リアル店舗の便利さと楽しさを追求する カインズ 高家正行社長
2026.02.17

ホームセンター(HC)業界ナンバーワンの年商規模を持つカインズは、オリジナル商品の開発やITへの注力などでHCそのものの可能性を拡張してきたリーディングカンパニーといえる。大型店を主力に約260店展開されるカインズの売場は、オリジナル商品の打ち出しや独自の売場開発の結果、独自性の高いものになっている。2022年には都市部で個性的なフォーマットを展開していた旧・東急ハンズ(現・ハンズ)をグループに加え、出店フォーマットという意味でもさらに独自性が高まることになった。
そのカインズが「次世代型店舗」と銘打つ新たなフォーマットの初号店としてカインズ 吉川美南店(埼玉県吉川市)を25年12月11日、グランドオープンさせた。24時間無人営業のミニホームセンターを併設するなど、直近の第3創業期に育んできた施策を結集させた店舗として同社としても非常に力が入る。「このお店は約260店の中の1店舗ではあるが、それ以上に、次のカインズをつくっていくという大きな意味合いを持っているお店」と強調する代表取締役社長 CEOの高家正行(たかや・まさゆき)氏に、改めて吉川美南店の位置づけと小売業としての未来について聞いた。
立ち上げ期間は通常店の3倍、3年がかりのプロジェクト
今回、このタイミングでの次世代型店舗のオープンになった背景はどこにあるのか。
「時期に何か意図があるわけではありません。構想をずっと練っていく中で、当然、どこかの新店でやろうというときに、いろいろな要素を検討して、この吉川美南の新店でやるのがいいだろうということになりました。カインズは通常の店はおよそ1年間で立ち上げるというサイクルで次々に新しい店を立ち上げてきましたが、この店だけは立ち上げるのに約3年間の準備期間をかけました」
今回、3年間がかりのプロジェクトが形になったわけだが、当然、そこに至るまでにはHCとしてのカインズの長年に渡る積み重ねがある。
「カインズは1978年、いせやホームセンター1号店を栃木にオープンしたことから始まりました。そのときは、『何でもある』ということを武器に、大きなお店を日本の中でたくさんつくっていくことで、地域社会に貢献をしてきました。
人々のくらしも日本経済も豊かになっていく中で、2007年に『SPA(製造小売業)宣言』を行い、カインズでしか買えないもの、良いものがあるということを目指してきました。そしてさらに2018年、『IT小売業宣言』を行い、買物体験そのものを手軽に、便利に、『わずらわしさなく買物ができる』ということを目指してきました。そして2019年に『PROJECT KINDNESS(プロジェクト・カインドネス)』(3カ年の中期経営計画)をスタートしました。これが創業来の大きな流れです。
この間カインズは、カインズの価値そのものを変えてきたというよりも、いままでつくり上げてきたものの上に、1つ1つ、新しい価値を乗せてきたと考えています。大きなお店をたくさんつくり、その上にカインズでしか買えないものを加え、そして2019年からはお客さまの買物体験をより良くしていこうということを加えて、ここまで取り組んで来ました。
このPROJECT KINDNESSをスタートして以降の取り組みが、この吉川美南店に大きくつながっています。PROJECT KINDNESSがスタートした翌年の 2020年にはデジタルやIT推進の拠点となる『カインズ イノベーション・ハブ』を立ち上げました。カインズはITやデジタルを単なる効率化の手段にとどめず、お客さまの買物体験をより楽しくしていく、あるいはくらしそのものをより良くしていくために、さまざまなサービスをこれまで開発し、いまでも開発を進めています。
また、2年後の2022年には『カインズビジョン2030』として、『くらしDIY』をブランドコンセプトとして掲げました。私という個人のくらしから、家族のくらし、さらには地域のくらしにまで広げて考え、そのくらしをカインズは良くしていく。創意工夫で自分らしく、そして楽しくくらしをDIY(ドゥイットユアセルフ)していこうというのが、この『くらしDIY』というブランドコンセプトに込められた思いです。
そして翌2023年、商品の面において『プロダクトブランド』をスタートしました。従来はカインズブランドという1つのブランドでオリジナル商品をお届けしてきたのですが、この年以降、8つのプロダクトブランドを掲げています。
吉川美南店は、PROJECT KINDNESSがスタートして以降、約6年に渡るさまざまな取り組みを全て集約させて、新しいカインズをスタートさせるための、まさに次世代型店舗のスタートラインの店であるということです」
一方で、吉川美南店は一見、売場面積で約1万2300㎡(3721坪)の大型HCということで、店内の雰囲気は既存店と大きくは変わらない。同店が次世代型店であることはどのような形で表れているのか。
「例えばドラッグストアを展開するなど、業態を変えれば全く違うカインズになるわけですが、そうでもない限り、HCという意味ではカテゴリーが大きく変わるわけではありません。
これまでも新しい志向を入れた店はたくさん出していて、広島LECT店(広島市西区、17年4月オープン)や、朝霞店(埼玉県朝霞市、20年11月オープン)があるわけですが、そうした店でも売場が劇的に変わったわけではありません。
売場を通した顧客価値と、売場では見えないチェーンストアオペレーションが変わるということと、これによってさらに人の働き方が変わっていくというところが、店が大きく変わっていくインパクトなので、次世代型と呼んでいます。
カインズが次世代型店舗で実現していきたいことは3つあります。まず1つ目は、何と言っても新しい顧客価値。2つ目は、次世代型のチェーンストアオペレーションです。チェーンストアオペレーションは、なかなかお店だけを見ても分かるものではないのですが、店を運営するためのチェーンストアのエンドトゥエンド(端から端まで)のオペレーションについて、この店から新しいものを実現していきたいと考えています。そして3つ目が、この店舗で働くメンバーの新たな成長を実現したいということです。
まず1つ目の新しい顧客価値について。これまでも取り組んでいるように、カインズはくらしを良くするための価値を訴求することと、そしてくらしを支える価格、安さを訴求することの2つで、お客さまにとっての価値をつくってきました。これはこれからも続けていくものですが、吉川美南店において、『カインズがいま提供できる価値と価格』の全てをお客さまに伝えていきたいと考えています。
まずは、リアルとオンラインを融合した顧客体験です。約260店舗あるリアル店舗、そしてこれまでつくってきたカインズ独自のメディア、あるいはEコマースなどを使って、リアルとオンラインが融合した顧客体験をこの吉川美南店においても実現したいと考えています。
リアルとオンラインの融合に関しては、小売業の中ではいち早く『となりのカインズさん』というオウンドメディアをスタートしています。いまでは多くのお客さまにお越しいただいている大きなメディアに発展しました。さらに、お客さま同士がつながっていく、あるいはカインズとお客さまがつながっていくような、双方向のコミュニティとして『くらシェア』を先日立ち上げましたが、このようなコミュニティも店舗で活用できるようになっています。
また、DIYについては、これまでもCAINZ DIY Squareという場所やコミュニティの提供などに取り組んできました。さらに、オーダーカットした組み立て家具を提供するCAINZ DIY MARKET(CDM)のサービスもスタートしています。
また、従来からカインズ会員として、アプリを中心にお客さまとつながっていますが、最近は例えば、ペットのオーナーさまのコミュニティをつくるためのPet’s One(ペッツワン)メンバーズのようなコミュニティもつくり始めています。
さらに、地域社会とつながる、地域のくらしを良くするという『くみまち構想(地域との共創の取り組み)』を掲げていますが、この吉川美南店の中2階には『くみまちコミュニティスペース』を(埼玉県)吉川市と共同で設置しました。このようなスペースを活用して地域のくらしを良くすることにも取り組んでいます。こうして、さまざまなコニュミティをリアルの店舗だけでなく、オンラインも融合させてつくっていく。これが、われわれが次世代型店舗で実現したいことです。
また、カインズの価値は、主にオリジナル商品でつくってきたと言えると思います。2007年にSPA宣言を出して以降のオリジナル商品の開発規模は約2.5倍の売上を挙げるまでに成長しています。
価格の訴求に関しては、2025年12月3日に『ロープライス保証』をスタートしました。実はカインズは約30年前にロープライス保証を実施していますが、今回のロープライス保証は、いまの時代に合わせて30年前とは異なる形で、お客さまのくらしをロープライスで支えていこうという取り組みです」



約20%の生産性向上を目指す
これまで培ったさまざまな価値の提供と併せ、価格にもこだわる姿勢もみえる。このタイミングでロープライス保証をする背景には何があるのか。
「マクロの消費環境でいうと、物価は上がっていって、また、非常に二極化している。お客さまの価格に対する感応度、センシティビティがものすごく高くなっている状況だと思います。そのため、カインズも改めて安さをきちっと保証するという意味で、2000点超の商品について『ロープライス保証』を行うことにしました。
他店と比べてカインズの売価が高かった場合に、その差額をポイントでお返しするのが基本的な仕組みです。市町村などで区切ったエリア内の他店を対象にしたり、他店のチラシを持ってきていただく等のお願いをしたりする他、期間限定の特価などは対象外とするなど、幾つかの決めごとを設けています」
マーケットの中でプライスリーダーではありたいという思いはあるのか。
「それはあります。厳しい競争ですが、勝っていきたいと思います」
低価格を実現する意味でも、チェーンストアオペレーションは大きな要素といえる。同社が次世代型店舗で実現したいことの2つ目である「次世代型のチェーンストアオペレーションの中身とは。
「次世代型のチェーンストアオペレーションを実現することで、吉川美南店では同じ規模の店舗と比べて、約20%の生産性向上を目指しています。また、それを通じて、カインズ全体のチェーンストアのオペレーション、モデルを変えていきたいと考えています。
具体的には、1つ目はAMR(Autonomous Mobile Robot)と呼ばれている、自動搬送走行ロボットです。物流センターでは盛んに使われているものですが、店舗で活用する例は日本の中でもなかなかないかと思います。夜間に物流センターから店舗に荷物を納品し、夜間のうちにAMRが売場近くの通路まで自動的にかご車を運んでくれます。
従来のやり方では、店舗のメンバーがバックヤードから通路までかご車を運んでいき、そこで品出しをするという作業が発生しますが、品出しが必要な商品のかご車を各通路に設置するところまでAMRがやってくれるので、店舗メンバーは朝出勤してすぐ品出しができます。これまで幾つかの店舗で実験をしていますが、月間で約100時間の人時の削減が期待できます。
2つ目は電子棚札です。電子棚札そのものは、小売業の中でもそれほど目新しいものではないと思います。しかしながら、カインズのような大きな店で電子棚札を入れるのはなかなか投資コストがかかる中で、チェーンストアの中でも利用実績はそれほど多くないと思っています。
売場をつくるとき、必ず商品の値札を入れ替える、新しく設置する作業が起こるわけですが、電子棚札によってこの作業が大きく削減できます。10万点規模のたくさんの商品を持っているカインズにおいては、作業の効率化の効果は非常に大きいものがあります。これも、いままで実験している店舗では月間150時間ぐらいの人時が削減できるという成果が出ています。
また、バックヤードには移動ラックを設置しています。これも倉庫などではよく使われている従来からのマテハン機器ではありますが、小売店で使う例はあまりないかと思います。これによって、店舗のバックの商品の積載効率が2倍弱ぐらいまで上がっています。実はこれを実現するには店舗だけではなく、本部とのさまざまなデータの連携が必要でした。物流センターのデータと店舗のデータがつながる、あるいは本部の商品部が持っているデータがつながるといったように、データがつながってこそ、このような効率化が実現できるわけです。
これもひとえにカインズがこれまでデジタルを中心とした取り組みをする中で、さまざまなデータを整備し、データをつなげることによって実現できることです。吉川美南店で取り組みをスタートすること、これが新しい次世代のチェーンストアオペレーションをつくる第一歩になると思っています」



これらの取り組みからは、次世代型のチェーンストアオペレーションがデジタルを始めとするテクノロジーによって支えられ、結果として人時が削減される効果を生むことが期待されていることが分かる。そうなると、当然、従業員の働き方も変わってくることになるだろう。次世代型店舗が実現を目指す3つ目の要素である従業員の「成長」は、その辺りにも関係があるはずだ。
「さまざまなデジタル、場合によってはAI(人工知能)を使うことによって、吉川美南店の店舗メンバーの働き方は、カインズの既存のお店の働き方と大きく変わってきます。当然、役割が変わります。仕事の中身が変わります。作業の仕方が変わります。これらを新しく設計しています。
それが1人1人のメンバーの業務の付加価値を向上させることになり、それが引いてはそのメンバーの必要なスキル、あるいは働き方が向上していくことにつながり、それがそのメンバー1人1人の成長につながっていく。
ですので吉川美南店は、単に新しいテクノロジーが入ったお店と言うことではありません。楽しい、ワクワクする顧客体験を併せて実現し、さらに1人1人は働くメンバー自身の業務価値を上げ、成長を促していく。次世代型店舗では、こうしたところまで実現をしていくということです」
次世代型店舗を担う人材に対し、高家社長が期待することは。
「これは、小売りやHCに限らずだと思いますが、『変化をつくれる人』、また、『自律して考えられる人』になってほしいと思います。『過去がこうだったから、いまもこうです』ということではなく、そこに変化をつくったり、自分で考えて、自分で決められたりする人であることが重要だと思っています」
リアル店舗の価値は必ず残る
取り組みを結集させた吉川美南店でいったん具現化された次世代型店舗だが、今後、既存店、あるいは新店への水平展開など、拡大の方向性をどのように描くのか。
「吉川美南店は決して完成形ではありません。ようやくスタートラインに立ったということだと思います。このコピーの店をどんどん作っていくというよりも、さまざまな進化を遂げていきながら、一歩ずつ、カインズの次世代型店をつくっていき、その次世代型店舗としての要素を既存の約260店や、これからできる新しい店に入れていきたいと思っています」
HCも競争が激化し、また日本の人口自体も減少する中、特に大型店を出店する余地が少なくなっている現実がある。
「そうですね。ただ、カインズの強みは大型店にありますので、出店は続けていこうと思っています。もちろん、どこに出しても競合は必ず近くにいるわけですが、カインズというブランドや商品をお届けできていないエリアはまだまだありますので、国内の出店の余地はまだあると思っています」
そうした意味でも、同じHCに位置づけられる中にあっても、独自性をいかに打ち出せるかが重要になる。一方で、シェアを上げるためには小型店も重要になる。実際、カインズとしてはグループ企業のハンズの要素も生かしながら、商業施設に出店する小型店などマルチフォーマット追求の動きもある。
「それもやっていきます。大型店は都市部では用地確保が難しいので、より都市部に出ていこうとすると、商業施設に入る3分の1、4分の1サイズや、業態を特化したプロ専門の『シーズプロ』、もっと特化したリフォームだけの店舗や、もしかするとモバイルストアだけで出ていくなど。そういった形態はこれからも追求していこうと思います。(大型店と小型店)両方やっていきます」


小売業界ではEコマースのシェアが高まってきている。さらに日本では人口が減少する中、各地域に実際に店を構えて営業するリアル店舗の意義、リスクを改めて問う向きもある。
「カインズは10年後も、20年後も、リアル店舗のプレーヤーであることは変わらないと思っています。ただし、リアル店舗と一口に言っても、いまの形態だけのリアル店舗かというと、多分、そうではなくなってくる。
ですので、いろいろな形態の店舗を実験しています。あるいは、買物に来られなくなった方々のために、『くみまち構想』の中で行政と連携しながら移動手段を提供するなどもしています。
将来、Eコマースが100%になるかというと、多分、ならないと思うんですね。リアル店舗の価値は必ず残る。だけど、それはいまの価値と変わったものになる。より一層の便利さの追求と、リアルでしか味わえない楽しさとかワクワク感。そこにどんどん特化していくんだと思うんです。
便利さと楽しさの両方をいま追及しているわけですが、モバイルストアのように究極の便利さを追求した店舗という形態もあるし、究極の楽しさを追求した店舗みたいなものもあるかもしれない。
その具体的な形は、いまはまだ予想できませんが、いずれにしてもリアル店舗は絶対残ると思いますし、カインズはリアル店舗が核だと思っています」
一方で人口減に入っている日本のマーケットはシェアの奪い合いの様相が濃くなっていく。新たなマーケットとして海外での事業展開については視野に入っているのだろうか。
「常に頭の片隅にはあり、検討は進めています。店舗を出せたら良いですし、商品については、(グループ企業の)ハンズがシンガポールと台湾に店舗を持っていて、カインズのオリジナル商品を試行的に販売していますので、カインズ商品に対するその国の人たちの反応についてはだんだん、データが集まってきています」
目下、円安傾向にある。日本の製品は割安感という点でも競争力がある。
「割安の面もありますが、カインズ商品のデザイン価値、機能価値などに対して評価をしてくれていると考えています。くらしをより良くする商品ということで勝負していきたいと思います」
重視するのは「持続的な成長」
カインズでは品揃えとして、「食品」の取り扱いも少なくない。HCとしての食品の位置づけについては、どう考えるのだろうか。
「(グループ企業の)ベイシアと違って、生鮮はやっていません。基本的には加工された食品ですが、『くらしDIY』というコンセプトからすると、加工食品の中でカインズが扱っていいものはたくさんあると思っています。
いままでは、例えばお酒をたくさん売り、また、お酒にかかわるお酒のつまみなどを売るというくらいの広がりにとどまっていました。
いまは健康ブームですから、例えば身体に良い食品や、ヘルスケアとして飲んだり食べたりする食品など、加工食品のレベルでいろんなジャンルに広げていっています。既存の店よりはだいぶ食品の売場が広がってきているかなと思っています」


ベイシアグループの一角を占めるカインズだが、実際のところ、グループとしての連動は共同出店以外、あまり見られない。
「ベイシアグループは『ハリネズミ経営(各社がハリネズミの針のように強みを尖らせていくグループ経営の在り方)』として個社が尖っていくことを目指しています。お互いに調整するといったことはやっていません。時にライバルとなることもあり得ると。例えば、ワークマンとカインズは作業服ではライバルです」
一方で、前述のようにカインズとして2020年1月、東京・表参道にデジタル拠点の「カインズ イノベーション・ハブ」を開設したが、その機能を23年3月にグループ各社が利用可能で、さらにデジタルトランスフォーメーション(DX)にとどまらないさまざまな変革をもたらす場所として「青山イノベーション・ハブ」に発展的に移転、リニューアルしている。
「個社が尖っていくとは言いながらも、グループ共通でやるとより強くなるだろうという領域は必ずあります。イノベーションや、デジタル領域、AI(人工知能)などはその1つだと思います。
それで、カインズ イノベーション・ハブからベイシアグループの青山イノベーション・ハブにして、デジタルやAIなどは、そこを拠点にどんどんやっていこうという形です」
今回、これらの成果を生かした次世代型店を出店したわけだが、これはグループの他社にも波及していくのか。
「情報交換などは、いろいろなレベルでやっていますが、どちらかというと、カインズが先行してやり、うまくいったらグループ各社に広げるというパターンが多いとは思います。カインズの役割としては、これが大きいかなとは思いますね」
高家社長は銀行やコンサルティング会社などを経て2016年にカインズ取締役に就任し、19年、ベイシア創業家出身で、長らくカインズ社長を務めた土屋裕雅会長から社長を引き継いだ専門経営者である。カインズに参画してから約10年になるが、インタビューの最後に社長として日々、どのような数字に注目しているのかを聞いてみた。
「数値はもちろん全部見ていますが、やはり、『持続的な成長』は重要だと思っています。いまはとにかく変化が続いている状況です。カインズも常に変化し続けて、結果として成長が持続できる会社をいかにつくるか、あるいはそういうモデルをいかにつくるか。これが経営者としては一番大事な使命かなと思っています」
企業としてどのような事業を、どのようなマーケットで行っていくかということに加え、それを実践するための組織づくりなど、「持続的な成長」を遂げていくため今後の戦略が注目される。今回の次世代型店舗はそのための1つであるが、グループとしての戦略と併せ、これからのカインズの一挙手一投足は、今後の日本の小売業界全体にとってもそのビジネスモデルを考える上で大いに示唆を与えてくれるものとなるはずだ。










