンした。「食品・日用品・化粧品」フロアは先行リニューアル済みで、今回、「衣料品・暮らしの品」や専門店、フードコート、店舗環境を刷新し、「子どもも親も安心して“遊べる”“学べる”“くつろげる”」のコンセプトのSCとしてリニューアルオープンした。

箱型のSCで、真ん中は吹き抜け構造になっているが、今回、リニューアルの目玉として大型のサイネージを設置。エスカレーターでの移動中にもさまざまな訴求ができる

1993年8月にジャスコ相模原店として開店以来32年が経過し、商圏内の住民のライフステージも大きく変化する一方、交通利便性と自然を併せ持つ住環境から、子育て世帯も増加傾向のエリアとなっているという。今回のリニューアルは30代のファミリー層を中心に、若い世代の支持を目指す商品やサービスを拡充、刷新した。イオンリテールとしては衣食住の最新モデルをすべて結集、リニューアルした初のケースとなる。

さらにモール型ではなく、「箱型」の店であるため、テナントの専門店と直営の一体感を重視し、買物シーンごと、ゾーニングもテナントと直営が入り組んだ形となっている。

専門店の台頭やお客のライフスタイルの多様化などさまざまな影響を受け、総合スーパー(GMS)の客層が高齢化すると共に、業態としてなかなか成立しづらい環境にあることが指摘されて久しいが、同SCの立地は幅広い客層が多数居住する商圏ということで、イオンリテールとしても衣食住の最新モデルを試す上では適した店であったといえる。

さらに立地する神奈川県相模原市は人口も増加中である上、隣接する東京都町田市、東京都八王子市では若年層の人口増加率が高くなっている。そのため、テナントについても子育て世代、あるいは若い世代をターゲットとする専門店を新たに誘致した。

今回の活性化は、2021年9月ごろから大型活性化のプロジェクトとして進められてきた。1階の食品・ヘルス&ビューティ売場は23年11月に先行リニューアルしている。今回、2階の衣料については利用シーン、年齢別の展開とし、さらに暮らしの品については「余暇」強化を図った。衣料は6つの利用シーン、年齢別に分けて、ショップ形式の展開とし、コーディネート提案を強化。暮らしの品については「余暇」に注目し、ホビーやクラフトなどの品揃えを拡充させ、「楽しさ」の提案を強化する。

また、3階にはキッズ関連の商品、サービスを結集し、子どもも楽しめる場を拡充する。キッズフロアは売場面積を1.5倍に拡大し、キッズ衣料は年齢別に売場を分けた展開とする。さらにフードコートを新設し、フードコートの席数は従来比2倍以上の450席に拡大。他、子ども向け番組などが投影できる大型ビジョンを設置する他、室内アミューズメントパークの「ASOBLE(アソブル)」も新設する。

フードコート古淵KITCHEN TERRACE(こぶちキッチンテラス)。フードコートはリニューアル前は1階にあったが、3階に新設した。今回のリニューアルの目玉と位置づける

SC専門店は18店が新規出店。カフェや飲食店増でくつろげる場を提供。相模原市創業のラーメン店や子育てファミリーに人気のカフェや、ファッション・雑貨を取り扱う専門店が出店する。既存専門店も35店が移転・改装を実施する。

先行リニューアルした食品売場ではもともと約1100坪と広大だが、惣菜売場や冷凍食品売場、農産や水産など生鮮売場を拡大した他、買い回りやすさを重視し、ベビーカーや買物カート利用のお客がすれ違いやすいように通路幅を変更。

生鮮では神奈川県産の地場野菜、オーガニック野菜、カットフルーツ、簡便野菜などを拡大展開する他、水産の対面コーナーは2倍に拡大し、旬の丸魚や切り身を取りそろえる。接客販売員を常時配置し、調理サービスや食べ方の提案も実施する。また、同コーナーの魚を店内で惣菜に加工し、惣菜売場で販売もする。

改装前に写真右手のくぼんだ部分に花売場があったが、店前に移設し、そこに果物と野菜を配置。売場先頭が農産であることを強く印象付けるようにした。食品の入口から奥まで110mと長く、どのように置くまで誘導するかが課題だった。通路を拡げ、さらに奥に大きなサイネージを設けるなど工夫した
110mの通路の突き当たりにデリカの寿司売場。サイネージを設置し、お客の興味を引くような工夫をしている
水産では対面販売を重視。改装に際し、しっかり売場を設けた。9時~17時まで技術を持った販売員を配置し、若年層に調理の方法などをアドバイスすることも目的の1つ。改装後の対面販売売場の売上げはイオンリテールの中で3番目にまで高まった
直営で水産の惣菜を展開。こちらはイオンリテール内で4番目の売上げだという
畜産でも対面販売を設置。量り売りということで、必要な量だけ買えるといった量目対応で競合店と差別化を目指す
若年層のまとめ買い需要が見込まれるジャンボパックを強化。平ケース展開にするなど強化を図ったところ改装前の1.2倍ほどの売上げになった

惣菜売場も拡大し、量り売り惣菜コーナーの「リワードキッチン」やピザの「ピッツァソリデラ」を展開。「リワードキッチン」では素材や彩りにこだわったサラダ、メインディッシュにもなる惣菜を毎日約20種類提供。

また、調理の手間や時間を短縮したいニーズに応えるため、冷凍食品は地域最大級の約1100品目を展開し、専門店の味やご当地アイスなども品揃えしている。北海道から九州までの各地域で人気の商品を集めた当地アイス、スイーツや有名チェーン店の外食グルメなどの商品を拡充する他、野菜や肉、魚などの素材の冷凍品も各コーナーで展開。

冷凍食品売場は110坪ほどと広いことから平ケースを2列設置できている。改装前と比べ、面積は微増だが、リーチインケースを増やしたため、棚段の尺数は約1.3倍になった

ヘルス&ビューティケアの売場は、カウンセリング化粧品やZ世代に人気のコスメを拡充するなど、トレンドのコスメを提案している。Z世代に人気のコスメ「&be(アンドビー)」や「Wonjungyo(ウォンジョンヨ)」「キャンメイク」などのメイクアップコスメを導入する他、単品メイクやネイル、フェイスマスクのコーナーを拡大。幅広い世代に人気のアジアンコスメを中心に豊富に品揃え。

衣料は専門店方式でターゲット別に提案

2階のファッションフロアでは利用シーンや年齢に合わせた専門店を展開。2階はホーム&エンターテインメント、1階一部テナントと併せ25年4月27日に第2期改装としてリニューアルした。

ファミリー向けの「デイリーカジュアル」としては、毎日にフィットする服をコンセプトに、レディス、メンズを展開する製造小売業(SPA)ブランドの「TVC(ティーヴィシー、トップバリュコレクション)」を展開する他、環境に配慮したエシカル商品を展開する「SELF+SERVICE」、トレンドを意識したフェミニンカジュアル「ESSEME」などのショップをリニューアル。また「トップバリュピースフィット」を中心としたインナーウェアも展開する。

2階はメインの通路を4mに広げ、両側で直営の専門店ゾーンを形成。上りエスカレータを降りた目の前にはTVCを配置。リニューアル後は計画以上の売れ行きだという

Z世代に向けては「ネクストエイジ」とのコンセプトで、カジュアルアイテムにトレンドをミックスしながら新しさと楽しさを提案する専門店の「ダブルフォーカス」を展開。型にはまらない自由な発想で、ウェアからファッショングッズまでトータルコーディネートを発信。流行の韓国ファッションやTシャツなどユニセックスで着られる商品を取りそろえる。さらに、デコシールなどのサンリオ、ディズニー雑貨も品揃えするなど、「選ぶ楽しさ」を提案する。

中高生を含む若年層をターゲットとする「ダブルフォーカス」は移設の上、改装の目玉として従来はホビーの売場で取り扱っていたキャラクターの雑貨を部門の壁を越えて展開することにした。ダブルフォーカスはリニューアル後、売上げが2倍になった
ダブルフォーカスでは店長も含め、あえて若い世代の従業員を抜擢し、マネキンを含め若い感性で売場をつくってもらうようにしている。高校生、大学生からアルバイトの希望があるなど、若年層から関心を持ってもらっていることに手応えを感じている。黒板にチョークで文字を書くといった演出も

また、新たにビジネスやフォーマルの「オケージョン」を狙って「SMART MEDLEY(スマートメドレー)」を展開。30代~40代のファミリー世代や50代のミドル世代をターゲットに、婦人・紳士のビジネスウエア、フォーマルウエアを中心に取りそろえる。

シニア世代に向けては、「セカンドライフ」の提案として旅行や趣味などアクティブに人生を楽しむ世代に向けた大人のカジュアルウェア専門店を展開。「流行にとらわれず自分らしいオシャレを楽しみたい」という女性の思いを満たす「PART2 BY JUNKO SHIMADA」や着心地と機能性にこだわった服を提案する「着楽美(きらび)」などを展開する。

スポーツ関連の「スポーツライフ」としては、美と健康をサポートするアパレル中心の専門店「スポージアム」を展開。「エクササイズ」「フィットネス」のシーンで活躍するスポーツウエア&グッズを提案し、機能的で快適なアイテムを取りそろえる。

靴・トラベル・雑貨では、旅や外出の必需品を集めた専門店として「+MOOVE(プラスモーヴ)」を展開する他、人気ブランドの最新モデルやオリジナルブランドなど、ファッションとライフスタイルを提案する靴の専門店「ASBee(アスビー)」、毎日のファッションにほどよいトレンド感と、スパイスを与える鞄、服飾雑貨を提供する「MARCHE rouge(マルシェルージュ)」を展開。

また、暮らしの品は3階から2階に移設。「住まいとエンターテイメント(ホーム&エンターテイメント)」をコンセプトに、「余暇」シーンの提案と品揃えを強化する。5つの専門店で構成し、MZ世代やα世代といった若年層をはじめ、大人もワクワクする売場を展開し、新たな発見や体験ができる「暮らしの拠点」を目指す。

5つの専門店はホビー・クラフトの専門店「ZACCARA(ザッカラ)」、文房具の専門店「Stagraphy(スタグラフィ)」、家電・リフォームの専門店「DIGITAL WORLD(デジタルワールド)」、ホームファッション専門店「HÓME CÓORDY(ホームコーディ)」、携帯電話専門店「AEON MOBILE(イオンモバイル)」。

ホームコーディは3階から2階への移設に伴って売場面積は4割減となったが、ゴンドラの高さを1550cmから1800cmに高めるなどして密度を高め、品揃えを95%維持している。売上げでも前年並みを維持。売場販売効率は格段に高まった
ザッカラはプラモデルやジグソーパズルなど趣味性の高い商品群を集積。目的買いの商品だからこそ、売場奥に配置することで回遊を促す効果を狙う。この奥の売場はリニューアル前は衣料品売場だった
スタグラフィは文房具の専門店の位置づけだが、アメリカではベーシックアイテムであるカードを含め、パーティグッズも取り扱う。これまでイオンリテールとしてはパーティグッズはあまり取り扱ってこなかったがチャレンジした

3階はキッズフロアとしてベビー・キッズの専門店「キッズリパブリック」を展開。年齢別に分類した売場で買い回りのしやすさの実現を目指す。「ベビー」「幼園児」「スクール」と年齢別の売場の他、玩具に特化した売場「MONTOYS(モントイズ)」を展開。3~6歳(幼園児)と7~12歳(スクール)については「KIDS UNIVERSITY(キッズ ユニバーシティ)」として、アパレルと赤白帽や傘、ハンカチなど学童用品をそろえる。

3階は従来あった住居余暇を2階に移設し、テナント含めキッズ関連を集積し、子育て世代のターゲットに絞り込んだ形で売場をくくった
子ども靴専門店の「ASBee KIDS」も展開する

子どもの成長ごとに変化するニーズに合わせた商品の特徴を分かりやすく伝える他、各売場に専任担当者を配置し、接客、レジ、見送りの業務が一貫でできるようにすることで、これまで  以上にお客に寄り添える販売体制を構築。

特に接客が必要となるチャイルドシートやベビーカーなど大型雑貨やランドセルでは、その場で会計が完結するタブレット型レジも導入。接客後に再度レジで待ってもらうことがなくなり、スムーズに買物を終えることができるようにした。

もともと同SCは来館客数が1000万人規模の大型施設だった。今回は段階的なリニューアルをしていることから、22年度の約1000万人に対し、リニューアル後の26年度に1200万人を目指すとしている。

イオン相模原ショッピングセンター概要

所在地/神奈川県相模原市南区古淵2-10-1

オープン日/1993年8月11日

リニューアルオープン日/2025年7月18日

営業時間/1階食品・酒売場8時~23時(食品・酒以外9時~22時)、2階、3階(9時~22時)、一部営業時間が異なる売場がある。専門店の営業時間は店舗により異なる

駐車台数/約1500台

駐輪台数/約1230台

核店舗/イオン相模原店

店舗面積/約3万㎡

直営面積/約1万6000㎡

イオン相模原店店長/松木一朗

専門店数/70店舗

お役立ち資料データ

  • 2025年上半期 注目店スタディ

    これまで約30年間続いたデフレ傾向から一変し、インフレ傾向が続く2025年。値上げや人手不足の対策に追われたこの上半期ですが、引き続き注目新店は登場し続けています。今回もその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップ。今回は出店背景、店舗運営、商品政策(マーチャンダイジング)について、押さえておきたいポイントをコンパクトな資料としてまとめました。引き続き、企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ヤオコー/杉並桃井店 ・ヨークベニマル/ヨークパーク ・ヨークベニマル/ミライト⼀条店 ・サミット/サミットストア…

  • 2024年上半期 注目店スタディ

    2024年上半期も注目新店がたくさん出ました。今回はその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップしました。今回もいつものとおり、企業戦略、出店背景、商品政策(マーチャンダイジング)までを拾いながら記事にまとめました。豊富な写真と共にご覧いただければ幸いです。 注目企業の最新マーチャンダイジングの他、売場づくり、店舗運営など、いまのスーパーマーケットのトレンドも知ることができる一冊となっています。企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ライフ/ソコラ所沢店 ・ヤオコー/武蔵浦和店 ・サミットストア/ららテラ…

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…