ナリタヤがGRAN KITCHENナリタヤ八街店をオープン、自前開発商業施設グラン8モール核店の旗艦タイプで5年後年商30億円目指す

2025.09.08

千葉県地盤のスーパーマーケット(SM)企業のナリタヤは9月6日、千葉県八街市に新たな旗艦店舗として「GRAN KITCHENナリタヤ八街店」をオープンした。4日、5日にプレオープンし、6日にグランドオープンを迎えた。

JR総武本線榎戸駅から北東へ約2.3km、車で約7分に立地する同日グランドオープン予定のモール型複合商業施設「グラン8モール」の核店の位置づけとなる。食、暮らし、買物を一体化した「八街の新しい日常のハブ」となる地域密着型モールを目指すとしている。

テナントにはホームファッションのニトリ、ドラッグストアのヤックスドラッグの他、モスバーガー、コインランドリーなどが入るネイバーフッドショッピングセンター。ニトリは今後のオープンのため、オープン後の相乗効果が期待できる

国道409号線と県道77号線の交差点にあることからアクセスが良い立地。SC出店の旗艦店でもあることから、商圏としては北側の佐倉市、酒々井町、富里市、成田市、芝山町を含む7km圏を想定している。「毎日ではなくても、週末に来ていただけるのではということを考えて、7kmで商圏を設定している。商圏の売上規模で行くと600億円程度になる」(高橋宗久・システム室室長・販売促進兼務お客様相談室担当)

同社としては商業施設の核店ということもあって、今回の八街店を旗艦店のように位置付ける。売場面積は約587坪とそれほど大型ではないものの、ハレ需要も含む7km圏の広域集客を想定することから、年商では5年後に30億円という高い水準に達することを目指している。30億円ということで、シェアとしては約5%を目指すことになる。

ナリタヤは地域密着のSM企業として、食の安心・安全を大切にしながら、千葉の地場食材を地域で消費する「千産千消」や自然志向の商品提案に取り組んできた。

同社は現在、八街店を含め13店のSMを展開する。同社の礎は1977年に千葉県印旛郡栄町開業した飲食店の「一平食堂」で、その後79年に食品販売店の「ナリタヤ」を創業。その後、SMを出店しつつ、スクラップ&ビルドを繰り返しながら現在の業容を築いてきた。

そのため、八街店の直近の新店は2019年7月オープンの旭萬力店(千葉県旭市)までさかのぼるが、その間、2店をリニューアルオープンするなど、既存店を磨き込みながらのローカルチェーンらしい成長戦略を採っている。

今回、出店した八街市は、古くから落花生の名産地として知られることもあって、地域の農業や文化との共創を図りながら「地元の魅力を再発見できる場」を目指し、旗艦店としての出店を決定したとしている。

GRAN KITCHENナリタヤ八街店では、従来のSMの枠を超えた提案型SMとして、専門店のような「食の体験型ストア」実現を目指す。各部門では、目玉コーナーや独自性の高いマーチャンダイジングを展開し、「専門性」と「ライブ感」を追求する。

同時に、セルフサービス主体のSMではあるものの、コミュニケーションの要素を重視。

「調理しているところが見えるライブキッチン販売に取り組んだ。また、青果、精肉、鮮魚、特に青果では売場での対面販売ができるような形を採っている。鮮魚、精肉はケースの中ではあるが、対面ができるような形で、接客をしながら、楽しんでいただけるようなお店づくりを続けられればと思っている」(山本広明店長・食育コミュニケーター)

「自動化とか、生産性向上を目指す会社が多い中、わざわざ人が外に出てきて、対面販売、触れ合いとか会話とか、どの部門もそういうことを大事にするような設計に意図的に作り上げている」(猪野 学・営業企画部営業企画リーダー販売促進担当)

正社員は19人配置し、全従業員の頭数は約150人に上るが、それぞれが自身の立場でお客とコミュニケーションを図るように促しているという。

また、セルフサービスの売場であっても、例えばコーナー表記についてカテゴリー名だけでなく、「仕入れた意図」も盛り込むことで、商品についてよりこちらの意図が伝わるような工夫をするなど、全般的にコミュニケーションに配慮。

内装でも「親しみやすさ&ナチュラル志向」をコンセプトとすることで、快適な買物体験の提供を目指す。「食の体験」をより豊かに感じられるよう、空間づくりにも徹底的にこだわったという。店舗全体のデザインコンセプトは、温かみとぬくもりを感じる「オールドカントリー調」。自然豊かな農場を訪れたかのようなノスタルジックな世界観を、店舗の随所に散りばめる。

風除室の壁面には、赤いピックアップトラックや木造の納屋、果樹園が描かれたイラストを大胆に配置し、「Natural」「Organic」「Good Food」というキーメッセージと共に、ナリタヤが掲げる「健康的食生活提案企業」という理念を商品だけでなく、空間そのものでも体現した設計とした。

品揃えでは、「いつ来ても新しい発見がある」売場づくりを目指し、食材の品質、鮮度、バリエーションに徹底してこだわった商品展開を予定している。各カテゴリーでは、地域の特色や生活者ニーズに応じた専用コーナーの設置やライブ感のある売場演出を施し、訪れるたびに新しいワクワク感が得られる店舗体験の実現を目指す。

売場レイアウトは、青果と惣菜を第1主通路にまとめたパターンを採用。壁面側にはインストアベーカリーと惣菜を配置し、バックヤードで商品を製造している様子が見える設計になっている。

売場レイアウト図

青果では、季節ごとフレッシュかつ彩り豊かなラインアップを心がける他、売場内に囲いを設け、作業場を設置。接客ができるハードを生かし、小分け対応も実施する。

青果でのライブ感の演出として売場内に作業場を設置。小分けは需要があるとの仮説から実施。手数料は取らない
農家と連携して調達している「ナリタヤファミリー」の商品をコーナー化
オリジナル商品もプライベートブランドから留め型的な商品まで複数ラインで展開している。イートインコーナーにそれぞれのブランドの説明を掲示している
青果の即食としてフルーツサンドを販売。生クリームとパンの間に地元名産の落花生にちなんで「ピーナッツバター」を塗るこだわり

鮮魚では旬魚の取り扱いや対面でのサービスなどを実施。魚は12尺の対面販売コーナーを設け、売り続けることにこだわる。丸物から売体変更をしながら、最後は加工して売り切るようにする。

ナリタヤでは生鮮惣菜も積極的に展開。鮮魚では生のたねを中心に使用することで差別化を図る寿司の他、弁当、おにぎりなどの米飯や魚惣菜を展開する。

鮮魚の寿司は平ケースで展開。刺身と隣接させていて、鮮魚の即食でまとめている
鮮魚の魚惣菜は焼き、揚げの単品の他、弁当など米飯も展開
鮮魚で展開されるおにぎりでは「300g以上」「500g」といった大ぶりの商品も展開する他、魚卵をたっぷり使い、「痛風おにぎり」と銘打つ商品も…

鮮魚に続いて展開される精肉は、売上高構成比で20%以上を目指す主力部門の位置づけ。同社はもともと精肉店を営業していたこともあって精肉については歴史も深い。現在ではSM企業になっているが、ある種、原点回帰のような形で全国の精肉店を勉強しながら、マーチャンダイジングを磨き込んだという。

精肉はあえて「Naritayaザ・MEAT」と銘打つ
精肉では生鮮惣菜にチャレンジ。つまみ需要などをターゲットに、冷蔵で馬刺し、ローストビーフを取り扱う他、店内製造の温惣菜、肉巻き寿司も展開。この店のために研究してきた
今回、初めて展開する温惣菜では肉巻き棒おにぎりなど米飯も展開。すき焼き重では黒毛和牛を使用するなど、精肉ならではの素材をふんだんに活用
関東では豚肉が主力となるが、もともと精肉店も営んでいた同社として地元の「北総豚」はずっと売り続けてきた商品

特に精肉、惣菜、寿司など即食カテゴリーでは、専門性と利便性を兼ね備えた品揃えを中心に、幅広いライフスタイルに寄り添った品揃えを心がける。

SM各社で需要が高まってきている味付け商品については平ケースでコーナー展開
半加工品のレティ・トゥ・クックの商品も充実
希少部位なども冷凍でしっかり販売
精肉では従業員による量り売りも実施。コミュニケーションを模索する
ブロック肉のディスプレーも実施

生鮮各部門が即食を強化する中にあっても、惣菜、インストアベーカリーももちろん、主力として大きな存在感を放っている。ライブ感ある売場づくりと共に、バラエティ豊かな品揃えを実施している。

惣菜の目玉として、焼き鳥のライブ販売を実施する。一部が自動化された機械を導入し、焼きながら焼きたてをアピールしながら販売していく意向
鉄板焼きは焼いているところが良く見える
惣菜の寿司は握りも展開するが、どちらかというと巻き寿司などをメインに打ち出す。その他、惣菜でもおにぎりコーナーを設置。鮮魚と惣菜でそれぞれの商品ラインを持ち、さまざなライフスタイルに対応する
ライブ感の演出による店内製造の商品が前面に打ち出されるが、アウトパックも活用。同社では和惣菜など冷惣菜を中心としたプロセスセンターを設け、製造拠点として活用。閉店した店を改装して転用している
インストアベーカリーは売場先頭に配置。接客を重視する同店の施策の一環として、今回、食パンのオーダーカットを実施する
ベーカリーではやわらかいフランスパンを使用し、「SUBS(サブ)」との名称で店内製造のサンドイッチを販売
地元の「八街」を強調した商品を投入
ベーカリーではドーナツを専用の什器でばら販売。オープン日には非常に良く売れていた

山本店長は、「お客さまが飽きない、毎日が楽しくなるようなお店づくりをしていきたい。平日はなかなか難しいとは思うが、週末はイベントを実施しながらご来店していただけるようにしていきたい」と語る。

同社としては生鮮惣菜を含む即食を主力として、生鮮、惣菜合わせた売上高構成比で50%以上、60%近くにまで高めたい意向。

一方で、加工食品については周囲にはディスカウント型の店も多いことから、特にナショナルブランド商品では競合店に負けない価格を出す他、こだわり系の商品も取り扱い、差別化を図る。ただし、アイテム自体は絞り込み、300坪クラスと同レベルのSKU数にしたという。

第1主通路に青果と惣菜をまとめたため、最終コーナーまでの誘導はどうしても弱くなる。レイアウトとしては需要の高まる冷凍食品を配置
アイスクリームではご当地アイスなど、高単価の商品も展開している
冷凍食品の品揃えでは、CGCの本体価格168円の商品を販売する一方で、同598円の商品を隣で販売。めりはりが効いている
100円均一店のワッツの商品を消化仕入れの形で共通レジで導入。日用品の品揃えを補完する

旭萬力店では、バイオーダーメニューなども導入したグローサラントに挑戦したが、オープンから間もない時期に新型コロナウイルスのパンデミックが始まったことから需要が激減し、展開を縮小せざるを得なくなってしまった。

「グローサラントはぜひ、やりたい。たくさんいい商品を取り扱っているので、一度、食べてもらって、いい商品を売っていることを知ってもらうということをやりたい」(高橋室長)

今回はひとまず、イートインを広めに確保し、店内で買ったものを食べてもらうことにとどまったが、次なるグローサラントの充実にも意欲を示す。GRAN KITCHENフォーマットの進化が楽しみである。

同社では曜日ごとの販促を実施。お客の習慣になるような販促は平日の来店にもつながる取り組みといえる

グラン8モール概要

所在地/八街市八街は11-1

駐車場、駐輪場/駐車場300台、駐輪場180台

総敷地面積/約1万8000㎡

商業施設面積/6292㎡(うちナリタヤ棟1940㎡)

お役立ち資料データ

  • 2025年上半期 注目店スタディ

    これまで約30年間続いたデフレ傾向から一変し、インフレ傾向が続く2025年。値上げや人手不足の対策に追われたこの上半期ですが、引き続き注目新店は登場し続けています。今回もその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップ。今回は出店背景、店舗運営、商品政策(マーチャンダイジング)について、押さえておきたいポイントをコンパクトな資料としてまとめました。引き続き、企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ヤオコー/杉並桃井店 ・ヨークベニマル/ヨークパーク ・ヨークベニマル/ミライト⼀条店 ・サミット/サミットストア…

  • 2024年上半期 注目店スタディ

    2024年上半期も注目新店がたくさん出ました。今回はその中から厳選した6店舗を独自の視点でピックアップしました。今回もいつものとおり、企業戦略、出店背景、商品政策(マーチャンダイジング)までを拾いながら記事にまとめました。豊富な写真と共にご覧いただければ幸いです。 注目企業の最新マーチャンダイジングの他、売場づくり、店舗運営など、いまのスーパーマーケットのトレンドも知ることができる一冊となっています。企業研究、店舗研究、商品研究の他、実際に店舗を訪問するときの参考資料としてご活用いただければ幸いです。 <掲載店舗一覧> ・ライフ/ソコラ所沢店 ・ヤオコー/武蔵浦和店 ・サミットストア/ららテラ…

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…