帝国データバンクが2024年の「恵方巻」価格に関する調査分析の結果を公表した

2024.01.25

帝国データバンクは、24年の「恵方巻」価格について、調査分析を行った。

<調査結果(要旨)>
・今年の恵方巻、平均価格は前年比4%の値上げ 海鮮恵方巻は値下げも目立つ
・昨シーズンに比べ「お買い得感」強まる フードロス対策の「予約制」、広がりに課題も

[注1] 全国の大手コンビニエンスストア・外食チェーン・スーパー・百貨店・日本料理店などのうち、前年の価格と比較可能な「恵方巻(五目・七目 )・海鮮恵方巻」を対象に調査を行った。比較対象は合計104社
一般的な1本・18cm前後(ハーフを除く)の商品が対象

[注2] 前年と比較できない恵方巻(企業)があるため、一部22年時点と調査対象が変更となっている。なお、入れ替え対象の恵方巻については21年に遡って価格を再集計しており、データの連続性には問題がない

※調査機関:株式会社帝国データバンク

■今年の恵方巻、平均価格は前年比4%の値上げ 海鮮恵方巻は値下げも目立つ

全国の大手コンビニエンスストアや外食チェーン、スーパー、百貨店、著名な日本料理店など計104社で販売される2024年節分シーズンの恵方巻価格を調査した結果、一般的な五目・七目の恵方巻(太巻・1本当たり)における平均価格は948円(税込)だった。

1年前(23年節分、「昨シーズン」)の909円に比べて39円、率にして4.3%の値上がりとなったほか、2年前に比べると113円・13.5%の値上がりとなった。豪華で高級志向な品が多い海鮮恵方巻では平均1729円となり、前年(1689円)から40円・2.4%の上昇となった。

前年から価格が上昇した恵方巻を値上げ幅別にみると、最も多いのは「100円未満」で、全体の4割超にあたる31社に上った。回転寿司チェーンや食品スーパーなど量販店で販売する単価400~700円台の恵方巻で多くみられた。

昨シーズンから値上げを行った恵方巻は47社に上り、前年の48社に比べて1社減少した。海鮮恵方巻の値上げ幅でも「100円未満」とした企業が18社と最も多く、昨シーズンから7社減となる計43社で値上げとなった。

他方、今シーズンは昨シーズンからの価格据え置きや、値下げといった動きが多くみられた。恵方巻では「据え置き・値下げ」が22社(31.9%)、海鮮恵方巻では35社(44.9%)判明し、それぞれ前年から増加した。特に海鮮恵方巻では、大幅な価格引き上げが目立った昨シーズンに比べ、値上げでも小幅なものが多い点が特徴的となる。

昨シーズンに価格が高騰した食材のうち、使用頻度の高い味付かんぴょうが中国産で不作となり前年から30%以上の価格高騰が見込まれるほか、海苔も記録的な不作となるなど、大幅なコスト増が避けられないものもみられた。

ただ、太巻きに用いられる玉子焼きでは鶏卵価格が一転して下落しているほか、昨シーズンに3割以上の値上がりとなった穴子も価格が落ち着いた。水産品では、他にもまぐろやいくら、ほたて、くるまえび、いくらなどで最大で20%超の安値と、価格が高騰した昨シーズンに比べ大幅に下落した品目も多く、海鮮恵方巻きで価格の据え置きや小幅な値上げが目立つ要因となった。

■昨シーズンに比べ「お買い得感」強まる フードロス対策の「予約制」、広がりに課題も

恵方巻の平均価格は値上がり傾向が続いたものの、1本当たりの平均価格で40円前後の値上げと小幅なものが多く、70~150円の値上げだった昨シーズンに比べると一服感も出てきた。特に海鮮恵方巻では原材料価格が安値となり、大幅に値下げしたケースも目立つなど、昨シーズンと異なる動きもみられた。

2年前と比べると依然高値であることは変わらないものの、物価高で節約志向が強まるなか、価格据え置きや値下げによる「お買い得感」が強まりそうだ。

今シーズンは大手コンビニ等をはじめ、ほぼすべての企業が予約制を導入している。予約制の導入は食材廃棄コストの低減で利益面の恩恵を受けるケースもあるものの、高価格帯の商品や限定生産品などに限られ、店頭販売も多い1本1000円前後の恵方巻ではフードロス対策として効果が限定的とも聞かれる。

近年は食材の価格高騰に備えた施策として予約制を導入する側面もあったなかで、予約販売制が今後も定着していくか注目される。

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