第10回「ロジカルシンキング」
2022.11.09
2021.06.30
積み上げアプローチ=ボトムアップアプローチとデザインアプローチ=トップダウンアプローチ。
いま、流行の「ロジカルシンキング」の要素に「ボトムアップアプローチ」と「トップダウンアプローチ」がありますね。この言葉から、大昔に勉強した「積み上げアプローチ」と「デザインアプローチ」を思い出しました。
在りし日の積み上げアプローチとデザインアプローチ
積み上げアプローチはFACT FINDINGが肝、現場で事実情報を漏れなく収集し、改善の取り組み策を積み上げていきます。「現場百回」という言葉があり、「分からなくなったら現場に行け」と先輩からよく言われたものです。
積み上げアプローチは新人コンサルタントが一人前になるための入口で、経営診断、事業診断、本社診断、店舗診断などテーマごとに調査手法、診断視点、まとめ方を学びました。
積み上げアプローチの良いところは調査手法が確立されているため、漏れなく取り組み策をリストアップできることでした。しかし、長い時間を要するという欠点もありました。
一方、デザインアプローチはまず、あるべき姿を描き、それに必要な要素をリストアップする手法です。しかし、あるべき姿を精緻に描くことは難易度が高く、経験を積んだベテランコンサルタントしかできないアプローチでした。
そこで、目標とする企業をあるべき姿の代替とし、その企業の売場、仕組みを研究するベンチマーキング手法が使われるようになりました。
流通業界では、「サミットのバックヤードを研究する」「イトーヨーカ堂の業革を研究する」などが一世を風靡しました。これらは皆、デザインアプローチの流れからきています。
ロジカルシンキングのボトムアップアプローチとトップダウンアプローチ
ロジカルシンキングの要素の中にMECE(ミーシー)があります。 Mutually(お互いに) Exclusive(重複せず) Collectively(全体に) Exhaustive(漏れがない)の頭文字からきています。簡単に言えば、漏れなく、重複なく取り組み策を立案することとなります。
MECE(ミーシー)のアプローチにはボトムアップアプローチとトップダウンアプローチの2つがありますね。
ボトムアップアプローチは「詳細を集めてから全体を描く」アプローチで、トップダウンアプローチは「全体から詳細を描く」アプローチです。
ボトムアップアプローチ、トップダウンアプローチとも、全体に漏れなく分析するために、普遍的な視点や物事の要素で分解したり、集合させることを求めています。これをロジックツリーと言いますね。
例えば、売上課題について、ボトムアップアプローチで詳細を集めようとするとき、売上高=単価×客数の単価と客数を詳細に要素分解して事実情報を集めます。
マーケティング課題であれば、マッカーシーの4P(プロダクト=製品価値の方向、プライス=価格戦略、プロモーション=販促戦略、プレイス=チャネル戦略)を利用してトップダウンアプローチします。
また、マーチャンダイジング課題であれば、マーチャンダイジングの要素である品揃え、展開時期、展開場所、提供価格、提供数量、売場づくりツールの6つの要素別に課題を集合させます。
積み上げアプローチとデザインアプローチ、ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチ、時代は繰り返すのだとつくづく思いました。