買物メモはスマホで。女性の若年vs高齢層の買物スタイルの違い

2020.08.07

メインのお客が高齢者になっている小売業は少なくない。特にスーパーマーケット(SM)などは、「食」という必需品を扱う業態にとっては、本来は全ての世代が対象であり、実際に来店もしてもらいたいところだが、実際には若年層の集客に課題をかかえている企業が多いのが現実だ。

なぜ、そうなってしまっているのか。それを探るために、若年層と高齢層の買物情報に対する意識に着目。今回、株式会社ロコガイドが実施した調査のデータからは、チラシの位置づけなど、2つの世代の買物情報に対する価値観の違いが浮かび上がってきた。日々、感じている人も多いと思われるが、やはりチラシのみに頼った集客施策ではなかなか若年層には響かなくなっていることがデータとしても現れている。

データをまとめた図表に沿って説明していこう。まず、図表①の「お気に入り店舗の特徴」から分かることは(主にSMのような食品の買物については)、やはり若年層、高齢層問わず「近さ」が大きな要素となっていることだ。また、これも世代を問わない傾向として、「ポイント」の位置づけもかなり大きいことが分かる。

「価格の手ごろさ」がそれに続くが、おもしろいのは「価格そのもの」よりも、間接的に価格を安くする要素である「ポイント」の方が数値が大きいことだ。これは世代による違いではないが、直接的な分かりやすさももちろん重要ではあるものの、少し変化を付けたポイントに支持が集まるという辺りに、販促策を通じた「買物の楽しさ」を考えるヒントがありそうだ。

デジタルツールの使用状況が差につながっている?

次に図表②の「望ましい買物情報」を見てみよう。こちらでも「ポイント」「節約」「お得」といった価格に関するキーワードの数値が高くなっていることが見て取れるが、一方で、情報に対する考え方には世代による違いが比較的よく出ていることが分かる。最も差が出たのが「更新の早さ」。若い世代ほど情報が早く更新されることを望んでいる。また、「店の種類の多さ」「店同士の比較のしやすさ」も若年層と高齢層で差が開いた。

「商品同士の比較のしやすさ」についても、若年層により望む声が多いが、それ以上に「店同士の比較」で年齢層による差が開いていることは、複数の店を買い回りしてでもより安い商品を求める姿勢とは異なる、「ワンストップでお得な買物をしたい」というニーズが見えてくる。別の表現の仕方をすれば、「単品の安さ」というよりは、「かごいっぱいの安さ(バスケットプライス)」ということになる。

もう1つ、年齢層で大きく差が開いた項目に、情報を「外で見られる」「保管しやすい」というものがある。若年層は圧倒的に情報を外で見られることを重視し、さらに保管のしやすさを望んでいる。

こうした点には物理的な「チラシ」の限界が表れていると言えそうだ。第1に、チラシは1つの店の情報を一覧するためには非常に便利なツールであるが、一方で、複数の店の情報を「店同士」で比較することには不向きである。また、「保管のしやすさ」はともかく、「外で見る」という点でも、紙のチラシはあまり好ましいツールとは言えないだろう。

一方で、それらの要素は、スマホなどを活用したデジタルのツールに置き換えればほとんど解決することが分かる。「外で見る」という点で考えれば、パソコンではなく、スマホであるという点も重要になってくる。「保管のしやすさ」についても、紙のチラシよりデジタルの方が圧倒的に便利である。言うまでもなく若年層は、スマホをはじめとしたデジタルツールを日常的に使いこなしている。

そうした生活におけるデジタルツールの位置づけの実態を考えれば、それぞれの世代が重視する項目にこのような違いが出るのは当然のことであると言えるかもしれない。もちろん、「現役世代で時間がない若年層がデジタルを活用したスピーディな情報収集を重視する」一方で、「比較的時間に余裕がある高齢層はゆっくり比較しながらよりお得に買物をしたいと思っている」といった構図も考えられるだろう。

若年層は、「商品軸」よりも「店軸」で店舗を選ぶ?

「商品よりも店で選ぶ」傾向は、他の調査でも出ている。図表③の「普段行くお店の数」を見ると、年齢層が若いほど、利用する店舗が少なくなる傾向がはっきりと表れている。体力面で考えれば、若年層の方が機動力があり、多くの店に訪れそうな気もするが、実態は逆のようである。

これには多分に若年層の時間のなさも影響していると思われるが、やはり、こと若年層に対しては、その「店」で買物すること自体がいかにお得であるかを訴求することが有効な策となり得る可能性が高い。

「店(ストア)」は小売業にとっては、製造業の「商品」にたとえられる重要な概念である。これらのデータからは、改めて「ストアロイヤルティ」を高めることの重要性が分かる。そして、若年層ほど、それを重視する傾向が高いという数値が出ていることは今後、若年層の集客を高める上で何をすればよいのかということに対する大きな示唆を含んでいる。

新型コロナの影響で、現在、SMはむしろ来店する多くのお客に対して、いかにトラブルなく、スムーズに買物をしてもらうかという問題に取り組んでいるが、今後、日常を取り戻す中で競争状態が少しずつ激化することが予想される。やや大げさに言えば、「若年層から支持を得たければ、店のブランドを磨け!」ということは、今後の店舗運営にとって大きなテーマであることを認識したい。

また、デジタルツールとの関連でいえば、図表④の「買物メモ」からは、若年層がスマホを活用している傾向が圧倒的に高いことが分かる。若年層を意識した販促策を考える上で、やはりスマホを前提とすることは必須である。それは図表⑤の「チラシの閲覧習慣」を見ても明確で、年代が下がるにつれて大きく下がる傾向がはっきりと表れている。この極端な減り方を鑑みれば、従前と変わらないチラシ前提の販促では、今後大きく集客を減らす可能性が高いと言わざるを得ない。

最後に、ロコガイドが2019年7月に実施した「若年層女性グループインタビュー」からの発言の抜粋を挙げる。「そもそも折込チラシに興味がないし、読み解けない」という刺激的なものがあった他、「価格をすべて覚えているわけではないので、おトクかどうかの判断もできない」「どこも同じような商品ばかりで差がわからない こだわりの違いを教えてほしい」という声からは、せっかくコストをかけ、表現にもこだわって作ったチラシのメッセージが、特に若年層には届いていないということが伝わってくる。

また、「特売日には、お店にいけない。お店は専業主婦の味方なのか」といった声は、前述の普段行く店の少なさにも関連するが、やはり働く女性が増えた昨今、販促を考える上でも「時間」の重要性は極めて高いということを肝に銘じなければならないといえるだろう。

販促のデジタルシフトは当然のこととして、販促においては、多くの情報の中から自分にとって何がお得かが分かる「分かりやすさ」、そしてそれをすぐに実現する「早さ」、究極的にはリアルタイムでの情報発信が求められている。情報の網羅性や個別の最適化といった要素は、まさにデジタルの得意とするところである。もう悠長に構えていられる時間はない。

さらに、前述のとおり、店側にとっては、「店全体」での競争力をいかに高めるかが競争優位のポイントになることも、ぜひ意識しておきたいところだ。以上のように数々のデータを読み込むことで、若年層を取り込むためにすべきことが次第に明確になってくる。

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