ビオセボン・ジャポンがたまプラーザテラス出店、「日常使い」のオーガニックに向け調達、出店に弾み

2021.04.14

たまプラーザテラス店は、東急田園都市線のたまプラーザ駅に直結したショッピングセンター内に立地。通勤、通学の帰りに気軽に立ち寄ることができるので、日常生活にもオーガニックを取り入れやすい

ビオセボン・ジャポンは3月11日、横浜市青葉区にBio c` Bon(ビオセボン)たまプラーザテラス店をオープンした。売場面積は24.89坪と、小型店となる。品揃えをオーガニックの食品、環境適応型の生活用品といった、サステナブルなアイテムに絞り込んでいるのが、同社の特徴だ。

同店は、東急田園都市線のたまプラーザ駅に直結したショッピングセンター「たまプラーザテラス」に、テナントとして出店。通勤・通学途中などの買物に便利な立地となっている。

また、駅周辺は、東急沿線を代表する高級住宅地として知られる。同社の今井顕輝・取締役サプライチェーン本部長/輸入部部長は、「当社がターゲットにしている、環境への関心が高いお客さまが多いと期待している」と説明。

メインとなる商圏は、たまプラーザ駅を中心とした横浜市青葉区や川崎市宮前区などの東急沿線地域。今井取締役によれば、「客層で最もボリュームが大きいのは30~40代で、子どもがいるファミリー層。そのため、日常生活でも使ってもらえるような売場づくりを考えた」という。商圏人口は、徒歩5分圏内が約2500人(約2000世帯)、徒歩10分圏内が約1万3400人(約1万2500世帯)で、単身者も多いエリアといえる。

アイテム数は1900SKU強。商品構成の内訳は、輸入グロサリーが600SKU、国産グロサリーが450SKU、デイリーが99SKUなどとなっている。生鮮食品も、農産品を118SKU、肉・魚類を27SKUそろえる。また、非食品の生活用品を拡充しており、化粧品やベビー用品など564種類のアイテムを集めた。

生鮮食品の農産売場では国産品が充実。有機栽培のタケノコなども品揃え
農産売場にあった青森県産のリンゴ。リンゴは農薬を使用しないと栽培が難しく、国産リンゴの一大産地である青森県でも、ごく限られた農家でしか有機栽培されていないという
ビオセボンで人気の量り売りのドライフルーツやナッツ、チョコレート、グラノーラなど。20g以上なら、好きな量を購入できる。紙袋を使用して、プラスチック包装資材を減らしている

原料をスイスから輸入した愛媛県産の有機JAS認証のチョコレート

商品で強化しているのは、「お客さまから好評なビーガン関連」と、今井取締役は説明する。ビーガンとは、「徹底した菜食主義」を指し、ビーガンの食品は、肉や魚はもとより、卵や乳製品も原材料として使用しない。

同店では、フランスのビオセボンからの直輸入品が、ラインアップのメインとなっているが、国産品も増えているという。とりわけ、鮮度が重要な生鮮食品や牛乳といった洋日配、納豆といった和日配は、多くが国産品で占められている。国産のグロサリーも、品揃えが増えている。例えば、愛媛県四国中央市の有機JAS認証のチョコレート「ヴァンヴリッド」も販売している。

「このチョコレートは、クーベルチュール(原料となる脂肪分の高い製菓用チョコレート)をスイスから輸入している。日本は2020年、スイス(EUに非加盟)と独自に有機認証制度の同等性(有機認証制度の基準を合わせる国際協定)を結んだため、このようにスイスから輸入した原材料を使っても、有機JAS認証が取得できるわけだ」(今井取締役)

今井取締役は、次のようにも語る。「日本とEUは、まだ有機認証制度の同等性を結んでいない。(日本とEUは、経済連携協定を締結したものの、)日本からEUへの食品輸出はまだ少ない。そのせいか、オーガニックについても、日本とEUの当局では、同等性の締結への機運が盛り上がっていないようだ。そこで、(日本と有機認証制度の同等性を結んでいる)スイスからのインポートを増やすといった工夫によって、有機食品の輸入ルートも確保し、有機JAS食品の供給を拡大していきたい」

オリジナル商品は、フランスのビオセボンの商品がメインで、「トップバリュ グリーンアイ」といったイオングループのプライベートブランド、ビオセボン・ジャポンの独自商品のラインアップは限られるという。

しかし、日本市場に固有のニーズもあるため、「ビオセボン・ジャポン独自の有機食品なども増やしていきたい」と、今井取締役は意気込む。神奈川県の同社の一部店舗では、県内の農家と提携した産直の有機野菜の販売も、すでにスタートしているという。

オリジナル商品は、食品に限らない。例えば、生活用品のカテゴリーでも、レジ袋有料化に伴った環境適応型のごみ収集用ポリ袋、新型コロナウイルス感染拡大に伴った環境適応型のマスクケースなどを発売している。

自然派の化粧品やトイレタリーグッズが豊富にそろっている。コロナ禍に対応して、オーガニックコットンから作られたマスクまで拡販している
和日配では納豆などの国産のオーガニック食品をそろえている。左下に見えるのは、「トップバリュ グリーンアイ」のうなぎのかば焼き。イオングループのPBも品揃えに生かす

「商品開発はしやすくなった。ネスレやダノンといった世界的な食品メーカーがオーガニックを強化したり、中国のオーガニック市場が拡大したりしている影響もあって、海外のオーガニックの専業メーカーが、アジア市場の開拓に力を入れている。当社も、海外メーカーからの引き合いが増えている。さらに、コロナ禍によって、これまで外食ルートを主力にしていた有機食品の国内サプライヤーからも、引き合いが増えている。日本の大手食品メーカーの多くも、そうした流れに追随するのではないだろうか」(同)

ブランディング段階をへて価格差縮小にテーマが移行

一方で、オーガニックの大きな課題の1つが、一般商品との価格差だ。「これまでは、日本国内でのオーガニックの市場形成や安定供給、ビオセボンとしてのブランディングが中心テーマだったが、これからは、価格差の縮小が大きなテーマになる。オーガニックの大量・安定生産によって、ビオセボンの直輸入品の原価も下がっているし、日本市場でも大量・安定供給が実現できるようになったため、コストダウンの道筋は見えてきた」と、今井取締役は意欲を示す。

ビオセボン・ジャポンの岡田尚也社長も、次のように説明する。「SDGs(持続可能な開発目標)が注目されているように、環境と共生していくライフスタイルが世界の主流になる。すでに日本の生活者の意識も、そうしたトレンドに対応して大きく変化している。オーガニックも、まさに当社が『日常使い』を掲げているように、特別の商品ではなく、日常の商品になっていくだろう」

オーガニックの植物性ミルク「イソラビオ」。日本で人気のソイ、アーモンドミルクの他、オーツ麦や大麦などバリエーションが豊富。ビーガンやグルテンフリーにも対応している。 価格は1000㎖で398~428円(本体価格)
イタリアの老舗パスタメーカーである「リスコッサ」から、有機小麦を使用したスパゲティ、ペンネリガーテ、フジッリを調達。全粒粉タイプもある。価格は500gで258円(本体価格)と手ごろな価格で、日常使いできる
洋日配売場にあった英国カロンウェンのグラスフェッドチーズ&バター。グラスフェッドとは、穀物の飼料ではなく、牧草で育てた家畜の畜産品。搾乳の量が少ないため、酪製品は希少価値が高い。有機JAS認証も取得している
未晒し(漂白していない)原料を使ったトイレットペーパー、再生材料から作られたごみ収集用ポリ袋などまでそろっている。環境適応型の生活用品が増えてきたのも、最近のラインアップの特徴といえるだろう

同社は、お客とのコミュニケーションを通じたブランディング、商品供給の安定化・拡大を通じた売価の引き下げなどによって、オーガニックの日常生活への浸透を図っている。

調達網の整備を進める一方で、岡田社長は販路の拡大にも注力する。コロナ禍で、デジタルシフトが加速していることを踏まえ、「今上期をめどに、EC(電子商取引)も開始することを検討中だ。ブランドの認知度も高まってきたし、商品を持ち帰らなくても済む宅配へのニーズも高まっている」(岡田社長)としている。

同社は、東京都と神奈川県を中心に、実店舗の展開も進めてきたが、コロナ禍でも出店ペースはキープする見通し。21年も、たまプラーザテラス店を含めた5、6店舗のオープンを計画しており、同年4月には、東京都中央区の大型商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」にも出店する予定だ。(取材・文/野澤正毅)

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