城取博幸

城取フードサービス研究所代表。大学卒業後、大手外食企業に就職。退社後スーパーマーケットにてバイヤー、店長を経験。「ミールソリューション」「ホームミール・レプレイスメント」に興味を持ち、その後独立。チルド商品、惣菜のコンサルタントとして、スーパーマーケット、食品メーカーのミールソリューション、商品開発の指導、セミナーを行う他、国内外の食品小売業、生鮮市場、レストラン、食品メーカーを数多く視察、研究。国内外のスーパーマーケットを紹介したブログ、ホームページの「スーパーマーケット見聞録」は多くのアクセスがある。

  • 2023.05.08

    アップサイクルの広がりが意味するもの、先進企業オイシックスの狙いとは?

    オイシックス・ラ・大地が「アップサイクル」型の商品開発を積極化している。最近では同商品を開発、販売するフードロス解決型ブランド「Upcycle by Oisix」で、プロントコーポレーションと共同開発した商品「コーヒーから生まれた 黒糖あられ」「コーヒーから生まれた チョコあられ」を発売。 コーヒーは多くの人が日常的に楽しんでいる飲料だが、家庭でコーヒーを抽出した後はコーヒーの豆かす(コーヒーグラウンズ)は、生ごみとして処理されているのが現状だ。 プロントにおいてもコーヒーグラウンズの廃棄には課題を抱えており、Upcycle by Oisixと取り組むことで家庭ごみの削減、外食産業の課題解決の…

  • 2023.02.13

    オイシックスはなぜ、「アップサイクル」に取り組むのか? 取り組めるのか?

    食品のサブスクリプションサービス(サブスク)を提供するオイシックス・ラ・大地(オイシックス)は、チョーヤ梅酒と共同開発した新商品「梅酒から生まれたしっとりドライフルーツ」を1月26日から販売開始した。 梅との新しい出会いを提案する「The CHOYA銀座BAR」でこの商品を使った「梅づくし」のアフタヌーンティーメニューを期間限定で展開した。 チョーヤ梅酒は紀州産を中心に国産梅を100%使用、生産者と共に土づくりから取り組み、熟度を高く、香り豊かな梅を厳選して梅酒にしている。梅酒に漬けたあとの梅は製品に入れたり、そのまま販売しているが、製品化できなかった余剰の梅は、家畜の飼料や畑の肥料となってい…

  • 2022.11.21

    ケンタッキーはなぜ、「バーガー」にこだわったのか? 小売り、外食の「バーガーバトル」が始まっている

    いま、バーガーに注目が集まっている。多くのスーパーマーケット企業がバーガーの商品化に踏み込み、外食もその価値を改めて見直している。 総務省家計調査年報(2人以上世帯)を見ると、2020年からは「ハンバーバーガー(外食)」が「おにぎり」の消費支出を上回るようになった。それはコロナ禍で外食が苦戦する中、バーガーチェーンが「席を間引きしたイートイン」「テイクアウト」「デリバリー」「ドライブスルー」など4つの武器で戦った結果だともいえる。 さらにバーガーはファストフード業態だけでなく、レストラン、スーパーマーケット(SM)、コンビニ(調理パン)でも販売されるようになるなど、ある種ブームのような形となっ…

  • 2022.04.25

    セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店のミールソリューション「6つ」のポイント

    セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店の売場面積は1765㎡(535坪)、売上目標は42億円(2年目)である。1km圏内に単身世帯58.5%、2人世帯比率は22.5%と81%が2人以下である。 オフイスや恵比寿駅にも近いため昼食需要も望める立地だ。実際に買物をしながらレイアウト、品揃えの狙いを確認してみた ミールソリューション的「6ポイント」 ①ミールソリューションの考え方 2人以下の世帯81%、1km圏内に約9万人のオフィスワーカーが働く商圏であることから、昼食や夕食に対応するために即食系商品が強化されている。野菜、果物売場では壁面に沿ってカットフルーツ、カット野菜、生野菜サラダを強化。…

  • 2022.03.20

    消費の伸びるコロッケ、ハンバーグ、サラダに加え、初夏に向けた商品に注力 |惣菜編・2022年5月 「これは押さえたい」重点商品と売場展開

    日本フードサービス専門学院学院長 林 廣美城取フードサービス研究所 城取博幸 2021年5月の家計調査前年比は、調理食品105.9%、弁当97.5%、寿司105.3%、おにぎり114.5%、調理パン117.5%、スナック類103.2%、うなぎかば焼き105.0%、サラダ117.4%、コロッケ108.3%、カツレツ97.7%、天ぷら、フライ97.7%、シューマイ101.2%、ギョーザ96.8%、焼き鳥97.3%、ハンバーグ118.5%、惣菜セット89.5%、外食137.8%であった。 20年に大きく消費を落としたおにぎり、調理パン、サラダの消費が好調であったのに対し、カツレツ、天ぷら、フライが不…

  • 2022.03.19

    フーコット昭島店の「即食商品」の研究

    生鮮3品はバックヤードを持たず自社センターの商品で対応していることが特徴だ。バックヤードを持たないことでそのスペースを売場に活用できる。 店に入ればバナナの大量陳列が目に入る。カットフルーツは品揃えされていない。鮮魚コーナーでは「ウエット感」を出すため氷に入った丸魚のばら売りはあるが、刺身の盛り合わせはない。精肉コーナーではコストコを思わせるような大型パックも品揃え。 1号店の飯能店との大きな違いは、飯能店は惣菜売場が奥にあったのに対し、昭島店は惣菜売場を主通路最後に移動した点だ。 また、飯能店で主通路最後にあった酒売場はレジ前に変更され、そのスペースには惣菜の他、パン、卵、こんにゃく、豆乳な…

  • 2022.03.01

    需要が伸びる豆腐、中華麺、納豆、パン、チーズ、ケーキ | 日配編・2022年5月 「これは押さえたい」重点商品と売場展開

    5月のイベントは、ゴールデンウィーク(休みを取れば4月29日~5月8日まで10連休)、メーデー(5月1日)、憲法記念日(5月3日)、みどりの日(5月4日)、こどもの日(5月5日)、母の日(5月8日)と月前半にイベントが集中するため、売り逃しがないようにしたい。月後半は節約ムードが高まるため基礎食品を中心に販売する。 5月に需要が伸びるカテゴリーは、生うどん、そば、中華麺、ちくわ、卵、豆腐、納豆、梅干し、他の漬物、パン、調理パン、チーズ、マーガリン、ケーキ、ゼリー、プリン、和洋生菓子、アイスクリーム、ギョーザ、コーヒー飲料、果物、野菜ジュース。 5月に需要が減るカテゴリーは、揚げかまぼこ、魚介つ…

  • 2021.10.05

    ロピアとコストコ、尼崎の共存に「多くのお客でにぎわう店」の理由を探る

    ロピア、コストコは「低価格+オリジナル商品」が基本 尼崎にはコストコとカルフールを引き継いだイオンの総合スーパー(GMS)、昨年10月にオープンしたロピアが隣接して出店している。 ロピアのオープンから9カ月ほど経過した同エリアに訪れてみた。ロピアは肉が強いだけでなく価格も安い。常に安い価格で販売している印象だ。 売場で注目した商品に子会社である利恵産業の冷凍レディミールがある。冷凍平ケース2本を使い、ファミリー向け冷凍レディミールを約10種類販売していた。2、3人前の容量で価格は980円~と安く設定している。包装形態は耐熱トレーに料理を盛り付け冷凍、その上に写真付きの紙包装を行うことで高級感を…

  • 2021.08.09

    フーコット1号店がオープン、ヤオコーが子会社を通じて手掛けるディスカウントの姿とは?

    ヤオコーが今年2月1日に子会社として設立したディスカウント事業の「フーコット」がついにその店舗をオープンした。8月3日、1号店として埼玉県飯能市に飯能店をオープン。ネイバーフッドショッピングセンターの核店のスーパーマーケット(SM)跡地に居抜き出店し、核店としての機能を果たす。 ヤオコーは2017年に神奈川県を地盤とし、食品ディスカウントストアを展開するエイヴイを子会社化、それぞれが事業展開しつつ、ヤオコーへの一部ディスカウントのノウハウの取り込みを図ってきたが、今年2月、子会社としてフーコットを設立。埼玉県など自社ドミナントエリアにディスカウント事業を別会社で展開する方針を打ち出した。 エイ…

  • 2021.05.11

    イケアがシティショップ初の「スウェーデンレストラン」を渋谷にオープン、レストランまで併設して「食」を提供する理由とは?

    城取フードサービス研究所 城取博幸(商品レポート)/編集部(概要) 「より快適な毎日を、 より多くの方々に」をビジョンに、ホームファニシング商品を販売する「IKEA」を日本で展開するイケア・ジャパンは4月21日、IKEA渋谷の7階に日本のシティショップ(都市型店舗)で初めてとなる「スウェーデンレストラン」をオープンした。 IKEA渋谷は昨年11月30日にオープンした。世界初の7階建ての店舗で、最上階の7階フロア全体をレストランに充てている。 緊急事態宣言を挟むなど新型コロナウイルスの影響を強く受けつつも、オープン後のIKEA渋谷の売上げは順調だという。さらにオンラインの販売がそれをサポートして…

  • 2021.03.18

    ヨークベニマル今泉店の小型店戦略を体験&分析

    ヨークベニマルが小型店をオープンした。営業時間は9時30分~21時30分、駐車場台数50台の小型店だ。売場面積は389坪。既存のヨークベニマル泉が丘店からは車で8分、徒歩30分の距離だ。「小型店は採算が合わない」と言われているが、あえて小型店の出店に踏み切った背景とその根拠はどこにあるのか実際に店を視察してみた。 小型店を出店する3つの理由 ①消費者の変化 高齢化、人口減、過疎化により、遠くの店へ車で行かなくても近くの店で買物を済ませる傾向が見られる。特にコロナ禍においては買い回りが減っている。過疎地域においてもそれほど大型店は必要なくなった。店があるだけでありがたいという地域もある。 ②外的…

  • 2021.01.31

    イオングループの新フォーマット「パレッテ」はアルディ、リドルのようなハードディスカウントだ

    イオンが新会社パレッテを設立して開業した新フォーマットの「パレッテ」の1号店が、昨年12月5日、神奈川県大和市にオープンした。 イオングループには都市型小型店のまいばすけっとや経営統合したビッグ・エーとアコレがあるが、それらとは大きく異なり、売場面積が300坪以上はある比較的大きな店だ。訪店した感想は、「ドイツ発祥のハードディスカウントが日本にも出現した」というもの。 最近のアルディやリドルの大型店に比べると少し小さめだが、店内に入ればヨーロッパのハードディスカウントの「臭い」がする。コロナ禍明けには、価格競争が激化するとの声も多い中、そうした時代への布石となるか。 アルディ、リドルとの10の…

  • 2020.11.25

    長野県外に初出店したツルヤ前橋南店、「信州」を全面に打ち出した商品力に学ぶ

    長野県小諸市に営業本部を置くツルヤは、店舗数36店、年商1000億円弱の規模だが、プライベートブランド(PB)商品などオリジナル商品などの商品力、そしてそれを販売する店舗運営力などに定評のある有力スーパーマーケット(SM)企業だ。そのツルヤが、11月12日、初の長野県外、群馬県前橋市に前橋南店を出店した。 前橋駅からツルヤに向かうタクシーの中で、ツルヤの店の話題になった。そのドライバーによると、前橋からツルヤ軽井沢店に行く人は少なくないという。軽井沢までは高速道路を使えば1時間、下道でも1時間30分だ。「佐久や小諸は長野県だが、軽井沢は軽井沢という隣町に行くようなもの」という。 それだけツルヤ…

  • 2020.11.14

    関西で大きな話題! ロピア寝屋川&尼崎を「肉」視点で体験してみて分かった「強さ」の一端

    ロピアが関西地区に出店した。1号店は9月29日に大阪府寝屋川市にオープン、次いで10月27日に兵庫県尼崎市に2号店をオープンした。さらに11月24日に大阪市鶴見区に3号店をオープンさせる予定だ。10月下旬に2店を訪店したがどちらもよくお客が入っていた。 ロピアは精肉に注力したスーパーマーケット ロピアの安さと鮮度ばかりに目が行くが、「肉」を中心に店を見ればロピアの狙いが見えてくる。果物売場には「カットフルーツ」がない。鮮魚売場には「寿司」はあるが「刺身の盛り合わせ」がない。これらだけでも普通のスーパーマーケット(SM)とは違うことに気づくだろう。惣菜売場では肉を使った弁当や惣菜を販売している。…

  • 2020.10.15

    外食と惣菜の垣根を超えるニューノーマル時代を象徴、外食ビジネスウィーク2020で見た「5つの兆候」

    2020年9月24、25日、東京ビッグサイト青海展示棟で、「外食ビジネスウィーク2020」(主催・外食ビジネスウィーク実行委員会)が開催された。AホールとBホールを使い、食品、飲料で約210社、設備、サービスで約100社が出展。オンライン展示会やオンラインセミナーも開催された。リアルとウェブ両面での展示会であった。 来場者は2日間計で約1万6000人だったが、その様子からは外食関係者が新たな、商品、ビジネスに強く興味を持っていることがうかがえた。「安全」「健康」「効率改善」をテーマに会場を見て回った。幾つかの特徴を紹介したい。 惣菜関連の資格 外食関係の展示会に日本惣菜協会が出展した。ブースで…