オトナリマート伊勢崎下道寺店、ベイシアが小型店新フォーマットを開発、東京都23区を含む首都圏、さらに全国展開を狙う
2026.03.10
ベイシアは小型店の新フォーマットとなる「オトナリマート」を開発、旗艦店となる伊勢崎下道寺店を2月25日にグランドオープンした。出店立地は群馬県伊勢崎市南部の埼玉県との県境近く、埼玉県本庄市からも近い場所で、同敷地には2005年まで同社の本部があった。
ショッピングセンター(SC)として新規に開発された物件で、同じ建物内に100円均一ショップのザ・ダイソー、眼鏡のJINS、別棟でスターバックスが出店している。オトナリマートは核店の位置づけとなる。

今回、ロゴのキーカラーとして「オトナリブルー」を設定。魚などを除いてあまり食品関連では用いられない「優しい色合いの青色」をあえて選んだ。

伊勢崎下道寺店を、首都圏を含む全国展開に向けた旗艦店と位置づけ、今後、同フォーマットとして首都圏の他、地方も含めた300店舗体制を目指すとしている。ベイシアとしては中長期の成長戦略を鑑み、出店加速のためには首都圏(今回の場合は、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県)出店およびそのための店舗の小型化が必要であると考えているという。
同社ではこれまで、小型店フォーマットとして「ベイシアマート」を展開してきた。一時期は医薬品と併せた形でフード&ドラッグを模索したりもしたが、どちらかというと「小型スーパーマーケット(SM)」の性質が強かったベイシアマートに対し、今回のオトナリマートは、一部SMの機能を担う部分はあるものの、マーチャンダイジング(MD)としてはファストフードの大幅強化など非常にめりはりの付いたフォーマットとなった。
そうした違いがあることもあって、現在、オトナリマートは伊勢崎下道寺店の他にベイシアマートの既存店を改装した4店を加えた5店体制となっているが、既存のベイシアマートを全店、転換する予定はなく、あくまで立地に基づいた臨機応変な展開となるという。
むしろ、前述のように首都圏を視野に入れた新規出店に力点を置く。今後の計画としては今期中に首都圏近郊の埼玉県内への1店のみが計画されているが、来期、27年度には東京都23区内に5~10店、翌28年度以降は物流網などを構築し、早期の300店体制に向け、出店を加速していく。
なお、実際には同社ではこのオトナリマートのフォーマットをベイシアマートを改装する形で約2年かけて検証してきた。今回は検証の成果を改めて今回は新店の旗艦店として表現した形になる。
伊勢崎下道寺店の総売場面積は166坪で、既存のベイシアマートと同規模である半面、オトナリマートとしてはかなり大型店と捉えられるという。特に今後の首都圏を視野に入れたフォーマットとしては標準的な売場面積として50~80坪程度を想定する。
「物件を見ていても、100坪オーバーはそれほどない。そのため50~80坪ぐらいを1つの目安にはしている。極論的にいうと30坪なども可能性としては出てくる。物件を見ていると20坪、30坪がざらにある」(橋本泰孝・小型業態営業事業部事業部長)。小型を含むコンビニか、ややそれより大型といえ、その意味ではコンビニ跡地なども含む多様な物件への出店が見込める。
「首都圏を目指すとなると、伊勢崎下道寺店ぐらいの坪数でも厳しい。さらに小さいお店がマストになってくる。われわれにとってベイシアマートだけで戦えるのかというと、なかなか難しい部分があるので、よりコンセプトに寄った独自性の高い小型店が必要ということでオトナリマートが生まれた」(橋本事業部長)
そのオトナリマートのコンセプトは、「ひとりひとりの食事シーンを豊かに」。ターゲットはチェーンストアらしくあらゆる人とし、その「ひとり食」に着目した。つまり、必ずしも単身世帯などの「個食シーン」だけでなく、複数人世帯についても、例えばそれぞれが別の時間帯、あるいは別のメニューで食事をしているといったことも踏まえている。ベイシアとしては「寂しさを伴わない、当たり前の事象としてとらえられつつある、『ひとりの食事シーン』を、楽しく豊かにする店舗」と位置付ける。
そのため、MDの軸となるのはやはり「簡単便利」となっていて、調理を前提とした素材系の商品はかなり絞り込まれる。「基本的には『作る』ものというよりも、『使う』もの中心、材料ではなくて即食、簡便がメインになってくる。その即食、簡便の軸が独自のものでより尖ったものになるという感じ」(橋本事業部長)
伊勢崎下道寺店は売場が広く、さらに比較的広域商圏から集客が見込めるSCの核店でもあることから、既存のベイシアマート寄りの素材を含む通常SMの商品も比較的広範に取り扱われているが、標準的な規模が伊勢崎下道寺店の半分以下となる今後の出店では主にこれらSMの商品が絞り込まれる見込み。ただし、店舗ごとに地域の需要があることから、状況に応じてSMの商品も差し込まれるとする。
伊勢崎下道寺店のアイテム数は4000~4500ほど。これは面積によって変動するものとみられる。また、伊勢崎下道寺店の従業員数は頭数で40人だが、うち正社員は現在は応援などもあって多めに投入されているが、通常の運営では数人レベルが想定される。
基本的な方針は、「ひとりの食事シーン」に対応した商品を手頃なサイズ、価格で提供するというもの。昨今のライフスタイルの変化に合わせ、1人分でも利用しやすく、身体にも気を使ったオリジナル商品などを用意した。
具体的には、「ファストフード&ライフスタイル型ストア」として、ファストフードを強化し、出来たての商品をツーオーダー(バイオーダー)で提供する「ファストフードカウンター」を設けている他、即食の象徴的な商品であるセルフサービスの惣菜でもおにぎりやコッペパンに具を挟んだホットドッグなどを開発している。

カウンターでは、丼ぶりのカツ丼を、ワンハンドで食べられる「かぶりつく!カツ丼」シリーズ、オリジナルのエナジーリキッドで作る「アガるドリンク」シリーズ、野菜の食感と楽しむ「焼きたてサラダピザ」などその場で完成させてカウンターで提供する。

「なぜ、ファストフードか。もともとわれわれは商品の提供価値を高くしたいという思いがあって、例えばオトナリマートではセルフサービスの惣菜でもホットケースで販売することで温度などにも気を使っているが、やはり限界がある。これ以上の提供価値を求めるとなると、やはり手を加えてすぐに出すことだろと。提供価値を高めるために結果、バイオーダーになったということ」(橋本事業部長)
ファストフードカウンターで提供されるメニューは絞り込まれていて、フードでは「かぶりつく!カツ丼」シリーズと「焼きたてサラダピザ」シリーズ、「白と赤の豚汁」の3つに加え、ドリンクでは「アガるドリンク」シリーズの「エナジードリンク系」と「香るお茶系」のみ。これらについてソースやフレーバーの選択肢を増やすことでバラエティを出す形となっている。豚汁はどちらかというとおにぎりとの組み合わせで訴求したかったが、提供方法を考慮し、セルフサービスで提供のおにぎりとは分ける形となった。
そのため、オペレーションもかぶりつく!カツ丼についてはソース付けとトッピング、ピザについても生地のみのリヒートとトッピングといったように、極力シンプルになるような設計となっている。さらに例えばかぶりつく!カツ丼は、形状としては揚げ物単体であり、これについては惣菜のバックヤードで油調したものを持ち込み、保温機で保存する形となっている。
「香り付け、見た目の良さ、食感という部分においても、バイオーダーにすることで提供価値が上がる。これこそ、われわれの提供価値を高めたいということの代名詞。セルフの惣菜だと限界がある。さらに提供価値を上げるためには『バイオーダーでやらないと』ということ」(橋本事業部長)





一方の「ライフスタイル型ストア」を構成する商品群はライフスタイル型コンテンツとして開発。セルフサービスの惣菜売場で販売される店内製造のおにぎりや具を挟んだコッペパン、店内でクリームを入れるシュークリームなどもこれに該当するが、どちらかといえば加工食品のオリジナル商品に代表される商品群だ。
重視したのは規格とスタイル、食べやすい容器形状、簡便でも罪悪感の少ない食事といった要素で、オリジナル商品だけでなく、仕入れの商品においてもこの考え方を軸に開発、品揃えを進めた。
「ライフスタイル型コンテンツは1人1人の生活の中の『マイスタイル』に合わせた商材を取りそろえるもの。もともとオトナリマートのメイン商品で、そのときそのときのシーンに合わせた物販を充実させる。ファストフードは今回新たに差し込んだという位置付け」(橋本事業部長)












加工食品はゴンドラとして限られるが、菓子については大きく展開。ベイシアの既存店でも販売していない商品も差し込まれている。日用品もそれなりの規模で取り扱うので、その分、調理が前提となる調味料などの売場は絞り込まれている。














一方のセルフサービスの惣菜売場ではフォーマットとして独自の取り組みを実施。例えば壁面側のケースでは一部商品に関してホットケースを採用している他、バックヤードと直接つながっていることで、裏からそのまま補充できるようになっている。












オトナリマート伊勢崎下道寺店概要
所在地/群馬県伊勢崎市下道寺町510-5
グランドオープン日/2026年2月25日
営業時間/8時~21時
敷地面積/2317坪
総売場面積/166坪
駐車台数/130台









