コロナ禍決算|U.S.M.Hは営業・経常利益2倍の大幅増収増益達成、デジタル化スピードを前倒し

2021.04.09

マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東による連合体・ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)の2021年2月期の連結業績は、営業収益7338億5000万円(前期比106.1%)、営業利益191億2400万円(同204.4%)、経常利益194億3300万円(同201.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益88億4500万円(同540.5%)で増収増益となった。事業会社3社も全社増収増益となった。

上期は既存店売上高前年比の想定を100.5%と置いてスタートしたが、新型コロナウイルスの影響によって上期は107.6%での着地。

下期はアフターコロナの景気後退側面を想定し、防疫の設備投資、既存店活性化の拡大、デジタル開発計画の繰り上げなどによる投資の計画修正を検討。既存店売上高前年比の想定を102%に引き上げたが、それでも下期は103.4%の着地となった。

店頭では、非接触を目的にスキャン&ゴー、セルフPOS(セルフレジ)などの設備の導入を拡大した他、アクリル板や殺菌スプレーなどの防疫を目的とした設備投資を実施。

チャネルの拡大、決済の多様化、受け取りの選択肢の増加目指す

21年2月期を1年目とする3年間の中期経営計画に対しては、投資ポートフォリオの変革を実施する。これまで新規出店に重きを置いてきた店舗投資については既存店に振り向け、全体の底上げを図る。また、デジタル投資を拡大し、デジタル化のスピードを上げる他、ロジスティクスやプロセスセンターなど戦略的設備投資を充実させる。

デジタル投資はアジャイル開発(開発途中に状況に応じて柔軟に変更などをしながら開発していく手法)をベースにしているため、一気に大きな水準にはならないが、今期はチェックアウトのセルフ化などの設備投資など61億円を計画。

店舗のデジタル化は、スキャン&ゴー、オンラインデリバリー、デジタルサイネージ、セルフPOSなど複数を同時に開発し、店舗に実装していく取り組みをしてきたが、今後も都度検証を重ねながら、お客の利便性向上を目指してアップデートを重ねていく。

また、中期経営計画については達成水準の前倒しを想定する。

来店を前提としたビジネスから、家庭でも買物ができるチャネルの実装、精算・決済の多様化、商品の受け取り方の選択肢の増加、独自のポイントプログラムでの優位性の創出などを主眼に取り組む。「これまで来店されていたお客さまに不便や痛みを強いずに、デジタル化により店舗の守備領域を拡大することでU.S.M.H全体の店舗ネットワークの強みを再構築する」(藤田元宏社長)

セルフチェックアウト推進の背景は、「全体人時の30%を投入するチェックアウトゾーンの省力化だけではなく、その人員を他のタッチポイントを配置し、デジタル化を進めつつも一方で人的サービスを限定した領域で充実させることを狙いとしたもの」(藤田社長)

それ以外の業務についても、それを決定付けている基幹システムに手を入れることでトレードオフを実現し、業務の自動化と迅速化を実現する。

スキャン&ゴーは、今期中に事業会社3社の共通基盤にしていく他、地域や業態による使い方の差異も感じられないことから、パレッテやイオン九州、光洋などU.S.M.H以外のイオングループ企業にも次第に拡大していく。また、独自のポイントシステムを入れているので施策の展開と、個人のIDデータを活用したデータマーケティングをしていく。

オンラインデリバリーはネットスーパーとしての役目に加え、ラインロビングが肝要と考えている。専用商品の投入など食品にこだわることなく、ロングテールの商品も含めて買物ができる環境を目指し、「デジタル化の進行はD2Cに拍車をかける」(藤田社長)状況に対応していく。現在の利用は、リアル店舗のウエートがほぼ100%だが、店以外を2、3割の水準に持っていきたいと考えているという。

スキャン&ゴーの全店拡大を推進

マルエツは、「デジタルとの融合による顧客接点の創造」との方針を掲げ、スキャン&ゴーを5月までに全店に導入する他、セルフレジの拡大、デリバリーの強化、マイクロマーケットを狙った新フォーマットである「スマートプチ」の出店などを実施していく。

カスミは、コロナ禍の中で事前計画していたDXのスピードを上げた形となった。密を避ける意味も込め、セルフPOSやスキャン&ゴーを導入した。セルフPOSは21年2月期末段階で90店に導入済み。全店に占めるセルフチェックアウトのお客の割合は27%、導入店に限ると45%の利用率があるという。スキャン&ゴーは現在のところ利用率は1%に満たないが、全店に導入。21年度は新フォーマットを含む新店、改装、デジタルなどにも積極的に投資をしていく。

マックスバリュ関東は小型のマックスバリュエクスプレスフォーマットが好調で、今期構築を図っていく。昨年10月中旬に大幅に活性化したおゆみの店(千葉市緑区)は売上高前年比115.6%と好調。売場を水平展開する他、惣菜の充実、デジタルを活用したコミュニケーション、分析、働き方改革など売場改革に取り組みながら、積極的に投資もすることで「体験型スーパーマーケット」を具現化していく意向だ。

お役立ち資料データ

  • 原理原則を知る②-値入ミックスの極意-

    企業活動において、非常に重要となる価格設定ですが、その原理原則についてポイントをまとめたのが本資料です。 ニューノーマルが求められる現在においても、基本的なことを改めて振り返っていただければと思います。 ①値入ミックスとは何か? ②活用しやすい業態、条件 ③具体シミュレーション方法  

  • DX推進で陥りがちな間違いと対策

    本資料は、DX推進で陥りがちな間違いについて、経営と現場のすれ違いを減らす手法を提案することで、 成果に繋がるDXに繋げていただくことを目的に作成しております。 DX失敗のプロセス DX(デジタルトランスフォーメーション)への誤解 経営と現場のすれ違い事例 「仮定の検証」してますか? 全体最適のために必要なこと 本部がもう少し考え抜くと… 推進していくDXに欠かせないもの  

  • 業界寡占が進む「ドラッグストア」の強みと弱み

    新型コロナウィルス発生後、スーパーマーケット同様に売上好調であるドラッグストア業態。 業界は寡占化が進みつつあります。 改めて業態としての強みと弱み、また歴史を振り返りつつ、今後どのなるのか? 業界編集長の野間口氏にまとめていただきました。 ・ドラッグストア業態の「強み・弱み」 ・ドラッグストア業態の「過去と未来」