連載:
改めて考えたい「よく使っている言葉」の定義

第2回「インダストリアル・エンジニアリング(IE)」

2022.04.12

2020.10.28

インダストリアル・エンジニアリング(IE)は「よく使っている言葉」というより「使っていた言葉」と言った方が正確かもしれません。業務改善で有名なトヨタ、イトーヨーカ堂、サミットにはIE部(室)という部署がありました。

IEは思考力を鍛える、業務を効率化する、そしてマネジャースキル向上を支援してくれる技術です。

IEはIndustrial Engineeringの頭文字です。日本語では科学的管理技術や管理工学と呼ばれています。IEは業務の効率化、コスト削減には不可欠な技術で、業務のIT化、そしてDXの前提技術となります。

現在ではIEというとインターネットエクスプローラをイメージする人が多いでしょう。しかし、IEをしっかり活用して欲しくて、今回取り上げました。

効率化、コスト削減に不可欠なIEの領域とは

IEのスタートは、1910年米国のミッドベール製鋼会社の工場職長であったテーラーの活動です。作業効率が悪いのは作業者任せにしていることが原因と位置づけ、時間研究を中心にした科学的管理手法の概念が考案されました。

その後、ギルブレス夫妻による動作研究で動作種類の体系化とその分析手法、すなわちサーブリック分析が確立され、行程分析の基礎が出来上がりました。

IEはワークメジャメント(Work Measurement)とメソッドエンジニアリング(Methods Engineering)の2つの領域から構成されます。

ワークメジャメントはテーラーの時間研究が出発点で、「測定の技術」と言われます。狭い概念ではタイムスタディ、標準時間設定の領域を指し、広い概念では現場のいろいろな事実、問題、目標などを見える化することを指します。

一方、メソッドエンジニアリングはギルブレスの動作研究が出発点で、「改善の技術」と言われます。狭い概念では作業改善の原理を指し、例えば、動作経済の原則、前作業・本作業・後作業の原則などが代表的原則です。

広い概念ではPDCAサイクル、目標管理、業績管理などマネジメント技術の基礎領域を言います。

IEは「現場にこだわる」「問題が見えることにこだわる」「そもそもの原理にこだわる」の特徴があり、業務の効率化、コスト削減に大変貢献します。

ワークメジャメントで見える化、メソッドエンジニアリングであるべきワークフロー化

ワークメジャメントの見える化手法の代表格に「分かりやすいムダ、分かり難いムダ」の概念があります。工場では手待ちを「分かりやすいムダ」と位置づけ、手待ちを発生させることで、作業手順のムダ、在庫のムダ、ミス発生のムダなど「分かり難いムダ」の存在を明らかにします。

そうすることで、改善を進めるに当たり、問題を見えるようにすることを実現しています。トヨタの業務改善では有名な話ですね。

この「分かり易いムダ」は小売業では歩行です。発生している歩行に着目することで、品出し作業の段取りが悪い、発注作業の段取りが悪い、加工作業の段取りが悪いなど「分かり難いムダ」の存在を見える化し、なぜ、その歩行が発生しているのかと分析することで、業務改善活動を促進し、効率アップに貢献します。

また、メソッドエンジニアリングの改善原理である「廃止、簡素化、標準化、計画化」を使用することで、業務のIT化のためのあるべきワークフローが作りやすくなります。

廃止は業務の目的を問うことです。業務の目的があいまいならば止めるということです。業務の目的が適切で業務として存在させるならば、その業務は簡単かと問うのが簡素化です。簡素化された業務は方法の種類は少なければ少ないほどいいので、標準化します。その後、ピーク時業務量とオフ時業務量の差を最小化するため、計画化します。

業務目的があいまいなものをIT化したら、ムダな業務をIT化することになります。簡素化されていない業務をIT化すれば、システムが複雑になります。標準化されていない業務をIT化すれば、システムの種類が増えます。計画化されていない業務をIT化すれば、ピークに合わせたシステムとなり、必要容量が増えてしまいます。「廃止、簡素化、標準化、計画化」をしないIT化は効率の悪いシステムとなってしまうでしょう。

しかし、「廃止、簡素化、標準化、計画化」した後のワークフローはシンプルで、効率化、コスト削減に貢献できるものになるはずです。

IEはこれから経営革新技術を学ぶ若い人にとって、大変貴重な基礎技術となるはずです。是非、IEに興味を持って、情報収集し、自社業務の効率化、コスト削減を実現してください。そして、IT化、またその先のDXを成功させてください。

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