リテール業界はできるか?本部での「脱・紙とハンコ」
2022.04.21
2020.08.07
ドリーム・アーツ 梅原 渉
「VUCA」がより重要に。
新型コロナウイルスは現在(2020年7月)も世界中で猛威を振るい続けている。「VUCA」という言葉は2010年代に入ってからビジネスの世界でも使われるようになってきたが、今以上に(V:変動性)(U:不確実性)(C:複雑性)(A:曖昧性)を感じることがこの先あるのだろうかと感じるほど、実に多くの変化が起きている。
私たちドリーム・アーツも2〜3月に準備していた大型の協賛イベントが全て眼前で中止となり、マーケティングプランの大転換を余儀なくされた。時間をかけて計画していたものを全て壊し、再計画と実行をほぼ同タイミングで進めていった直近3カ月はなかなかに刺激的な経験となった。
この記事の中では 「脱・紙とハンコ」をテーマに実施したアンケートから見えてきた業務デジタル化の重要性と、リテールのお客さまの業務実態について触れていきたい。
企業における「紙とハンコ」業務の実態とは
前述した「脱・紙とハンコ」をテーマに実施したアンケートは、従業員数1000人以上の大企業に務める1000人を対象に実施した。大企業というと最先端のオフィス設備と共にさまざまなシステムが導入され、多様な働き方が実現できていると思われるかもしれない。
実際には「テレワーク」という言葉も働き方も一気に定着したものの、その中でなんとアンケート回答者の90%が「紙とハンコ」が前提の業務で不便を感じていたという結果(図表①)が出たのである。外部からの社内コンテンツへのアクセスや、リモート環境でのコミュニケーションツールなどの環境が全て整っていても、実際の業務は出社が前提というのは何とももったいない話である。しかも、7割近い企業ではすでに業務をデジタル化するワークフローシステムが導入されているというのだから重ねて驚きを感じる。
今回のアンケートはこちらのURLからダウンロード申し込みが可能なので、「紙とハンコ」業務のために出社した経験のある人など、ぜひ多くの人に一読してもらいたい。
https://www.dreamarts.co.jp/form/dair-wp2/
「紙とハンコ」だけじゃない、リテール企業が解決するべき課題とは
リテール業界ではテレワークを100%実施できたという企業はほとんどないのではないだろうか。店舗の営業だけでなく、EC(電子商取引)サイトで購買されたとしても受発注の対応や発送には必ず人手がかかるからだ。
リテール企業ではECまわりの業務はデジタル化できているケースが大半だろう。競争領域ゆえに業務の効率化が求められるからだ。しかし、一歩下がって本部の業務を見わたすと、「紙とハンコ」+エクセルが前提の業務がそこかしこにないだろうか。そして、そのうちの幾つかは店舗につながる業務のはずである。
競争領域ではない業務のデジタル化が後回しになるのはリテール業界に限った話ではない。それは前項のアンケートでも見て取れることだろう。しかしながら、営業時間や接客方法など店舗の在り方や価値が急速に変わる中、店舗までつながる業務をつかさどる本部こそ、業務デジタル化に踏み切らなければならない。効率化で生み出された時間は店舗に向き合う時間、店舗の業務を改善する時間に充てることができるのだ。人手が足りなければITベンダーに頼ってしまえばよい。
一方ですでに本部の業務をデジタル化できていたリテール企業では、今回のような有事でも本来業務に集中できる環境づくりが整っていたということになる。これは実に大きな差といえる。
グローバルで約1400店舗、30ブランドを展開するアダストリアさまでは、「SmartDB」で本社稟議・決裁ワークフローのデジタル化を実現しており、「紙とハンコ」+エクセルに対する課題を事前に解決することができた。こちらもぜひ一読してもらいたい。
2020年を振り返ることを今のうちから考える
2019年11月に発見されたではあるが、2020年を迎えた際にはこのような事態にまでなると想像できていた方は少ないだろう。むしろ、東京オリンピックという商機に向けて、インバウンド需要にどう対応するか、どう呼び込むかなどを考えていた人がほとんどかもしれない。
出口が見えない状況はいまなお続いているが、そこまで遠くない将来にふと2020年を振り返った時、「ちょっと前まで「紙とハンコ」で仕事していたなぁ」と懐かしむか、「結局、あんなに課題視されていたのに何も変わらなかったなぁ」と嘆くかは、天と地ほどの差となって個人の働き方だけでなく、企業の業績に影響を与えるはずだ。今回のこの記事が少しでも皆さんの気づきや注意喚起につながり、2020年を良い形で振り返るきっかけになればと切に願う。
うめはら わたる 過去に流通小売向けサービスの営業リーダーとして、さまざまな業種の多店舗運営企業の課題解決を支援した経験あり。現在はマーケティンググループの中で、さらに幅広い業種・業態のお客さまとのサクセスコンテンツづくりや、大企業のお客さまに向けた業務デジタル化クラウド「SmartDB(スマートデービー)」の認知拡大に日々奔走中。