カスミBLΛNDEの挑戦、こう見る! 惣菜編 おもしろい、楽しい売場、商品、温度帯別の品揃えが実現

2024.07.31

BLΛNDE(ブランデ)は「人、食、生活、文化」が商品、サービスを通じて交じり合う新たなスーパーマーケット(SM)を目指している。ブランデ三郷店は「つくば並木店」「研究学園店」に続く3店目となる。新たな取り組みとして「DELY BREAD」や「WINE&BAR」などを新設した。

おもしろい、楽しい売場、商品に人は集まる

グローバル見本市ネットワークのSIALによる「日本におけるイノベーションの軸とトレンド(2022年、23年比較)」調査データによると、「Pleasure(楽しみ、喜び)41.7%⇒60.5%」「Health(健康)29.1%⇒18.6%」「Physical(身体的)14.6%⇒11.6%」「Convenience(便利性)6.8%⇒4.7%」「Ethics(倫理)7.8%⇒4.7%」であった。

「楽しみ、喜び」が大幅に伸びている。新型コロナウイルスの影響が薄まったこともあって、お客は売場、商品に対し楽しみや喜び、おもしろさを期待していると解釈できる。

楽しい、おもしろい「人、物、金、情報」がある所に人は集まる。それはディスカウント性の強いSMや品揃え型の食料品店に見られる。ブランデは後者で「楽しい、おもしろい売場、品揃え」がされているとみることができる。

同店の場合、惣菜売場に寿司売場がないためその分、弁当、丼、おにぎり、洋食、エスニック商品の自店製造に注力している。洋風、エスニックプレート商品は「ライスボウル」と名乗りレストランレベルの料理提供している。

弁当のおもしろい売り方として、「Deli Selection(デリセレクション)」と銘打って惣菜売場の冷蔵ケースと常温ケースで1品250円(本体価格、以下同)相当の商品を、「おかず1品、主食1品、サラダ1品で550円」。「おかず2品、主食1品、サラダ1品で700円」という形での「組み合わせ販売」を行っている。

ルールに沿って商品を選び専用トレーか袋に入れてレジに持って行けばバンドル価格(合計金額から割引)で会計してくれる。好みや栄養バランスを考えた商品が選べる。これは魅力的な売り方だ。

「Deli Selection」コーナー(売場写真はプレオープン内覧会時のもの、以下同)

寿司は鮮魚売場に1本化した上で、生たね訴求

寿司売場は鮮魚売場に設置。鮮魚売場で生寿司、惣菜売場で冷凍たね寿司と使い分けて販売する店が多いが、ブランデ三郷店では売場を拡大して鮮魚売場に1本化している。売場が分散していないため、他の売場を気にせず寿司が販売できる。

丸魚で売られている鮮魚を使った握り寿司は魅力的だ。「生寿司はおいしいものを少しだけ」という需要もあるため、カン数は少なくてもよい。

「季節の魚介握り寿司盛合せ」(980円)。中とろ、キンキ、イサキ、カマス、コチ、マダイの6カン盛り合わせ。惣菜部門の握り寿司ではなかなか展開できない生のたねを使用。1カン当たり163円だが鮮度も味も良く、それだけの価値がある
「トロたく巻寿司(太切りたくあん)」(398円)。マグロのすき身とたくあんを巻いた中巻き寿司6カン。巻き芯が中心に来ていて見栄えも良い。寿司飯と巻き芯との味のバランスも良い。生たね寿司と組み合わせて食べればボリュームは十分ある

メンチカツとコロッケは店内で手作り

惣菜の揚げ物のばら販売コーナーでは店内製造のメンチカツとコロッケが販売されている。試食して見ればやはり冷凍の素材との違いがはっきり分かる。冷凍のデメリットは時間が経てば乾燥と酸化で食感、味が落ちてしまうことだ。その点、素材から作るメンチカツ、コロッケは素材のうま味があり、しっとりしている

「黒毛和牛入りメンチカツ」(198円)。売場の担当者に聞くと、精肉部門から黒毛和牛のひき肉を移動して野菜、調味料を混ぜてパン粉を付けて揚げたもの。ひき肉は鮮度の重要性が高いが、このメンチカツは臭みが全くなく、それだけ鮮度が良い証拠だと感じた
座る, 食品, 紙, 作品 が含まれている画像
自動的に生成された説明
「自家製コロッケ」(158円)。黒毛和牛とローズポークの合いびき肉をいため、男爵芋を加えパン粉を付けて揚げたもの。男爵芋は一加工されたものを使用し店内で合わせている

惣菜売場では代替ミートを使ったバーガーである「BEYONDBEEFバーガー」を498円で販売。冷凍ケースではコレステロールゼロ、トランス脂肪酸ゼロ、脂質50%OFF、グルテンフリー、大豆不使用の「BEYOND BEEF(200g)」が580円。同じ内容の「BEYOND BURGER(70g×2)」を580円で販売。冷凍と惣菜の2温度帯で代替肉製品を販売している。

「BEYONDBEEFバーガー」(498円)。調理済みのバーガーをインストアベーカリー売場ではなく、惣菜の洋食プレートの隣で販売している。内容が分かるように「BEYOND MEAT」のシールが貼られている
紙の上にあるサンドイッチ
自動的に生成された説明
代替ミートパティを使用。バンズはもっちとした食感で、ボリュームもたっぷりで食べ応えがある製品

お客のTPOSに合わせた4温度帯の品揃え

DELY BREADはベーカリー部門が運営するカフェ。57席のイートイン構えカフェメニューを提供している。モーニング、アフタヌーンティー、バータイムと違ったメニューを提供。

ミールメニューレギュラーは11~19時対象。ミールはカレー、パスタ、グラタン、ラタトゥイユ、ボルシチなどを提供。

デザート、ドリンクメニューは、デザートはティラミス、パンケーキ、アフタヌーンティー、ジェラート。ドリンクはコーヒー、紅茶の他にスムージーの品揃えを増やしている。

現状、米飯、スナックに関しては「今すぐに食べる⇒ホット」「今日中に食べる⇒常温」「明日、明後日に食べる⇒チルド」「いつか食べる⇒冷凍」の品揃えができるようになっている。

このように、お客のTPOS(タイム、プレース、オケージョン、ライフスタイル)に合わせた4温度帯の商品を工夫すればより豊かな食生活ができる。その意味では、ブランデ三郷店ではこの4温度帯の品揃えが実現できているといえる。

さらに4温度帯の品揃えに「カフェ、フードコート」が加わればお客の選択の幅が広がるだけでなく、飲食機会も広がる。冷凍食品も充実しているが、「フードロス対策」ではなく「おいしさ」を最優先すべきである。「おいしさ長もち」の時代になっている。

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