山田聡昭

酒文化研究所『酒文化』編集長。1986年武蔵大学卒業後、マーケティング企画会社を経て91年に酒文化研究所の設立に参加。96年から同研究所の機関紙『酒文化』の編集長に就任し、2007年から一般向けフリーマガジン「さけ通信」編集長を兼任。酒類とその文化さらに酒販ビジネス全般に精通し、酒類企業のコンサルティングや酒類コンテスト運営、イベント運営など多方面で活躍中。

  • 2022.03.28

    フーコット昭島店の酒売場考察、ヘビーユーザーを徹底的に深掘りする品揃え

    新宿から電車で最短33分、都心への通勤、通学の便が良い最寄り駅の東中神駅の周辺は、1967年につくられたUR東中神団地を中心に集合住宅が目立つ。この団地は老朽化に伴い、URが近くに新たに造成した土地での建て替えが始まっており、これが終われば、駅に隣接する現在の団地の跡地に新しい住宅をつくるという。 今後も周辺の人口は増加が見込める地域であることは間違いない。フーコット昭島店はこの東中神駅から徒歩10分足らずの開発地域に立地する。周りにはまだ何もないが、そばに広大な国営昭和記念公園があり、豊かな自然と都心への良好なアクセスのある地域として、これから発展が期待される。 店を訪れたのは平日の16時前…

  • 2022.02.28

    糖質ゼロ、ジントニック&ソーダ、初夏らしいワインが狙い目 | リカー編・2022年5月 「これは押さえたい」重点商品と売場展開

    一昨年秋の減税とコロナ禍で進んだ家飲みシフトに伴い、昨年は家庭用でのビールの消費が好調に推移した。大手ビールメーカー4社は今期のビールの販売目標を2桁増と強気に設定。この目標を達成するためにアサヒビールは、主力の「アサヒスーパードライ」を1987年の発売から37年目にして初めてフルリニューアルした。市場に流通する商品は3月末にはおおむね新モデルに切り替わった。これは話題性が十分で、トライアル飲用だけでも数字を押し上げる。 それは5月の大型連休まで続く。この時期には普段あまり酒を飲まない人も飲酒するパームパーティが多く、彼らが新しい「アサヒスーパードライ」を試そうとするからだ。さらに品薄状態が続…

  • 2021.09.02

    フーコット飯能店で圧巻の酒売場分析、ヘビーユーザーに応える大衆酒特化戦略を解説する

    ヤオコーのディスカウントフォーマットとして注目されるフーコット飯能店。決済は現金のみ、冷蔵什器の使用を極力抑えるなどコストを削減して低価格を実現する。 酒売場にもこの方針が貫かれ、酒のヘビーユーザーの支持を集めそうな売場に仕上がった。その特徴をフロアレイアウト、什器、品揃え、価格設定の順に見ていこう。 酒売場は第3主通路突き当たりのベストポジション、売場全体の1割を配分 酒売場の売場位置はワンウエーにコントロールされた第3主通路の突き当たりで、入店したお客は青果、鮮魚、精肉、惣菜、日配と進んで、最後に酒売場と出会う。この位置は一般的なスーパーマーケット(SM)の酒類販売には最適だ。 理由は2つ…

  • 2020.09.09

    2020年10月酒税法改正「新ジャンル増税」の傾向と対策とは?

    10月1日に「酒税法改正」が行われる。注目はビールの税率が引き下げられる一方で新ジャンル(第3のビール)は引き上げられ、価格差が縮まる点だ。また、成長著しいレディトゥドリンク(RTD、缶入り酎ハイなど)の税額は据え置かれるため、新ジャンルとRTDの価格差は広がる。この改正でビール類の消費はどう変わるのか、小売店は変化にどう対応すべきなのかを整理しておこう。 350㎖缶でビールは7円下がり、新ジャンルは10円上がる 最初に今回の酒税法改正の内容を確認しよう。対象となる酒類はビール類と清酒・ワインで、図表に示したように今後6年かけて、これらの酒類の税率格差をなくす改正の第一歩である。 中でも注目さ…