トライアルと西友の強みを融合した新フォーマットの第1号店、トライアル西友花小金井店が目指すもの

2025.12.18

トライアルホールディングス傘下のSTリテールは、トライアルと⻄友の強みを融合した新フォーマットの第1号店となるトライアル⻄友花⼩⾦井店を東京都⼩平市に11⽉28⽇、グランドオープンした。STリテールはその名のとおり、西友(S)とトライアル(T)の融合店を展開する小売業の事業会社として位置付けられる。

7月のトライアルによる西友の買収を受け、両社の強みを融合した新フォーマットの第1号店となる。トライアルのITを活⽤したスマートで効率的な購買体験の強み、⻄友の都市型⽴地などの強みに加え、両社の「おいしい⾷」へのこだわりを反映させたとしている。

また、売場面積は2層の約1080坪と、トライアルのスーパーセンターと同規模だが、日本で長期的に課題感が高まっている「総合スーパー(GMS)」の再⽣モデルづくりを⽬指した「都市型の新フォーマット」になる。新フォーマットのロゴには、トライアルと⻄友の融合を象徴する⻘と⾚を配置し、共に創り上げていくという思いを込めた。

第1号店となった花⼩⾦井店は⻄武新宿線の花⼩⾦井駅から徒歩約3分の場所に立地。西友花小金井店を改装する形でのオープンとなった。1階には⽣鮮⾷品、惣菜、加⼯⾷品、2階に酒類、⽇⽤品、⾐料品などを取りそろえ、24時間営業する。

トライアルの商品の他、デジタル技術や品質管理ノウハウなどの導⼊を通じて持続可能なローコストオペレーションの確⽴を⽬指したスマートストアとして運営していく。

トライアルの「スマートストア」は、セルフレジ機能付き買物カートである「Skip Cart(スキップカート)」や、顧客ニーズに合わせた情報を店内で届けるなど、リテールメディアの重要な拠点にもなるデジタルサイネージの「インストアサイネージ」など、トライアルが独⾃に開発したIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)技術を導⼊し、データの利活⽤によって「新しい購買体験と効率的な店舗運営を実現する次世代型店舗」となる。

スキップカートは専⽤のプリペイドカードをカートに登録の上、付属するスキャナーでお客⾃らが商品バーコードを読み取ることで、通常のレジでの商品登録や会計の⼿順を省き、専⽤ゲートを通過するだけでキャッシュレス会計を済ますことができる。お客にとっては、レジの待ち時間を省くことができる他、店側にとっては通常のレジ会計に伴うレジ⼈時を削減することができるメリットがある。

また、お客の属性や購買履歴などのデータを活⽤し、そのお客に最適な商品をAIが選択し、タブレット上で勧めるレコメンド機能も搭載。花⼩⾦井店は全国で265店⽬、都内では初めての導入となる。導入する台数は80台。累計の稼働台数は約2万2000台に上るという。

Skip Cart(スキップカート)。スキャナーはタブレット端末の下部と、大きなものをスキャンするためのハンディタイプの2つある。導入店での平均的な使用率は26%弱にまで高まってきていて、高い店では40%を超えている。「地域の客層によるが、間違いなく、これがあることによってレジレーンの人時は下がる。クーポンを使っていただける方は、どんどん使っていただいている」(野田大輔・トライアルカンパニーマーケティング部部長)
2層の売場だが、スキップカートは階をまたがず、フロアごとの精算としている。売場では「レジカート」と掲示し、メリットと共に使用を勧める
1階のスキップカートのレジレーン。買物をした後は、レーンを通過するだけで買物が終了する。レジゾーンの壁面にも6台のインストアサイネージを設置している
スキップカート以外のレジはセミセルフレジの他、フルセルフレジも用意
トライアルのアプリは、電子マネー機能に加え、スマホPOSとしても使える「SU-PAY(スーペイ)」が従来から存在していたが、新アプリとしてチラシやクーポンを配信する「TRIAL+(トライアルプラス)」が加わった。店頭でクーポンのメリットを訴求し、ダウンロードを促す
クーポンのメリットは売場内でも随所に訴求

お客に新たな購買体験を提供するインストアサイネージは、トライアルの店舗としては国内169店⽬の本格導⼊となった。売場に合わせた映像や写真のオリジナルコンテンツだけでなく、⾳声付きで店内⼀⻫放送も可能。

館内の⾳声と連動して惣菜などが出来たてであることなどを知らせたり、季節や催事に合わせた訴求コンテンツを配信したりすることもできる。トライアルとしては、「お客さまのニーズ合わせて適切なコンテンツを発信することで、より快適なお買物環境を体験」することができるとする。

実際、インストアサイネージを活⽤したプロモーションによって⾮計画購買を促すことができ、売上増加にもつながっているという。例えば、焼き芋の出来たての情報を放映したところ、インストアサイネージを設置していない店舗に比べて売上げが114%アップするなど効果が見られた。

花⼩⾦井店には41台が導⼊されたが、既存の導入店では26~30台が多いことからかなり多い。累積の稼働台数は約3200台となるなど、「メディア」としての存在感もかなり高まっていることが分かる。

インストアサイネージは平ケースの上などを含む随所に設置。「ベーカリーの焼きたて商品が並んだ」といった情報をタイムリーに提供することで、お客への提案力を高めている

インストアサイネージはポイント、ポイントで設置されているが、入口正面奥のエスカレーター脇のスペースは入店時からの視認性も高いことから7台設置することで「面」での訴求を強化。リテールメディアとして活用についても模索していくが、取材日はサントリーの情報を流し、その前でサントリーの商品を展開するなど、まさに「買物の場」に最も近いというメリットを生かしたリテールメディアの展開をしていた。

決して単独メーカーの情報だけというわけではなく、例えば複数社での企画などをするなど、活用を模索していく。「入口入ってきて真正面のところで、プレゼンテーションをメーカーと小売りがいっしょにやる売場があるということ」(野田大輔・トライアルカンパニーマーケティング部部長)

入口正面奥のエスカレーター脇のスペースに設置された7台のインストアサイネージ

品揃えでは、トライアルの要素の移植と、西友との融合が図られた。トライアルの強みである「職⼈監修」の惣菜の他、⽣鮮⾷品でも鮮⿂の⽣⿂を使った寿司の導⼊や、店内加⼯に変更した精⾁、産直の⻘果などトライアルが強みとするマーチャンダイジングを随所に移植。

店頭の青果ではトライアルの調達からの商品を前面で訴求

また、「おいしくなれ︕」などトライアルのプライベートブランド(PB)も差し込まれ、⻄友のPBである「みなさまのお墨付き」と併せ、オリジナリティを打ち出す。

青果でもバナナなどトライアルのオリジナル商品を売り込む
鮮魚は他のトライアル店舗と同様、グループ会社の魚寅が運営する方式に転換。「トライアル」を前面に打ち出している
トライアル流の鮮魚の⽣⿂を使った寿司も新導⼊。可能な限り⽣の寿司だねを使うなど工夫をしながら、価格面でも手ごろな価格を目指す
精⾁は⽣産から店頭までの時間を徹底短縮するため、店内加⼯に変更。「⼀頭買い」などもすることで希少部位も販売
精肉では、ラムや内臓系など品揃えを広げている
精肉で販売されている「プルコギ」。職⼈が理想を追求し、何度も施策を重ねて完成したという。精肉と、惣菜を合わせ、年間販売数約360万パック売れる⼈気商品になっている
業界として売上げが上がっている味付け肉もしっかり販売。黒コショウとレモンのソテーにはレモンをあしらうなど、見た目にもこだわりを感じる
惣菜についてはグループ会社のこはく本舗(11月に明治屋から社名変更)が運営する形を採っている。年間1300万食を達成した「ロースかつ重」(本体価格277円)など売れ筋も含め、平台で大きく展開
中華惣菜は「好吃楼(おしいかろう)」の看板で打ち出す。中国語の「好吃」(おいしいの意)と、九州弁の「~かろ」(~でしょう?)を組み合わせたという
自社工場製のアウトパックの商品も組み合わせながら、おいしさへのこだわり訴求と併せ売り込む
惣菜ではバイキング形式のばら売りも展開。トライアルの福岡空港店(福岡県志免町)で実験している取り組みをこちらでも展開した
「ロースかつ重」と共に名物商品の位置付けを担う「白いたっぷりたまごサンド」(本体価格185円)
壁面では冷惣菜を販売。鮮魚だけでなく、惣菜でも寿司を取り扱う
ベーカリーは平台で展開する
スコーン、マフィン、ドーナツなどスイーツ系の商品も「こはく本舗」ブランドで展開
「おいしくなれ!」の「カスタード&ホイップシュー」(本体価格198円)。クッキー⽣地に⾷感が異なる2種の砂糖を乗せてザクザクの⾷感を実現した上、クリームを2層でたっぷり使用
リテールメディアも活用して焼きたて訴求をするホテルブレッド。1本で本体価格248円と値ごろ。
トライアルの名前を冠した「トライアルブレッド」。こちらは本体価格98円。ホテルブレッドの対面で販売し、量目は異なるものの、ベーシックアイテムである食パンについて比較購買ができるようにしている
スーパーマーケットでも強化する企業が増えているスイーツについては、日配でもオリジナル商品を訴求。「デカスイーツシリーズ」のプリンや杏仁豆腐を売り込む
オリジナル商品だけでなく、ナショナルブランドの商品も「エキサイティングプライス」などで価格訴求
加工食品のゴンドラ内では、オリジナル商品のケチャップや焼肉のたれなどを売り込む。棚照明も活用し、売場にアクセントを作っている
ゴンドラエンドでもナショナルブランド商品とオリジナル商品を併売し、オリジナル商品を試してもらうように促す

さらに、トライアルが福岡発の⼩売業であることから、「九州愛」をテーマとした商品の提供も新たに開始し、関東など九州から遠いエリアを地盤とする西友店舗のお客に対し、差別化要素として訴求する。店内放送でも一部で九州弁を用いるなど、「九州発」であることを最大限アピールしている。

九州ならではの商品として⽵下製菓の「ブラックモンブラン」を展開。ブラックモンブンは九州のソウルフードともいえるアイスバーで、トライアルグループの店舗として初めてポップアップスペースを設置した。オープン⽇から3⽇間は、子ども向けに1日500本限定で無料配布を実施した
水産加工品のオリジナル商品も売り込む。明太子を「九州」を打ち出しながら訴求
精肉ではローストビーフや肉寿司など惣菜も手がけるが、宮崎県の郷土料理としても有名な鶏の炭火焼きも「九州」を打ち出しながら展開。フックがけで視認性も高くなっている
惣菜では九州6県の商品を「うまかもんグルメ」として訴求
加工食品のゴンドラでも「九州」の商品を提案。フォーマット転換に際し、トライアル流にゴンドラも高くし、さらに補充が省力化できるようにゴンドラの上に在庫を置くようにした

約1080坪で、衣料品の他、日用品を始めとした住居関連品もそれなりの規模で取り扱うため、全体では約2万5000品⽬の品揃えとなったが、そのうち約2割をPB商品が占める。今回、初の融合店ということもあって、トライアルと⻄友のPBをどの店舗よりも多く取りそろえたという。都市型のGMSとして「⽇常の買物から特別な⼀品まで、欲しいものが必ず⾒つかる、地域最⼤級の品揃え」を⽬指した。

2階では⽣活⽤品、⽇⽤雑貨、衣料品に加え、酒売場を配置。化粧品、洗剤などの⽇⽤品に加え、照明など一部家電なども販売する
オリジナルのアパレル商品を導⼊。累計販売数600万枚(2025年3⽉時点)を突破した発熱、保温、保湿などの機能を備えたトライアルのインナー「ONFEEL」や、保温性約60.1%を実現している「シルキーフリース」などを機能性とファッション性を両⽴した商品として販売
オリジナル商品によるアパレル事業を「RIALT(リアルト)」として、専⾨店展開も開始したが、花小金井店ではブランド名は掲げないものの、しっかりとした衣料品売場をつくっている
衣料品でも「九州」をアピール
ホームファッション関連でもオリジナル商品を訴求
日用品のラップなどでもオリジナル商品を展開
酒売場は西友時代は1階だったが、2階へ移動し、以前の約3倍の品揃えとした他、特に九州の焼酎を多数品揃え

ナショナルブランド商品などトライアルと西友で共通に扱っていた商品も少なくないとみられるが、今回、西友のPBなど一部を除いて、商品については基本的にトライアルの商流、物流に置き換えられた。「ロジ(スティクス)を変えるのは大変。トランスファー(通過)でない在庫型のセンターの場合、いまカバーしている店舗の回転率に合わせて在庫を持っているのに、トライアルの店舗が増えたり、売価をトライアルに合わせて販売数が上がったりすると、回転が変わってしまう」(野田部長)

また、⻄友のPB「みなさまのお墨付き」は西友店舗ではまとめて大量陳列するなど面での打ち出しも多かったが、トライアルと融合が進む中にあって、各売場での展開にシフトしている。

ただし、「トライアルのPBとみなさまのお墨付きは、もともと商品の思想が違う。だから、基本的にはバッティングしない」(野田部長)ため、もちろん、個別の検討を経た上でのこととなるが、基本的には両社のオリジナル商品は併売するスタンスを採る。

東洋水産とコラボレーションして開発したオリジナル商品のカップ麺の「甲斐シェフこだわりの担担麺」(本体価格298円)を棚板照明を用いて「ご当地カップ麺」のコーナーで展開。東洋水産の特許製法の麺を使い、こはく本舗の甲斐孝文シェフがスープを監修したこだわりの担々麺。カップ麺は西友のみなさまのお墨付き、ナショナルブランド商品など多彩な品揃え
みなさまのお墨付きは、カテゴリーの中に自然な形で差し込まれている
みなさまのお墨付きのレトルトカレーなどはシリーズでの品揃えが重要であることもあって、「面」での展開のパターンもある

トライアルのスマートストアの要素を導入し、品揃えでの融合が図られた花小金井店だが、店舗を率いるのは西友出身の店長となる。店舗システムなどはトライアルのシステムに置き換わっていることから、まさに店長にとっても新たな挑戦となる。

今回、融合店としての新フォーマット1号店となった花小金井店だが、すでに次の店の計画があり、26年1月25日に閉店し、同年冬にオープン予定の西友武蔵新城店(川崎市中原区)がそのターゲットとなる。ただし、その他、西友の店舗については未定だという。

また、前述のように、今回の新フォーマットはトライアルのスーパーセンターと同規模ではあるが、一部MDの要素がトライアルの既存店に導入される可能性はあるものの、今回はあくまで「都市型」の位置付け、かつ多層階ということもあって、あくまで「トライアルのスーパーセンターとは別のフォーマット」として運営していく方針。

「例えば、スーパーセンターには品揃え上、テレビがいる。田舎で、夕方5時にテレビが壊れて、いますぐ欲しいというときに、あることが重要。一方で、都市部は(ネット通販で)『ぽちっ』と押せばすぐに来る(ため、品揃え上、必要ではない)。だから、今回はトライアルと西友がいっしょになって、都市型の新型フォーマットを作るという位置付け」(野田部長)

融合店の1号店ということもあって、お客に向けて細かな情報発信をしている
照明など、一部生活家電は取り扱うが、田舎立地のスーパーセンターとは異なる考え方に基づき、あくまで都市部で求められるものに絞っている

子会社化から5カ月弱という短期間で小型店のTRIAL GOの多店化を開始しつつ、今回の融合フォーマット1号店の開発にまでこぎつけたわけだが、野田部長は「このスピード感でできるのはトライアルの強さだと思う。いかんなく強さを発揮した」と語る。

トライアル⻄友花⼩⾦井店概要

所在地/東京都⼩平市花⼩⾦井1-2-23

オープン日/2025年11月28日(グランドオープン)

営業時間/24時間

店舗⾯積/約1080坪

駐⾞台数/144台

お役立ち資料データ

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