イオンリテールがエッジAIを従業員の笑顔、発声トレーニングに導入、従業員の笑顔とあいさつ実施率が1.6倍に
2024.07.01
イオンリテールは7月からイオン、イオンスタイル、約240店で、より良いサービスを届けるための、笑顔とあいさつ向上を目的とした従業員接客教育に人材育成のためのDX(デジタルトランスフォーメーション)プロダクトを提供するInstaVRが提供する笑顔・発声トレーニングAI(人工知能)端末「スマイルくん」を導入する。
スマイルくんは、従業員の笑顔や、声量、滑舌、調子(音程)をリアルタイムにAI分析してスコアリングし、即座にフィードバックすることで、従業員の笑顔や発声をゲーム感覚で楽しみながら改善することができる端末。
サーバーと通信することなく、デバイスに搭載されたAIチップを使ってデバイス内でAI処理ができるエッジAIによる運用で、従業員の笑顔・発声の教育にエッジAIを導入する取り組みは世界初となるという。
同社ではリアル店舗の強みである接客応対を強化するための従業員教育を進める中、お客への応対の際、笑顔、発声の基準が人によって異なることで、口角が十分に上がっていなかったり、発声においては、声量が十分でない、聞きやすい滑舌になっていない、上がり調子、下がり調子が異なっていたりなど、目標とする水準に十分に達していないという課題を持っていた。
そこで2023年7月から、笑顔、発声をAIで判定し、可視化、標準化を行えるInstaVRの「スマイルくん」を採用、一部店舗となる8店、約3400人の従業員を対象に実証実験を行ってきた。実験店舗では、店頭でのお客に対する笑顔とあいさつについて3カ月間に渡ってミステリーショッパー調査を行い、スマイルくん導入による従業員の笑顔、発声の変化を追跡調査した。
その結果、実験店舗では従業員からお客さまへの笑顔と挨拶の実施率が導入前と比べて約1.6倍に向上。その結果を受け、今回、スマイルくんの導入店舗を、新入社員配属店舗を中心とした240店に拡大した。
スマイルくんの使い方は次のとおり。スマイルくんに向かって従業員があいさつをすると、450以上の顔の表情の特徴点や声量、滑舌、調子(音程)をリアルタイムにAI分析。顔、発声の完成度を評価する。目元や口元などの笑顔のポイントを100段階でスコアリングし、発声についても視覚的に即座にフィードバックするため、従業員は日々少しずつ笑顔、発声を改善することができるようになっている。
さらに評価に応じて経験値を得ることができ、一定の経験値を得るとレベルが上がる他、レベルに合わせて難易度やバリエーションが変化するなどゲームの要素も含まれているため、毎日の利用でも飽きずにトレーニングすることができるという。
企業側としては、利用状況、評価内容がデータベースで蓄積される他、即日把握できるなどデジタルで一元管理されるため、各従業員の時系列での成長の把握や店舗間や売場間でのパフォーマンス比較、レベル上位者への賞賛や表彰等を行うことでモチベーション向上に生かすといった活用の仕方ができる。