セブン&アイが首都圏第1号となるネットスーパーの大型センターを新横浜に開設、千葉での食品製造工場建設も発表

2022.04.22

2021.07.02

セブン&アイ・ホールディングスは、7月1日に発表した「中期経営計画」に基づき、グループのラストワンマイル施策の一環として、「イトーヨーカドーネットスーパー新横浜センター(仮)」を神奈川県横浜市に2023年春に開設する。

イトーヨーカ堂が運営する「イトーヨーカドーネットスーパー」の新たな拠点として、近隣のイトーヨーカドー約30店舗の配送エリアと、同センターから 約30㎞圏内を配送エリアとする首都圏での大型センター第1号となる。

イトーヨーカドーネットスーパーは01年からサービスを開始し、社会環境の変化に合わせて年々ニーズが高まっている。センターを整備することで拡大するニーズに対応する。

イトーヨーカ堂のネットスーパーは基本的に店舗型で、15年にはネットスーパー専用店舗としてセンターに近い形のセブン&アイネットスーパー西日暮里店(東京・荒川)をオープンしているが、今回、さらなる大型センター化に踏み込む。

今後、ネットスーパー西日暮里での検証や配送差配最適化、受け取りロッカーなどの実証実験を進め、23年度の新センター稼働に臨む。

セブン&アイとしてはグループ全体として、ラストワンマイル施策を「オンデマンド購入」「計画購入」「対面購入」の3つに整理・分類。

「オンデマンド購入」は注文後、短時間で配送するものだが、これらはネットコンビニやe.デパチカ、デニーズの宅配などが位置付けられ、イトーヨーカ堂などのネットスーパーは「計画購入」に位置づけられている。

「いまはお客さまのご自宅にお届けすることがメインになっているが、ネットスーパーのセンター化を進めることで、今後はセブン-イレブンでの留め置きや受け取り拠点の多様化を順次進めていく。例えばマンション等への受け取りロッカーの設置や置き配ボックス等の設置で多様化を進めていきたい」(井阪隆一・セブン&アイ・ホールディングス社長)

3つ目の「対面購入」はとくし丸、セブンあんしんお届け便などが位置付けられる。これら取り組みによって、グループ全体のラストワンマイルにかかわる売上規模を25年度には約6000億円にまで高めたい意向だ。

イトーヨーカドーネットスーパー新横浜センター(仮)概要

所在地/神奈川県横浜市都筑区南耕作地(建物の1階から3階を賃貸契約)

運営会社/イトーヨーカ堂

賃貸人/大和ハウス港北特定目的会社(大和ハウス工業株式会社出資)

賃貸面積計/約3万6456㎡(約1万1028坪)

稼働開始/2023年春(予定)

センターイメージ

首都圏食品供給拠点の整備にも取り掛かる

また、こちらも「中期経営計画」に基づく食の共通インフラ構築によるグループ食品戦略の推進を目指し、セブン&アイ・ホールディングス子会社であるPeace Deli(ピースデリ)がネクストコア千葉誉田(エム・ケーが千葉市から産業用地整備支援事業の認定を受け、整備を実施した産業用地)に食品製造工場を建設することも発表。5月19日には、建設に向けて土地売買予約契約を締結している。

グループの総合スーパー(GMS)、スーパーマーケットであるイトーヨーカ堂、ヨーク、シェルガーデンの首都圏店舗を中心に食品の商品供給を行う製造工場となる。

製造工場には惣菜などを製造するセントラルキッチンと生鮮品を加工するプロセスセンターを併設、グループ共通のインフラ構築によって高品質かつ効率の良い商品供給体制の実現を図ると共に、お客の利便性の向上や食における新たなニーズに応えていく。

ピースデリは、現在はセブン&アイの100%子会社だが、今後、グループ食品戦略における共通インフラを管理・運営する機能会社としてセブン&アイ、イトーヨーカ堂、ヨークの3社が共同出資する形とし、さらなるシナジー創出を追求する。

同じくグループ企業であるヨークベニマルのノウハウも共有しながら、25年までにセントラルキッチンを2カ所、プロセスセンターを2カ所稼働し、首都圏各店への商品供給を順次開始していく。

将来的には直輸入などの共同調達機能の拡大、あるいはコンビニへの生鮮食品やミールキットなどの供給など他の事業会社、事業提携企業への商品供給なども視野に食の共通インフラ構築を推進していく。直輸入については21年度にテストを開始し、22年度から本格稼働を目指すとしている。

Peace Deli(ピースデリ)概要

所在地/東京都千代田区二番町8-8

代表者/石橋誠一郎(セブン&アイ常務執行役員兼務)

株主構成/セブン&アイ100%(7月2日時点、2021年9月にセブン&アイ40%、イトーヨーカ堂30%、ヨーク30%の株式保有割合となる予定)

事業内容/食品製造・加工にかかわる共通インフラの構築・運営、商品の共同調達

新工場概要

所在地/千葉県千葉市緑区誉田町2丁目(ネクストコア千葉誉田)

面積/土地…約 3万2988 ㎡(約9979坪)、建物…未定

稼働開始/2023年度中(予定)

製造品目/惣菜、サラダ、たれ、生鮮品の加工など

お役立ち資料データ

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…

  • 2023年 上半期 注目店スタディ

    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …

  • 有力チェーントップ10人が語る「ニューノーマル時代のスーパーマーケット経営論」

    有力スーパーマーケットチェーンの経営者10人にリテール総合研究所所長の竹下がインタビューを実施し、そのエッセンスをまとめています。 インタビューを通じ、日本を代表する有力トップマネジメントのリアルな考えを知ることができ、現在の経営課題の主要テーマを網羅する内容となっています。 変化する経営環境において、各トップマネジメントによる現状整理と方向性を改めて振り返ることは、これからの新しいスーパーマーケットの在り方形を模索する上でも業界にとって大変有用と考えます。 ぜひ、今後のスーパーマーケット業界を考える材料としてご活用ください。 ■掲載インタビュー一覧 ライフコーポレーション 岩崎高治社長 ヨー…