フーコット昭島店の「即食商品」の研究
2022.04.12
2022.03.19
生鮮3品はバックヤードを持たず自社センターの商品で対応していることが特徴だ。バックヤードを持たないことでそのスペースを売場に活用できる。
店に入ればバナナの大量陳列が目に入る。カットフルーツは品揃えされていない。鮮魚コーナーでは「ウエット感」を出すため氷に入った丸魚のばら売りはあるが、刺身の盛り合わせはない。精肉コーナーではコストコを思わせるような大型パックも品揃え。



1号店の飯能店との大きな違いは、飯能店は惣菜売場が奥にあったのに対し、昭島店は惣菜売場を主通路最後に移動した点だ。
また、飯能店で主通路最後にあった酒売場はレジ前に変更され、そのスペースには惣菜の他、パン、卵、こんにゃく、豆乳などの売場となった。パンと卵を配置することで惣菜売場の立ち寄りも高まっているように感じる。

エイビイのノウハウを参考に造られた店であるが、エイビイは店内製造の惣菜を設けないところ、あえて店内製造の惣菜を導入している。
売場の裏に小さめの製造室が設置されているようだ。作業動線は短く、弁当、丼、寿司、ピザ、揚げ物の出来たてを最短距離で売場に陳列している。価格も安いため商品は高速回転して鮮度も良い。
店内製造の商品の主な品揃えは、米飯では厚切りの「鮭西京焼きのり弁当」(349円)、「助宗だらフライ&唐揚タルタルのり弁当」(298円)、「ロースかつ重」(298円)、「天重」(369円)、ピザ(550円)の他、握り寿司や海鮮丼、揚げ物など。
ディスカウントストアでの「天ぷらの品揃え」に注目
最近では各社天ぷらセット、かき揚げ、天丼、麺と天丼のセットなどに力を入れ、よく売れている。ただし、一般的に店内で天ぷらを揚げる作業は生産性が低いという課題がある。
そうした中、フーコットはディスカウントストアでありながら天ぷらを販売し、3アイテム品揃えしている。
細かく見ると衣の「トゲ立ち」が若干少ないことから、冷凍プリフライを揚げたように見える。それであれば揚げる技術もいらず、終日天ぷらを販売できる。
かつてコロッケは冷蔵であったが、今は冷凍コロッケが当たり前になった。天ぷらも製造技術、冷凍技術が進化し出来がよくなっている。生産性の課題をクリアしながら品揃えができるという意味で、筆者は天ぷらの冷凍プリフライ化に注目している。




日配はユニークなレイアウト、ヨーグルト、乳飲料コーナーは地方の商品を定番化
日配売場は第3主通路とその近辺に和日配と洋日配をゾーニングした。洋日配は主通路壁面、和日配は内側にレイアウトした。パンと卵は主通路最後、惣菜付近に配置。
牛乳売場は第2主通路突き当たりに、後ろに冷蔵庫を構えたリーチインケースで販売。作業動線を短くしている。
特におもしろい売場は、フルーツゼリーの隣にところてん、寒天、くずきり、蜜豆を陳列し、和洋の「涼味食品」をまとめて陳列している売場だ。
さらに、常温保存可能の豆乳、紙パック飲料の隣に、こんにゃくを併設。こちらは関連性はないが冷蔵販売する必要のない商品は常温売場でまとめている。

ヨーグルトコーナーでは、アルミパックの「湯田ヨーグルト」(岩手県)2種を599円で販売。さらにドリンクヨーグルトコーナーでは、「ヤスダヨーグルト」(新潟県)、「高千穂牧場のむヨーグルト」(宮崎県)、「信州八ヶ岳高原のドリンクヨーグルト」(長野県)など地方の商品を集めて定番化。
さらに、飲料コーナーでも、「高千穂牧場カフェ・オ・レ」(宮崎県)のカフェオレや千葉県の古谷乳業「まろやかな甘さのきゃらめるらて」、「珈琲所 コメダ珈琲店まろやかミルクコーヒー」などの乳飲料を豊富に品揃えしている。


フーコット昭島店の回りには公園、あるいが原野が広がり、これから発展が望まれる地域。歩いて20分ほどのところにはイオンリテールのディスカウントストアのザ・ビッグがある。これから価格競争が起きるかもしれない。
安さを維持するための仕組みとローコストオペレーション、在庫管理が成功の鍵になりそうだ。惣菜部門は省力化を図りつつ、外部商品を含め品質を落とさないことが肝要だ。