ロピアとコストコ、尼崎の共存に「多くのお客でにぎわう店」の理由を探る
2022.04.12
2021.10.05
ロピア、コストコは「低価格+オリジナル商品」が基本
尼崎にはコストコとカルフールを引き継いだイオンの総合スーパー(GMS)、昨年10月にオープンしたロピアが隣接して出店している。
ロピアのオープンから9カ月ほど経過した同エリアに訪れてみた。ロピアは肉が強いだけでなく価格も安い。常に安い価格で販売している印象だ。
売場で注目した商品に子会社である利恵産業の冷凍レディミールがある。冷凍平ケース2本を使い、ファミリー向け冷凍レディミールを約10種類販売していた。2、3人前の容量で価格は980円~と安く設定している。包装形態は耐熱トレーに料理を盛り付け冷凍、その上に写真付きの紙包装を行うことで高級感を出している。
加工肉の売場に目をやると、ロピアオリジナルの品揃えが目立つ。ロピア多田工房(神奈川県平塚市)製造の「燻製荒挽ウィンナー」「燻製ベーコン」「串付フランク」などを販売。燻製ウィンナーには「100%国産原材料肉を使用しています」と書かれている。売場を見るとよく売れている。
惣菜の平台では箱入りのピザ各種が山積みで販売されている。弁当は豚バラ焼肉弁当を380円、ヒレカツ弁当を380円と、肉たっぷりの弁当を低価格で販売。訪店日の売場では「ひれかつ」と「卵入りミートローフ」に注目した。
寿司は、本マグロ握り寿司18カンが2200円、ミナミマグロ使用寿司盛り合わせが2200円、マグロ海鮮ちらし寿司大型パックが990円など、たねにこだわった寿司を販売。
ソース、調味料の品揃えは見事
ロピアではつい生鮮食品に注目してしまうが、ドライ食品、特に調味料の品揃えも充実している。品揃えは有名店の名を冠したたれや調味料、輸入品などが多数品揃えされ、飽きない売場をつくっている。さらにロピアオリジナルのガーリックソルト、ハーブソルトはミル付きで99円と低価格で販売。「ロピアのソース売場は一見の価値あり」と言えそうだ。
コストコは、常に新商品を導入している。「コストコワールド」に新アトラクションが登場したようなものだ。お客は目当ての商品の他に「何か新しいもの」を期待して店を訪れている。ロピアもコストコも関西という土地柄もあるかもしれないが、お客の興奮した会話があちこちで聞こえる。
コストコでも調味料に注目したが、おもしろい商品が販売されている。
「探検」「冒険」を求める消費者
ネットスーパーや生協の宅配がスーパーマーケット(SM)の売上シェアをこれまで以上に奪っている。そもそも、重いもの、大きいものはネットスーパーや宅配で買った方が苦労して家まで運ぶ必要がない。
しかし、その店にしかないオリジナル商品の品揃え商品にはお客はわざわざ店に足を運ぶ。ロピア安いだけでなく肉に強みを持ち、お客は自分の目で価格と品質を確かめに店を訪れる。
一方、コストコはアメリカ産の商品や輸入商品などの珍しい商品をよく扱っている。お客は新しい刺激や探検をしにロピアやコストコを目指すのだ。
お客は幾つかのパターンに分類できる。①直接目的の売場に向かうお客、②探検をするお客、③ただ何となく店に来ているように見えるお客。
ロピアやコストコは②の探検をするお客が多く集まっているように見える。その噂を聞いて③のお客が集まって、結果、多くのお客でにぎわっているように思うのだ。
SMのどこにもある品揃えに飽き飽きしている消費者が「探検」「冒険」をしにやってくる。そこで、「驚き」「刺激」を味わっている。それがにぎわいの理由でもあるかもしれない。