ヤオコー川越藤間店オープン、サミット跡地にドミナントのすき間を埋める出店で、小商圏高シェア狙う
2022.04.12
2021.07.01
ヤオコーは7月6日、埼玉県川越市に埼玉県内93店目となるヤオコー川越藤間店をオープンした。全社的には173店体制となり、埼玉県の他、千葉県31店、群馬県16店、東京都 12店、神奈川県9店舗、茨城県7店、栃木県5店の陣容になる。
東武東上線新河岸駅から約1.1km、上福岡駅から約1.5km、国道254号線川越街道沿いのサミットストア跡地への居抜き出店。戸建てや集合住宅、飲食店などが多いエリアで、周辺には自社の店も多い。
直線距離で東方向に約2㎞のイトーヨーカドー跡地には7月中に自社ふじみ野大原店(埼玉県ふじみ野市)がオープンを予定するなど、商圏内でのドミナントのすき間を埋める形の出店が続く形となる。自社で盤石の基盤を築くための小商圏でのシェア争いの激しさを表すような出店である。
1km圏内では人口、世帯数共に増加傾向にある。2km圏内の年齢構成は、40~50歳代、70歳以上がボリュームゾーン。特に1km圏では単身者の割合が35.7%と埼玉県平均の30.5%と比べても高いことが特徴となっている。
足元はシニアの構成比が高いことから、子どもが独立したシニアの2人家族をメインターゲットに、ところどころでグレードの高い商品を差し込んでいる他、鮮魚、果物の構成比が高まるとみる。サブターゲットは40代~50代の2~4人の家族を想定する。
ヤオコーの売場面積は730坪と大型で、テナントとして8月中旬にオープンを予定するスギ薬局の他、100円ショップのワッツ、女性専用フィットネスのカーブス、クリーニング、介護サービスが入り、ショッピングセンターを構成する。
大型店ではあるものの、ストアコンセプトには「店の近くに住むお客さまに信頼され、圧倒的に支持されるお店~『おいしさ』・『楽しさ』・『安さ』で、毎日お客さまに喜んでもらえるお店にしよう~」を掲げる。「店の近く」という表現からは足元商圏の重視、「毎日」という表現からは高シェアを重視していることが伺え、ヤオコーが重視する「小商圏高シェア」戦略を採用していることが分かる。
オープン予定のふじみ野大原店の他、北西方向に川越今福店(川越市)、南東方向に上福岡西口店(ふじみ野市)、上福岡駒林店(同)など自社店が多数あることもあり、初年度年商は17億円と、売上規模からするとかなり控えめ。ドミナントの中でいかに小商圏の深掘りをしながら売上げを確保していくかが試される。
そのため、出店に当たっての投資も抑えた。居抜きということもあり、建物をそのまま活用している他、ヤオコーの売場でも什器などは、サミット時代のもので利用できるものは利用。やや天井高が低く感じるが、それでも外観や内装、照明などはヤオコー流に一新することで、新店のような雰囲気になっている。
初年度の売上高構成比計画では、生鮮は37.4%、デリカ14.7%と生鮮・デリカで52.1%を占めるのはヤオコーの他店と同様。結果、グロッサリーの売上高構成比計画は47.9%となっている。
SKU数は生鮮が約1200、デリカが350、グロッサリーが約1万4370、合計約1万5920と、売場が大型ということもあって特にグロッサリーが多い。その意味では豊富な加工商品の品揃えによって、競合店との差別化を図りながら集客を図ることも期待されている。
「油揚げ」関連商品で「おつまみ提案」を実施
精肉では、グレードの高い商品をメインに牛焼肉カテゴリーを強化すると共に、週末には豚肉産地フェアを実施し、豊富な種類が選べる豚肉売場を実現する。
加えて、主力商品の少量パックを強化する他、「もう一品」や「おつまみ」カテゴリーなどの少量コーナー売場を各所で展開する。
鮮魚では、近海魚と切り身で圧倒的な「旬」の打ち出しを行う他、本マグロの赤身造りやまマグロたたき、マグロ切り落としといった品揃えで、「あらゆる世代に支持していただける売場」を実現する。
青果では、旬の最もおいしい時期に最大限の品揃えを行うことで、選ぶ楽しさを実現。ギフトにも対応可能なグレードの高い商品を充実させ、「ちょっとがイイね」など小量目の品揃えも強化することで幅広いニーズに応える。
花については、季節、定番商品をめりはりを付けて売場展開し、「季節を感じる花のある生活を楽しんでいただける売場」とする。
デリカの惣菜カテゴリーでは、手間のかかる焼き魚や煮魚といった魚惣菜を展開することで簡便需要に応える。
また、時間帯別に売場を変化させる。昼は少しずついろいろ食べられる「ちょっとがイイネ」、夕方からはワンコイン大容量パックをコーナー化。いつでも出来たて作りたてのおいしさを提供するように努める。
寿司カテゴリーでは、ヤオコーオリジナルの味付けで酢締めした本格サバ棒寿司を中心に、アジやイワシといった青魚の握りや、出来たてのおにぎりの品揃えを強化。
インストアベーカリーでは、朝食で食べる頻度の高い食事パンを強化。「北海道小麦食パン」や「あん食パン」に力を入れ、個食サイズなどの買いやすい小量目を中心に、選ぶ楽しさを作り出すと共に「毎日の定番」として利用してもらう売場を目指す。また、ヤオコーオリジナルの店内製造スイーツで豊かな食卓に向けた提案を継続する。
グロッサリーでは、まず日配食品では和日配について、さまざまな産地の大豆を使った豆腐を取りそろえると共に、こだわり商品から惣菜まで「油揚げ」関連商品を幅広く取りそろえることで、「おつまみ提案」を実施。
また、洋日配では、こだわりブランドのバターやマーガリン、ナチュラルチーズなど乳製品の品揃えを強化する。
ドライ食品では、輸入パスタの品揃えの強化する他、ナッツを取り入れたパワーサラダなど、健康に配慮したメニューの提案にも踏み込む。酒では、直輸入ワインを中心に、国産、オーガニックワインの品揃えを強化し、気軽に楽しめ、食事にも合わせやすい商品の提案に努める。
また、健康ニーズに応えるために薬用、歯間ブラシなどのオーラルケアラインを取りそろえる。
ヤオコー川越藤間店概要
所在地/埼玉県川越市大字藤間218-3
オープン日/2021年7月6日
営業時間/9時~22時
駐車台数/160台(駐輪場108台、うちバイク置き場5台)
敷地面積8011.45㎡(2423坪)
延べ床面積/9340.41㎡(2825坪、施設全体)
8592.41㎡(2599坪、ヤオコー床面積)
店舗面積/2414.05㎡(730坪)
店長/大澤裕之
従業員数/正社員18人、パートナー・ヘルパー・アルバイト102人(延べ人数)
年間売上げ/初年度17億円(予定)
商圏人口/1km圏内2万7000人(1万3000世帯)、3km圏内19万7000人(9万世帯)、5km圏内37万9000人(17万3000世帯)