節約が進む?新型コロナウイルスの影響で、買物行動に変化あり

2022.04.12

2020.08.07

日本のみならず、世界中の生活をそれまでとは一変させてしまった感のある新型コロナウイルスの猛威。日本では外出禁止などの策は採られなかったが、外出自粛が強く求められ、実際、日本中の街から人の姿が消え、経済活動も大きく制限されることとなった。経済活動面で、唯一の例外は、スーパーマーケット(SM)やドラッグストアなどの必需品を主に扱う小売業態だった。

実際、統計データでは4月のスーパーマーケットなど食品小売業の売上げは惣菜を除いて軒並み大幅増になった。長年低迷を続けてきた鮮魚でさえ既存店売上高前年比は100%を大きく超え、惣菜を除く他の部門は既存店売上高が2桁の伸長を見せた。昨年10月の消費増税を経て、100%前後で一進一退を繰り返してきた状況から全く様相が変わってしまった。他方、衣料品や住居用品は休業の影響もあって歴史的な低迷に見舞われた。

今回の新型コロナウイルスを受け、お客の買物に対する意識、また買物行動はどのように変化したのか。ロコガイドが自社サービスのトクバイアプリのユーザー1218人に対して2020年4月に実施した生活者調査、同じくトクバイを利用している小売企業の担当者108に対して同月に実施した小売企業調査の結果を通じて浮かび上がらせたい。

一番欲しい情報は「営業時間変更の情報」だが…

まず、生活者調査から。図表①は、新型コロナの影響で消費に対する「節約意識」がどう変わったかを聞いたもの。「通信費」について節約意識が高まったという意見が他の項目と比べ極端に低いのは、スマホをはじめとした通信が生活インフラとして優先度の高いものになっていることを表している。

他の項目は概ね40~50%の人が、節約意識が高まったとしている。「衣料・ファッション」「趣味・レジャー」「交際費」が高い数値であるのは、不要不急の消費を抑えるという意識の表れといえるが、一方で軒並み売上げが高まった「食品」や「生活日用品」の数値も40%以上とそれほど変わらないのは、決して不要不急の消費だけでなく、必需品に関しても節約の意識が高まっていることを示している。

節約意識が高まった理由について聞いた結果が図表②である。「先行きが不安だから」「収入が減るため」というのは、まさに経済活動が大きく制限されたことによる意識の変化の結果だろう。ここまで経済活動が止まったのは、おそらく戦後初めてのことである。しかも、緊急事態宣言が明けても新型コロナはなくなるわけではない。まさに経済も生活も手探り状態の中、先行きが不安になるのは当然のことといえる。

そうした中、生活者が欲する店からの情報はどのようなものかを聞いたのが図表③だ。最も多かったのは、予想どおり「営業時間変更の情報」となった。経済活動が制限される中、多くの店で営業時間の短縮が実施された。非常時のような状況だからこそ、リアルタイムの情報発信の重要性が改めて実感できる。

一方で、やや意外だったのが、「その日のお買い得情報」が営業時間の変更と同程度の数値になっている点だ。今回、一部商品で買い占めのような状態が発生したが、「商品の入荷予定情報」や「商品の在庫情報」、さらには「お店の混雑状況」といった一見関心の高そうな項目よりも、お買い得情報の方が、数値が高かった。厳しい環境下にあって、少しでもお買い得の商品を買いたいということか。新型コロナが猛威を振るう非常時にあっても、お買い得情報に対するニーズは依然として高いことが分かった。

同様のことは、図表④を見ても分かる。買物で困っていることを聞いたものだが、トップが「欲しい商品が欠品している」というのはさもありなんという感じだが、「チラシの休止が増えて特売情報がわからない」が2位につけていることからも、お客がお買い得情報を重視していることがうかがえる。

実際に寄せられる生活者の声の中には、「チラシは買い物時に時間短縮、効率よく買い物するため必要です」「お買い得情報を把握してパッと買い物すませたい」といったものがあった。これらからは、非常時におけるお買い得情報の位置づけやその情報提供の在り方について、多くの示唆を得ることができる。

小売企業の最大の関心事は従業員のケア

次に小売企業調査の結果を見ていこう。図表⑤は店舗運営における課題を聞いたもの。社会的に大きな関心を呼んだ「商品の品切れ」や「特定時間の混雑対応」を大幅に上回って、最大の課題とされたのは「店舗従業員へのケア」だ。外出自粛を要請される中にあって、今回、SMなど小売業の従業員や医療従事者など「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる人たちへの関心が高まった。

感染のリスクに晒されながらも、人々の暮らしを守るために働く人々である。品切れや混雑の対策も重要だが、それ以上に従業員を守ることが大事であるというのは企業としては当然の判断であろう。実際、図表⑥にあるように、企業側はさまざまな対策を講じた。特にこの数カ月の間に大きく変わったのはレジ回りだ。多くの店舗で間仕切りが設置されるようになった。そして、それはそのまま図表⑦のように従業員に対するインセンティブにもつながっているようだ。

一方で、日常と異なる状態が長引くことでお客にも不満がたまっているのか、クレームやお客同士のトラブルが発生し、それに苦慮している企業も多くなっている。売上げが増える中にあっても、自身の感染を防ぐために配慮しなければならないなど、ただでさえ、通常より負荷がかかるところに、クレームやトラブルである。これらに対じしている従業員をしっかりとケアすることは、離職を防ぐという意味でも極めて重要になっている。

販促については、図表⑧のように多くの企業がチラシを自粛した。一方で、図表⑨のように特売価格は継続している。この辺り、先に挙げた生活者調査がお買い得情報を求めていることを考えれば、適切な情報提供によってお客の満足度を高められるチャンスと捉えられなくもない。

図表⑩⑪は、今回の新型コロナに対する企業としての懸念と対策を聞いたものだが、その多くが従業員に関するものだった。その意味では、キャッシュレス決済なども従業員の働きやすさ向上に寄与するものと考えることができる。

生活者、小売企業双方の調査を見ると、共通のキーワードとして「デジタル化」が浮かび上がってくる。お買い得情報の発信、あるいは社内コミュニケーションに関しても、デジタル化を進めることは、有効な策となり得るといえる。デジタル化によってリアルタイムのコミュニケーションを実現することは、お客の満足度向上につながり、また、従業員にとっても生産性を高め、働きやすさを向上させることにつながる取り組みといえそうだ。

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