IoTとは?概要や実現できることを、企業の導入例と併せて解説

2022.06.15

2022.05.26

最先端のテクノロジーのひとつとして注目されている「IoT」。スマートスピーカーやスマートホームをはじめ家庭でツールとして導入されているものから、現場や製品に搭載するなどビジネスシーンでの活用されているものまで多くのIoT技術が活用されている。

今後の人間社会にとって当たり前のものになりつつある、IoTの概要や実現できることに加えて、ビジネスシーンにおける企業のIoT導入例を解説する。

IoTの概要と実現できること

IoTの言葉の意味と、IoTによって実現できることを解説する。

IoTとは

IoTとは”Internet of Things”の略語で「アイオーティ」と発音し、日本語では「モノのインターネット」と訳される。身の回りのあらゆるモノをインターネットでつなげる技術を指す言葉だ。

かつてインターネットで接続できるのはパソコンのみだったが、技術の発展によって携帯電話、スマートフォン、タブレットなどのモバイルデバイスでも接続可能になった。さらに電化製品や自動車なども、IoTによってインターネットへの接続が可能となっている。

IoTが発展した背景には、消費者ニーズの多様化がある。今後も多様化する消費者のニーズに対応するためには、新しい付加価値の発見が必須だ。IoTは新しい付加価値の発見を実現できるテクノロジーだ。さらにIoTはさまざまな分野や業種で活用できるため、製品やサービスの新しい付加価値の発見によるソリューションとして幅広い業種で進歩や拡大が期待されるだろう。

IoTの仕組み

IoTは、以下4つの要素から構成されている。

・デバイス…対象となるモノ

・センサー…状態をデータとして取得する装置

・ネットワーク…データを送る通信手段

・アプリケーション…データを可視化するための手段

IoTの対象となるモノ(デバイス)には、センサーやカメラ、無線通信機器など情報をデータとして取得できる装置が搭載されている。

デバイスが各センサーからデータを取得し、インターネットやBluetoothなどのネットワークを通じ、データが通信される。送られたデータは、スマートフォンのアプリをはじめとした、アプリケーションを通じてモニタリングしたり、操作したりすることが可能だ。

IoTで実現できること

IoTを活用することで、以下の4つのことがモノ(デバイス)から離れた場所で実現できる。

・モノを操作する

・モノの状態を知る

・モノの動きを検知する

・モノ同士で通信する

IoTによって、離れた場所からモノを操作できる。たとえばIoTで接続された家電であれば、外出中にスマートフォンを利用して自宅のエアコンのタイマー設定をしておく、照明をオンオフする、電動シャッターを開閉する、フードサーバーからペットにエサをあげる、電子圧力鍋の調理メニューを実行するなどが可能だ。

モノに搭載されたセンサーによって、離れた場所からモノの状態を把握したり、モニタリングしたりもできる。たとえば自宅で留守番をしている子どもやペットの様子を見る、子どもやペットに異変が起きたらアラームなどで知らせる、照明やシャッターの状態を見て必要に応じて開閉する、自宅や会社のドア、窓などが不用意に開けられた場合に通知が入るなどが可能だ。工場の機器をIoTでつなぐと、異常が発生した場合に警報を鳴らすなどの機能もつけられる。

動きや音、光、熱などの五感で感じるものをデータとして取得し、可視化できるセンシング技術とIoTを組み合わせると、モノの動きを検知することも可能だ。人を検知してブレーキアシストが働く電車や自動車の安全運転サポート機能、温度や湿度、水位をモニタリングして運用するスマート農場、バス停や駅で待つ乗客へ次の便の到着時間を知らせる掲示板、などでIoTがセンシング技術とともに活用されている。

IoTで接続したデバイス同士でデータの送受信を行うことによって、複数のデバイスを同時に操作することも可能だ。電車や自動車の自動運転機能や、スマートスピーカーとデバイス同士を通信させて、音声入力による電化製品の操作などが該当する。

IoTが拡大した背景

IoTは急速に普及したICT技術のひとつ。IoTが近年急速に拡大した背景には、以下の4つのポイントがある。

・スマートフォンの普及

・労働力確保の手段として注目

・導入コストの低下

・IoTデバイスの小型化

GPSや指紋認証など多くのセンサーが搭載されているスマートフォンは、身近なIoTデバイスといえるだろう。スマートフォンのアプリを通じていろいろなモノのデータを可視化できるため、IoTが拡大した理由はひとつにスマートフォンの普及にある。

少子高齢化による働き手不足や、働き方改革による残業の是正や多様な働き方の認知などを受け、働く人員不足に悩まされてる企業も多い。IoTによって人的コスト削減もできるため、各企業の人員に代わる労働力確保の手段としてIoTを導入、または導入を検討する企業が増加したのも背景にあるだろう。

IoTを企業が導入するには、当然コストが発生する。一方でデータを取得するセンサー機器や通信モジュールの進歩、5Gをはじめとした通信サービスの拡充によって、IoTの導入コストが下がってきた。以前よりも企業がコスト面でIoTを導入しやすくなったため、大企業だけでなく中小企業でもIoT導入が少しずつ浸透している点も理由のひとつだろう。

センサー技術の向上によって、IoTデバイスも小型化が実現した。工場の機器や電化製品などの大型のものだけでなく、時計やアクセサリー型のウェアラブルデバイス、小型機器に設置できるトレーサビリティなども登場している。幅広い分野でIoTを取り入れられるようになったことも、よりIoTが普及していった理由といえる。

IoTで得られるメリットや効果

IoTがもたらすメリットや効果を解説。

社会生活やビジネスにおける利便性の向上

IoTによってモノがインターネットでつながると利便性が向上する。日常生活では、外出先でも自宅のモノを遠隔操作する、スマートロックを使って鍵や窓などの施錠確認をするなどが実現できる。日常生活が便利になるのはもちろん、防犯対策でも大きなメリットが得られるだろう。

ビジネスシーンでも、稼働している工場の状態を遠隔地にある支社から随時モニタリングするなど、生産性の向上や保守点検面でのメリットも多くある。蓄積したデータを課題解決などに役立てることも可能だ。

コスト削減

企業が自社の工場や倉庫などの設備にIoTを取り入れることで、コスト削減となるメリットがある。工場の稼働状況や数値も直接足を運んで確認する必要がなくなるため、人的なコスト削減も可能だ。24時間稼働するスマートファクトリーや、セルフレジとIoTを組み合わせた無人店舗などもある。警備の自動化や作業効率アップによるコスト削減も実現できるだろう。

新しい付加価値の創出によるビジネスチャンス

IoTを導入することで、モノの新しい付加価値を創出してビジネスチャンスが広がるメリットもある。たとえばオーブンレンジにIoTを搭載すると、おすすめメニューの提案や自動調理ができるようになる、寝具にIoTを搭載すると、睡眠中のデータを取得、蓄積して健康管理につなげる、といったことも可能だ。IoTによって企業の既存商品やサービスに、新しい付加価値を創出できるチャンスもある。

ヒューマンエラーの防止

IoTによる遠隔操作を導入すれば、事業の自動操業も可能となる。今まで人による作業がテクノロジーを駆使した作業に変わるため、ヒューマンエラーの防止にもつながる。従来ヒューマンエラーは事業の停止や重大事故などの原因にもなっているため、企業にとっての信頼損失などのリスク回避手段にもなるだろう。

ビジネスにおける企業のIoT事例

IoTは商品やサービスとして導入された身近なものだけでなく、ビジネスシーンでも多くの導入事例がある。製造業、医療、物流、建設業、農業、交通の各分野での企業のIoT活用や導入事例を紹介する。

製造業:富士通「工場の生産活動最適化」

製造業の中でも、IoT導入を積極的に進めてきた企業が富士通だ。山梨、会津若松、島根の各工場にIoTを導入し、センサによる位置検知やゲートウェイによる位置情報収集による製造ラインの見える化、さらに生産システムとの連携による生産性の向上を実現している。

自社の事業のためだけでなく、IoTを導入して使用していないソーラールームを活用した社会課題の解決に貢献するための新事業も展開している。さらに自社で蓄積したIoTのノウハウを活かした、IoT化のソリューションパッケージの展開も行っている。

医療:オプティム・織田病院「在宅医療あんしんパック」

IoTプラットフォームサービス開発企業であるオプティムが開発したAIとIoTを活用したスマートホームメディカルサービスが「在宅医療あんしんパック」だ。自宅にAIしか見ることができない「AIカメラ」を設置し、取得した映像を「OPTiM Cloud IoT OS」に搭載されているAIを用いて解析する。

在宅医療あんしんパックは、社会医療法人 祐愛会織田病院で実証実験が行われており、被介護者の転倒動作や長時間不在などの異常を検知するなど、在宅看護や介護を支援するサービスとなっている。

AIカメラはプライバシーに配慮しているため、基本的にはAIカメラの映像は見ることができない。転倒や長時間不在などの異常を検知すると、家族や病院などの登録している人のところへ通知がされ、家族が許可をすることで病院側もはじめてAIカメラの映像を見ることができる。

病院から患者のタブレット端末を遠隔操作して様子をうかがえる機能や、スマートウォッチからのナースコール機能なども搭載。

物流:NEC・ダスキン「EXPLANNER/Lg(エクスプランナー エルジー)」

NECの物流センター向けパッケージソフト「EXPLANNER/Lg(エクスプランナー エルジー)」をダスキンが展開するミスタードーナツの全国12箇所の物流センターに導入した事例がある。

全国12箇所の物流センターから約1,300店舗に供給する主要な原材料の、入庫・出庫を一元管理し、賞味期限など問題のある在庫にはアラームが鳴る。リアルタイムでの効率的な輸送指示や、倉庫から店舗までのリアルタイムのトレーサビリティ(在庫の見える化)を実現した。

建設業:大成建設「LifeCycleOS」

2020年よりAIやIoTを活用した取り組みを開始している大成建設は、統合管理システム「LifeCycleOS」を開発した。パブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上で、今まで蓄積したBIMデータと建物の運用管理情報を組み合わせてカスタマイズした「サービス用BIM」に、竣工後に蓄積していくIoT管理などの各種データを紐づけできる。

顧客の建物情報と各種データを連携できるほか、デジタルツイン化による現実空間と仮想空間でのコミュニケーションも実現できる。

農業:農林水産省発表・クボタ「水田作のクラウド型生産管理システム・KSASの導入」

農林水産省では、新技術を取り入れた農業による事例を公表している。岐阜県大垣市の水田作に、クボタのクラウド型生産管理システム「KSAS」を導入した事例がある。

水田情報や作業履歴などを地図情報と統合したデータベースにアクセスし、作業の確認や作業履歴などのデータの蓄積による、農業の見える化を実現した。資源の購入量管理によるコスト削減のほか、人、モノなど経営資源の状況を見える化することで、生産効率の向上や関係者との情報共有も実現している。

交通:京都市営バス「ポケロケ(ポケット・バスロケ)」

京都市バスは、携帯型バスロケシステム「ポケロケ(ポケット・バスロケ)」を提供している。バス停に設置されている、無線方式バスロケーションシステムをスマートフォンやタブレット、携帯電話、パソコンで利用できる。IoTを活用し、自分のデバイスから市バス全停留所(一部を除く)の市バス接近情報を閲覧できるシステムだ。

IoTは生活や経済をより豊かにするテクノロジー

IoTの概要や実現できること、メリット、さまざまな分野の企業や団体のIoT導入事例を解説した。IoTによってあらゆるモノがインターネットで接続されることで、日常生活のほか産業や事業での効率化、コストダウンなどにもつながる。センシング技術などほかの技術を組み合わせることで、IoTの可能性はより拡大する。

今後も生活や経済をより豊かにするテクノロジーとして、IoTの存在はより身近なものになっていくだろう。

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