イオンリテールが若手従業員を中心に考案した「1食完結型スープ」を販売

2022.04.12

2022.02.09

イオンリテールが若手従業員を中心としたプロジェクトチームが考案した惣菜を販売している。2月4日から順次、関東、北陸信越、東海、近畿、中四国エリアの「イオン」「イオンスタイル」約350店とネットスーパーで「もち麦とお豆のトマトスープごはん」、2月23日から「春雨と10種具材の酸辣湯」の2品の販売を開始する。2品とも本体価格で398円。

「もち麦とお豆のトマトスープごはん(スパイシー仕立て)」。鮮やかな赤色に発色したトマトスープには、6種類のスパイスとハーブを調合した香辛料を使用、スパイシーな味わいに仕上げた。歯応えのあるもち麦とヒヨコ豆など5種の豆、大豆から作ったミンチ、ブロッコリー、蒸し鶏、チーズといったさまざまな食感の具材をスープと一緒に混ぜて食べる。「飽きの来ない一品」を目指した。大豆由来のミンチからは大豆タンパクを取ることができる
「春雨と10種具材の酸辣湯」。白コショウと酢が決め手の春雨入り酸辣湯(サンラータン)スープ。豚ひき肉と10種の具材を入れた。スープにこくを出すためにオイスターソース、うま味を加えるためにシイタケの戻し汁、さっぱりとした味わいにするためにおろししょうがを入れた上で、鶏ガラで全体の味を整えた。食べたときの満足感を得られるように春雨をたっぷり入れている
冷蔵売場で販売。電子レンジ加熱前提の商品設計

ヘルパプロジェクトは2019年6月に発足した若手従業員が中心のプロジェクトで、若い世代の来店機会の創出と次世代の人材育成の推進を目的としてさまざまな部署から若手従業員を中心としたメンバーを集めている。今回、21年度で3期目を迎え、22年1月時点で13人のメンバーが活動している。

今回の商品は、「ココロもカラダもよろこぶわたしの一品」のコンセプトによる「ヘルパDELI」シリーズの第3弾となる。「ヘルパ」は「ヘルスパフォーマンス」を略したもので、「手軽に栄養がとれる」という考え方を表すとしている。

21年度はそのコンセプトの下、20代~30代の女性をターゲットに商品開発。「たっぷり食べて満足感を得たい半面、太ることが気になる」、あるいは「忙しいこともあって、栄養を豊富に取れる食事がなかなか作れない」といった意識を受け、「健康」と「満腹感」の両方を叶える「1食完結型スープ」を企画、開発した。

また、若手従業員の意見を商品に反映し、プロジェクトならではの企画、開発を実現するため、「もち麦とお豆のトマトスープごはん」開発の過程では、若手従業員の総勢約150人が試食の上、オンラインでの意見交換を重ねるなど、味や商品パッケージの改良につなげる取り組みも実施した。

開発においては、歯応えのある具材を入れてかむ回数を増やす工夫をした他、彩り豊かな食材をバランスよく使用することを心がけた。

「もち麦とお豆のトマトスープごはん」では、もち麦や豆、「春雨と10種具材の酸辣湯」では、キクラゲなどの歯応えのある具材を使用し、よくかむことを促しつつ、満腹感も得られやすくするように工夫をしている。また、赤、黄、緑など彩り豊かな具材を使用することで、見た目でも楽しむことができるようにした。

「春雨と10種具材の酸辣湯」の開発を担当した南関東カンパニー食品デリカグループの川前有里氏は、「お客さまの目線で商品の案を出すことはできても、商品に仕立てたものを工場に落とし込んで、全国で販売するところに至る過程では何度もやり取りするなど苦労した」、また、「もち麦とお豆のトマトスープごはん」の開発を担当した食品本部カフェランテ商品部の川田宮子氏は、「満足感と健康を1つの商品にすることに苦労した。タンパク質、食物繊維などを取り入れながら、満足感を出すことが難しかった。また満足感でも、個人差があるので、どこの満足感に合わせるのかも難しかった」と、それぞれ商品開発における難しさを振り返った。

次世代の人材育成の推進を目的とする本プロジェクトは、今後も第4期と続いていく見込み。実際に商品を開発し、販売まで実施するということで、担当者にとっては大きな経験となる。

人材育成の色彩を持つものの、商品開発としても将来的には「ヘルパDELI」をブランド化し、惣菜以外の冷凍食品や飲料、デザートなどへのラインロビングも視野に入れているという。

今回の商品の開発を担当した食品本部カフェランテ商品部の川田宮子氏(左)と南関東カンパニー食品デリカグループの川前有里氏(右)

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