2桁増収増益達成、1000店突破!コスモス薬品の快進撃

2020.08.07

調剤を実施する東京都の都市型店の広尾駅店

2桁増収増益を達成、いずれの数値も過去最高を更新

大型の郊外型ディスカウントドラッグのフォーマットを武器に、地盤の九州から次第に東進しているコスモス薬品の2020年5月期の連結決算は、売上高6844億300万円(前期比12%増)、営業利益は290億9400万円(同17.4%増)、経常利益は315億6200万円(同15.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は214億3500万円(同11.7%増)と2桁増収増益を達成。いずれの数値も過去最高を更新するなど、絶好調の決算だった。

決算発表に臨む横山英昭社長(左)と柴田 太・取締役経営企画部長(右)
出所:決算資料
出所:決算資料

今回の決算には昨年10月の消費増税、さらに今年に入ってからの新型コロナウイルスの問題が大きく影響した。消費税について横山英昭社長は、「消費税増税は、日本の全国民が価格センシティブになる国家的なイベントと捉え、税込表示、税込価格を据え置くという対応を行った。これにより『コスモス薬品は安い』という印象を与えることができたと思う」と振り返る。

新型コロナについては、1月、2月はマスクや消毒用アルコールなどの衛生用品の需要が急増。続いて2月末から3月にかけてはトイレットペーパーの買い占めが起こった。これについて、横山社長は、「デマによって、売場から商品がなくなることに良いことはない」と手厳しく批判。

「本当に必要とされるお客さまが購入できない。また、定番商品が空っぽになり、それを復旧させるために物流費や人件費など、多額のコストが発生した。また、トイレットペーパーの既存店売上前年比は5月で95%と、前年を割っており、6月以降は徐々に売上げも戻り始めたが、全店売上げの伸びほどは回復していない状態。これは各ご家庭に2月に購入したトイレットペーパーが家庭内在庫として眠っているものと思う」(同)

さらに3月以降は食品の需要が急増。続く4月には緊急事態宣言に伴って「ステイホーム」が叫ばれ、在宅の時間が増えたことも大きく影響。「『コスモス薬品は、日常生活で使えばなくなる消耗品を安く売る店』というコンセプトなので、消費者の家の近くに店があって『助かった』と思われたのではないか。巣ごもり消費でお客さまの支持を得ることができたと思う」(横山社長)

既存店売上高前年比は2月が111.3%、3月が106.8%、4月が117.5%、5月が115.2%、今期に入った6月も110.5%と高水準で推移。特に新型コロナによって食品の需要が高まったことから4月~6月の3カ月は2桁増。

直近の傾向として客数よりも客単価が伸びているというが、これはスーパーマーケット(SM)と同様、買物の頻度を減らしてまとめ買いをする傾向の表れといえそうだ。4月は既存店ベースの売上高117.5%に対し、客数が約112%で客単価が約105%と客数が大きく伸びていたのに対し、6月は売上高110.5%に対し、客数が102.5%、客単価が107.8%と売れ方が変わってきている。

関東地区は好調、今期は20店の積極出店へ

20年5月期は合計80店を新規出店し、期末店舗数は1058店と、ついに1000店を突破した。新規出店の地域別の内訳は関東地区に6店、中部地区に14店、関西地区に29店、中国地区に8店、四国地区に3店、九州地区に20店。一方で、新型コロナでインバウンド需要が急減したため、インバウンド需要を狙って開発した都市型店のうちインバウンド比率の高い8店を閉店。

「インバウンド狙いの店を始めた当初から、副業であると説明していた。よって採算が合わないと判断し、速やかに閉店した」(横山社長)。その他、黒字の小型店をスクラップし、競争力のある新しい大型店に造り換えるスクラップ&ビルドによる閉店が7店あったため、閉店は合計15店だった。

出所:決算資料

今期、21年5月期は、新規出店を85店、閉店を4店予定している。関東地区には今年5月までに郊外型店を2店出店しているが、今期から積極的に出店していく意向で、今期は関東地区に20店を出店予定。うち4、5店ほどが都市型店になるとみている。他、関西と中部に45店、九州と中四国は20店を出店する予定だ。

注目は今後出店を増やす関東地区の状況だが、横山社長はそのポテンシャルについて次のように語る。「関東は土地、人件費は高いと本当に思っている。ただ、それ以上に、関東は人口、所得の一極集中があるので、肥沃な大地だと思っている。郊外型店の龍ケ崎ニュータウン店(茨城県龍ケ崎市)を出したが順調に推移している。この成績を見ると、今後も出していきたいと思える。(関東の出店が進むと)販管費(販売管理費)はある程度高くなることはあるが、いま全体の販管費率15.5%が16、17%に上がっていくとは考えていない」

龍ケ崎店は5月のオープンだが、すでに7月の段階で日販200万円を超える日が出てきていて、これは相当早いペースだという。通常、オープン後3年は赤字だが、この日販の上がり方からすると、かなり順調であると判断している。

柴田 太・取締役経営企画部長は関東地区の出店の目安を次のように説明する。「商圏人口は1万人に1店だが、総人口に対しては2万人1店を出店と考えている。九州が人口約1300万人の島で600店、それを考えれば関東は約4000万人が住んでいるので2000店ぐらいは出せると考えている」

今期、関東地区には前述のとおり20店を出店予定でうち4、5店を都市型店としているが、「副業」との位置づけのとおり、都市型店は積極的に出店していくわけではないという。あくまで、「コスモス薬品の特徴は『食品満載型のフード&ドラッグ』。郊外型をどんどん出していって、東京都内の都市型店は出店できる物件があればチャレンジするというスタンスだ」(横山社長)。

なお、東京都に出店している都市型店の広尾駅店(東京・渋谷)や西葛西駅店(東京・江戸川)では調剤を実施しているが、これは「東京都内は面分業が進んでいるため」(横山社長)で、調剤についてはエリアの性質を見極めながらの展開となる。ただ、広尾駅店と西葛西駅店は順調に推移していることから、今後、面分業が広がっているエリアでは調剤を実施していく意向。現在、調剤は5店で実施している。

生鮮については本格的に取り扱うつもりは「全くない」

新型コロナによる需要の急増もあって、第4四半期は食品の売上高構成比は6割を超えたという。少しずつではあるが、年々、同社の食品の売上高構成比は高まってきており、特にSMなどにとって脅威になっている。6月に入ってからは若干収まっているので、今期通期では6割に達しない見通しだというが、すでに食品だけでも4000億円ほどの規模に達している。これはリージョナルSMチェーンクラスの年商といえる。

出所:決算資料

プライベートブランド商品については、これまで「ON365」という加工食品を含むシリーズを開発してきたが、最近ではチルド、冷凍の惣菜の「おいしい惣菜」シリーズの開発も進めるなど、より食品を含む日常生活に密着したフォーマットとして完成度を高めつつある。「生鮮については本格的に取り扱うつもりは全くない。われわれには生鮮のノウハウは手に負えない」(横山社長)とはいうものの、SMにとって大きな競合になっていることは間違いない。

なお、20年5月期のPBの売上比率は15.1%だが、「コスモス薬品はナショナルブランド(NB)商品の安売りをするというのが第一の考え。NB商品をしっかり販売した上で、PB商品を作っていければと思っているので、PB比率を高めるのではなく、良いものを作って結果的にPB比率が高まったという形にしたいと思っている。良いものをより安く販売するために、自分たちで作ってNB商品といっしょにお客さまが買えるようなものを作っていきたいので、どんどん作っていけばよいという考えは持っていない」(横山社長)という。

DX(デジタルトランスフォーション)関連では、同社では春日宝町店(福岡県春日市)が販売する形でネット販売を展開しているが、横山社長は「まだ、本格的に展開していないが、リアル店舗が1050店を超えたので、その強みを生かしたネットとの融合が今後の課題」と、今後、リアル店舗との融合を視野に入れていることを明かす。

同じくDX関連のキャッシュレス決済については、まだ手数料が高いと考えており、「現金主義」を維持している。ただし、これについては手数料率が下がり、「日本全国でキャッシュレスがスタンダードになったときに導入していきたい」(横山社長)としている。

今期の通期の売上高は5.6%増の7230億円を計画するなど、7000億円を突破する見通し。前期は特に下期の新型コロナの影響が大きかったため、営業利益、経常利益は横ばいを計画しているが、「さらに成長ができるように頑張っていきたい」(横山社長)とする。

日本のドラッグストアの中でも有数の規模になったが、他社の多くがM&A(合併・買収)による拡大であるのに対し、コスモス薬品はあくまで自力の成長で、ここまで大きくなってきた。今後も、自力で出店することが大事だと考えているため、「M&Aは一切考えていない」(横山社長)という。

調剤を展開するに当たっても、「まずは自分たちでやってみる」というスタンス。広尾駅店などで展開しているが、順調に行っていることもあって調剤についてもいまのところM&Aは考えていない。今年は、積極出店モードに入った関東地区での存在感が増すことになるだろう。

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