セブン&アイ首都圏食品戦略を担うSM最新店、ヨークフーズ八柱さくら通り店がオープン
2022.04.22
2021.11.02
セブン&アイ・ホールディングスが、グループの成長戦略の要と位置付ける「首都圏食品戦略」。
昨年6月、ヨークマートをヨークに社名変更し、イトーヨーカ堂の「食品館」と「ザ・プライス」、フォーキャストの「コンフォートマーケット」などを統合する組織再編を行った。
新体制の発足に伴い、プロセスセンターやセントラルキッチンの導入を図り、製造、配送、販売が一体化したマーチャンダイジング(MD)を強化、これまで各社が構築してきたMDを統合しさらなるシナジーを目指していこうとしている。
また、質の高い新規の出店や既存店の店舗改装を進め、店舗の省人化と豊富な品揃えを両立し、地域の顧客ニーズへの対応を図っている。
昨年6月17日には、運営の仕組みや商品、売場レイアウトも同時に刷新したヨークフーズ新宿富久店(東京・新宿)を改装の形でオープンした。
オフィスと住宅街が隣接する地域で、日中はランチ需要を取り込むため、弁当や惣菜などの中食ニーズに対応するための品揃えを強化した他、惣菜売場スペースを改装前の1.2倍に拡大。自営ベーカリー「Bonheur(ボヌール)」を新たに設けながら一日の中でも移り変わる食のニーズに、きめ細かく対応できる店づくりを目指した。
一方、内食ニーズへの対応としては、基本となる生鮮食品の鮮度や量目の幅にこだわり、日々品揃えを強化、都心部ならではの品揃えとして、アジア系を中心とした諸外国で親しまれる簡便調味料や上質商品の拡充を図った。
今年2月にはもともとイトーヨーカ堂の低価格フォーマットである「ザ・プライス」から転換されたヨークプライスせんげん台店(埼玉県越谷市)を、ヨークとして初めて屋号を「ヨークプライス」から「ヨークフーズ」へ変更してオープンした。
従来から支持を得ている低価格なプライスラインは踏襲しつつも、商品の「質」や「品揃え」といった軸を取り入れた新しい商品政策・売場づくりに取り組んだ。
コロナ下を経て需要高まる「料理のレパートリー」と「健康」ニーズに対応
そして、こうした店舗の成果を反映させ進化したヨークフーズ八柱さくら通り店を10月23日、千葉県松戸市に出店した。
ヨークはコロナ下で、家庭で過ごし料理をする機会が増え、「手間を省きたい」一方、「飽きがこないよう、料理のレパートリーを増やしたい」「健康にも気をつけたい」などの両軸のニーズが増えていると捉えている。
そこで、こうしたニーズに応える店舗として、生鮮部門では料理のメインとなる産地にこだわった生鮮素材を、必要な量目にした商品をそろえ、買い溜めに便利な冷凍品の品揃えも多くした。
デジタルサイネージを活用したレシピ提案に加え、新商品や従業員が薦める商品などを中心に関連陳列し、お客が来店のたびに新しい発見や、話題の商品を手に取ってもらえる買物が楽しくなる売場づくりを進めていく。
店舗周辺は、40代の共働きや子育て世代が多く、シニアの1、2人世帯も一定数存在する。こうした地域性に合わせ、「時短」をキーワードとしたレンジアップ商品や、調理が簡単で食材の無駄がなく保存も利く、オリジナル冷凍ミールキット「グッド・クック」を用意した。
グッド・クックの包装はノントレーにし、環境に優しく、買物帰りの持ち運びや冷凍庫内でも省スペースでストックすることができる。
なお、鮮魚売場でも、作業所に専用包装機器を導入、冷凍の商品をノントレー形状で提供している。
また、店頭で販売されている鮮度、素材にこだわった旬の果物、野菜、魚を、当日店内で最適調理した「手作りサラダ」「手作りデザート」「お魚屋さんのお惣菜」も充実させた。
JR武蔵野線新柱駅と新京成線八柱駅から徒歩2、3分の駅近であることから、惣菜やベーカリーへの需要に期待、16時以降の売上高構成比が通常の店舗より5~10ポイント高い55~60%になると想定、この時間帯の売場対応を強化する。
大豆ミートは調理済みの他、トレー販売も展開
こうして時短、簡便調理の需要を取り込む一方で、内食対応として生鮮アイテムも強化している。
青果では、地元、松戸市の松戸市無農薬研究会をはじめ複数の取引先から20アイテムを仕入れ、採れたてで鮮度の良い地場野菜を販売、松戸市矢切地区で古くから親しまれている極太で甘みが強く、芳醇な風味が特徴な「矢切ねぎ」といった特産品も取り扱う。
精肉でもヨーク生産者指定のブランド和牛「北の恵み和牛」に加え、宮城県の銘柄牛のトップブランド「仙台牛」を取り扱う。
仙台牛は宮城県内で育った食肉牛の中でもわずか3割しか名乗ることを許されない、厳しい基準を満たしたA5ランクの牛肉だけが得られる称号となる。
年々高まる健康志向への対応も、糖質オフ、カロリーオフ、減塩、高タンパクなどの商品を各カテゴリーに差し込み、売場のエンド展開も実施している。
最近話題となっている大豆ミートは、精肉売場でコーナー化し、数多くそろえ、すでに調理済みの簡便商品だけではなく、大豆ミートのトレー販売も展開。ひき肉商品と併用することでカロリーを抑えつつ、大豆ミートを少量から試してみたいといったニーズに応える。売場で並売し利便性を高めている。
こだわりだけではなく、根強い価格志向も意識し、価格強化も行っている。「毎日プライス!」のPOPで訴求力を高めた低価格アイテムを投入、「理由あり!スーパーロープライス」のコーナーも設けて安さを訴求する。
総取扱アイテムは9045、内訳は青果300、鮮魚360、精肉400、惣菜210、ベーカリー60、デイリー1950、加工食品・雑貨5765。
同規模の店舗より10~20%多いため、青果の3段平台、冷惣菜の3段什器、日配では初めて7段什器を導入した。
陳列作業の効率を高める省力什器も多数導入し、省力化を進め、従業員の働きやすい環境づくりも進めている。
納品トートのまま陳列が可能な「ミルクトート陳列ケース」、棚を手前に引き戻すと自動で商品が前進完了する「前進スライド棚」、冷ケース上段には陳列しきれない在庫をスックするスペースを確保し、品出し作業を効率化する「冷え冷え扉付き冷ケース」を導入している。
ヨークは、「標準店」「小型店」、標準店舗にディスカウントストア(DS)の要素を付加した「DS対抗型」、ディスカウントストア「プライス」の4つのタイプを展開していくが、八柱桜通り店は標準店の最新店舗の位置づけとなる。
いままでの新たな取り組みを手直しして展開し、地域特性にも配慮しMDを構築した。オープン後も地域の顧客の要望やニーズに対応し修正を図っていく。(取材・文/西川立一)
ヨークプライスせんげん台店概要
所在地/千葉県松戸市常磐平陣屋前1-1
オープン日/2021年10月23日
営業時間/9時~21時45分(都合により変更となる場合がある)
駐車場/70台
駐輪場/85台
売場面積/1650㎡
店長/永瀬敦史
従業員数/90人(社員22人、パートタイマー68人、8時間換算)
商圏/半径1.5㎞圏約2万9325世帯、約6万3450人