大手コンビニ共同配送の実証実験の結果、配送距離の短縮化、CO2の削減効果など確認

2022.10.17

内閣府戦略的イノベーション創造プログラム「スマート物流サービス」において、2022年2月に実施した、大手コンビニ3社(セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソン)によるチェーン横断的な共同物流の実証実験に関する詳細な実証結果が発表された。

実証の背景と目的

コンビニエンスストアは全国で約58,000店舗あり、駅前の商業施設や大学、病院など様々な施設に展開するほか、セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンは災害対策基本法に基づく指定公共機関にも指定され災害時においても重要な役割を果たすなど、社会インフラになっている。

そのため、安定的に商品を供給するための物流網の維持・構築は非常に重要となる。今回、店舗密度が都市部よりも低い地方部(北海道)において、「(1)コンビニの配送センター間の物流の共同化」と「(2)遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化」の実証実験を行なった。

コンビニ共同店舗配送の実証結果について

今回は、北海道の函館エリアにて、2022年2月21日~1週間の間で、(1)コンビニの配送センター間の物流の効率化と(2)遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化の2つの実証を実施。

(1) 配送センター間の物流の共同化

コンビニエンスストアの物流では、多くの在庫を持つ基幹センターと遠隔地にあるサテライトセンター間で商品の横持ち配送が行われている。

今回は、自社のセンター間でしか実施されてこなかったこのセンター間の横持配送をチェーン横断的に実施。

今回の実証では、セブン‐イレブンとファミリーマート、セブン‐イレブンとローソンの2つの組み合わせで、札幌近郊の基幹センターから、函館のサテライトセンターまでの横持ち配送の共同化の実証を実施。

今回の実証実験の結果、幹線でのセンター間の横持ちを共同化することにより、1便あたり以下の効果があることが分かったという。

新商品の発売タイミングなどでは、物量の増加によって、既存のトラックでは運送力が不足し、チェーンごとにトラックを追加手配していることがあり、その場合など、今回実施した実証実験のようにセンター間の横持ち物流の共同化を行うことで、上記のような削減効果が期待できるという。

(2) 遠隔地(買い物困難地域)における店舗への商品配送の共同化

物流効率があまり良くない遠隔地(買い物困難地域)における店舗への商品配送の共同化の効果測定(2020年度は都市沿岸部であったため)を実施。

上記のとおり、函館南西エリアにおいて、コンビニ店舗配送の共同配送化を行うことにより、チェーン毎に別々に配送する場合と比べて、“配送距離の短縮化”をはじめ、“CO2排出量の削減”、“配送時間の短縮”などの改善効果を確認できたという。

今回の実証実験の結果も踏まえ、SDGsの視点も持ってコンビニ業界における新しい物流の形を、コンビニエンスストア各社と、サプライチェーンを構成するステークホルダー全体で検討していくとしている。

※内閣府戦略的イノベーションプログラムとは、総合科学技術・イノベーション会議が自らの司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて、科学技術イノベーションを実現するために新たに創設するプログラム。

このプログラムは13のテーマで実施されており、本実証実験はそのうちの「スマート物流サービス」の研究開発の一環として実施されるものとなる。スマート物流サービスは、サプライチェーン全体の生産性を飛躍的に向上させ、世界に伍していくため、生産、流通、販売、消費までに取り扱われるデータを一気通貫で利活用し、最適化された生産・物流システムを構築するとともに、その社会実装を目指すもの。

お役立ち資料データ

  • 2023年 下半期 注目店スタディ

    2023年下半期注目のスーパーマーケット7店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・オーケー/銀座店 ・ヨークベニマル/仙台上杉店 ・ベイシア/Foods Park 津田沼ビート店 ・ヤオコー/松戸上本郷店 ・カスミ/…

  • 2023年 上半期 注目店スタディ

    2023年上半期注目のスーパーマーケット5店舗を独自の視点でピックアップし、企業戦略を踏まえた上で、出店の狙い、経緯、個別の商品政策(マーチャンダイジング)まで注目点を網羅。豊富な写真と共に詳しく解説しています。 注目企業における最新のマーチャンダイジングの取り組みや、厳しい経営環境と向き合うスーパーマーケットのトレンドを知ることができ、企業研究、店舗研究、商品研究などにご活用いただけるほか、店舗を訪問するときの参考資料としてもお勧めです。 <掲載店舗一覧> ・ ヤオコー/トナリエ宇都宮店 ・ サミットストア/川口青木店 ・ 原信/紫竹山店 ・ ライフセントラルスクエア/ららぽーと門真店 ・ …

  • 有力チェーントップ10人が語る「ニューノーマル時代のスーパーマーケット経営論」

    有力スーパーマーケットチェーンの経営者10人にリテール総合研究所所長の竹下がインタビューを実施し、そのエッセンスをまとめています。 インタビューを通じ、日本を代表する有力トップマネジメントのリアルな考えを知ることができ、現在の経営課題の主要テーマを網羅する内容となっています。 変化する経営環境において、各トップマネジメントによる現状整理と方向性を改めて振り返ることは、これからの新しいスーパーマーケットの在り方形を模索する上でも業界にとって大変有用と考えます。 ぜひ、今後のスーパーマーケット業界を考える材料としてご活用ください。 ■掲載インタビュー一覧 ライフコーポレーション 岩崎高治社長 ヨー…