コロナ禍で需要増す「ネットスーパー」の動向やイオン・西友・ライフなど各社取り組み事例を紹介

2021.02.24

更新:2021.03.30

自宅まで生鮮食品や日用品などを配達してもらえ、隙間時間に買物を済ませることができる「ネットスーパー」。新型コロナウイルスの拡大で消費者行動が変わる中で、その需要が拡大している。本記事では、代表的な小売企業の事例を取り上げつつ、ネットスーパーの現状やその特徴を紹介していく。

改めて、ネットスーパーの特徴やメリットとは?

ネットスーパーとは、各スーパーマーケット(SM)の公式サイトや専用アプリから必要な商品を購入できるサービス。自宅への直接配送以外にも、店舗受け取りができるサービスもあり、自身の都合に合わせて柔軟に買物ができる。

ネットスーパーを利用すれば、買物時間が短縮できたり、重い荷物を持つ手間が省けたり、人との接触機会も減らすことができる。特に、店舗から自宅までの距離が遠かったり、病気やけがなどで体が不自由な消費者にとってはメリットが大きい。

新型コロナウイルスの流行で、「三密」回避が求められる昨今においては、外出を控えられる点は大きなメリットになり得る。実際に新型コロナウイルスが流行した2020年以降、各社のネットスーパー事業の売上げは増加傾向にある。

配送時間に関しては、ある程度自由に時間設定できるところや枠が決まっており(午前中、午後、夜間など)、どの枠かを選んだりする。支払方法はクレジットカード決済やポイント払い、代金引換などから選べるのが一般的だ。

ネットスーパーの利用でお得になるキャンペーンも開催されており、各社ネットスーパーの利用促進に力を入れている。例えば、楽天西友ネットスーパーでは、初めて買物する人限定で「500円クーポン」をプレゼントしている。イオンではネットスーパーで購入した商品の「店舗受け取りサービス」を利用することで「WAON POINTが10倍」になるキャンペーンを開催している。

コロナ禍で伸びる「ネットスーパー」の需要

新型コロナウイルスの流行によって外出を自粛し、自宅で調理し、食事を済ませる消費者が増加したとみられる。緊急事態宣言によって飲食店などの営業時間が短縮されているのも消費者の行動に影響を与えている。そんな外的環境の変化で、小売各社のネットスーパーの需要が大きく伸びている。

楽天西友ネットスーパーでは、昨年10~12月の売上げが前年同期比39.9%増へと大幅に増加。関西地域の出荷能力を拡充するため、21年内に大阪府茨木市に物流センターを新設が予定されている。

日本におけるネットスーパーのパイオニアともいえる、スーパーサンシでは1店で10億円レベルの年商をネットスーパーで稼ぐ店も登場。新型コロナウイルスの影響もあって、平均して店の売上げの23~25%ほどを占めるまでになっているという。

イオン リテールは、ネットスーパー事業の20年3〜8月期における売上高が前年同期比20%増加。ネットスーパーの会員数は、会員数は、2020年3〜5月期が前年同期比で4倍、20年3〜8月期では同3倍にまで増加している。

ネットスーパーの利用者が増加する中で、イオンリテールは「店舗受け取り」を強化。20年9月、イオン東久留米店(東京都東久留米市)に専用レーンやインターホンなどを備えたドライブスルー方式による注文商品の受け取りサービス「ドライブピックアップ!」を設置、その後、対応店舗数を拡大している。

消費者のネットスーパー利用傾向とは?

伊藤忠グループのリサーチ会社であるマイボイスコムの20年10月の調査によると、ネットスーパーの利用理由としては、「重いもの・かさばるものを届けてくれるため」が50.2%と最も多くなっている。次いで「買物時間を節約できるため」「外出したくないときに便利なため」「深夜・早朝など時間をきにせず注文できるため」などの理由も20〜30%を占めている。

買物における身体的・時間的コストをネットスーパーの利用によって軽減しようとしている心理がうかがえる。

また、ネットスーパーのウェブサイトを閲覧する時間で最も多い場所と時間帯は、「自宅で:夜(19~22時台)」が40.1%と過半数に近く、次点では、「自宅で深夜(23~6時台)」が16.1%になっている。就業後などの空き時間を利用して買物を済ませようとする消費者心理がうかがえる。

参考:https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=26708

小売企業各社のネットスーパーの事例

●ライフコーポレーション

ライフのネットスーパーは、リアル店舗から直接配達するシステム。現在、関東圏の東京や神奈川、埼玉と関西圏の大阪や兵庫、京都などの一部エリアでのみ利用可能。地元密着型で生鮮食品が充実していることが特徴だ。

配送料は都度払いと期間中何度使っても一定料金の2種類。支払い方法はクレジットカード、代金引換が利用でき、手数料はかからない。

また、ライフコーポレーションは19年9月12日からAmazon(アマゾン)ともネット販売の取り組みを開始。ライフコーポレーションが店で取り扱っている生鮮食品や惣菜、プライベートブランドなど数千点からオンラインで商品を注文し、最短2時間で届けるサービスを始めた。

20年10月21日には、Amazon.co.jp上にライフコーポレーションのストア(www.amazon.co.jp/life)をオープンしている。プライム会員は、Amazon.co.jpのウェブサイトとAmazonショッピングアプリのトップページやメニューからライフコーポレーションのストアを選択し、注文することができる。

●イオンリテール

ネットスーパーはサービスによって配送地域が限定される場合もあるが、イオンのネットスーパー「おうちでイオン」は、全国で対応している。商品の配送は、自宅から最も近い店舗が対応店舗となる。

レシピ動画サービス「クラシル」と連携しており、作りたいと思ったら即購入できる。また購入額200円ごとに1WAON POINTが貯まる点もお得だ。ただ、対応が近くの店舗となるため、サイトで表示される商品が必ずしもあるとは限らない点がデメリットだ。配達料は100〜1500円(東京都離島のみ3000円)、代金引換の場合は別途100〜300円。

店舗受け取りサービスにも力を入れているのは前述のとおり。

また、21年2月11日からはイオンモール東久留米(東京都東久留米市)のモール部分のレストラン、フードコート、食物販専門店を対象に、アプリから複数の専門店の商品を一括で注文、支払い、受け取りができる「モバイルオーダー テイクアウトサービス」の実証実験を開始。いわゆるネットスーパーとは異なるが、飲食店の商品のオーダーをネット上で行い、最短30分で商品を受け取ることができるサービスの形を模索している。

●イトーヨーカ堂

イトーヨーカ堂のネットスーパーはほぼ全国に配達エリアが網羅されている。ネットスーパーオリジナル商品があることなどが魅力だ。

配達日は当日から7日後までの間から選べ、クリスマスケーキやおせちの予約も可能。お得なサービスが多く、nanacoポイントが貯まる他、母子手帳交付から4年間は配達料が一律102円(総額)といったサービスもある。ただし実店舗から配達をしているため、食品の鮮度を保つために店舗からの3~5km範囲のみを対応エリアにしている。

20年7月29日にウェブサイトなどの仕組みを大幅にリニューアルし、配送料を変動制のダイナミックプライシングに変更。一律で総額330円だったが、首都圏中心の59店についてはこれを220~330円(当初)の変動制に変更している。

●楽天、西友

西友は楽天と提携して楽天西友ネットスーパーを運営している。そのため、登録時に楽天のIDが必要だ。メリットは楽天ポイントが貯まること(還元率1%)と商品の種類が多いこと。ある一定金額を越えると配送料が無料になるが、配達の時間帯や住んでいる場所によって無料になる金額が異なる。

「みなさまのお墨付き」など人気のプライベートブランド商品が購入できることも魅力。RAKUTENママ割や月曜日は60歳以上限定ポイント2倍などお得なキャンペーンを用意している。 

ただし、対応エリアは全国ではなく、47都道府県中17都道府県のみだ。公式サイトで住んでいるエリアが対応エリアかどうか確認しよう。

●ダイエー

ダイエーはイオンの子会社で、関東圏の東京や埼玉、千葉、神奈川と関西圏の大阪、兵庫のみの対応だ。対応エリアは少ないが、規模が小さいだけに小回りが利き、エリアによっては15時までに申し込めば当日配達もできる。

配送料や配達申し込み締め切り時間は店舗によって異なる。大阪、神戸には配送料無料の店舗もあるので、近くの店舗の状況をチェックしよう。

●生協(コープデリ)

コープデリは、関東圏の生協が運営しており、ネットスーパーではあるが、オーガニック食品などにも力を入れた食材宅配サービスといった性質が強い。環境に優しい洗剤など日用品などもある。また母子手帳交付された日から「赤ちゃん割引」で配達料が無料、小学校まで「子育て割引」が利用可能で配達料が安い。

他のネットスーパーとは異なり、配達日が決まっており時間指定はできない。ただし、留守置きなどのサービスがあるので、不在が多い人にも配慮している。

まとめ

新型コロナウイルスの流行でネットスーパーの需要は大きく増加した。小売各社は外的環境の変化に合わせてネットスーパー関連のサービスを拡充しており、利便性はどんどん高まっている。

「三密」回避以外にも、好きな時間に買物ができたり、重い荷物を運ぶ手間が省けるなどメリットも多く、アフターコロナの世界においてもネットスーパーの利用者は今後も増加していくと考えられる。

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