SDGsとは?国内企業の取り組み事例などを交えて解説
2023.01.05
2022.10.28
SDGsとは国際目標として国連サミットで定められた「持続可能な開発目標」のこと。SDGsはビジネスとも関わりが深く、企業においてもSDGsへの取り組みは重要だ。
本記事では、SDGsとはそもそもどのような目標なのかや、実際にSDGsに取り組んでいる企業の事例を紹介していく。
目次
SDGs とは
「SDGs」とは持続可能な開発目標
「SDGs」とは「Sustainable Development Goals」の略で、「持続可能な開発目標」のこと。「2030年までに持続可能でより良い世界を目指す」という、2015年9月の国連サミットで決まった国際目標で、発展途上国と先進国が共に取り組んでいく。SDGsは17の目標と169のターゲットで構成され、「誰一人取り残さない」ことを誓っている。
日本では、2016年にSDGs推進本部が設置され、「SDGs実施指針」として優先すべき8つの課題が挙げられている。この課題に対し、具体策として「SDGsアクションプラン」が策定されている。
また、SDGsに優れた取り組みを行う企業や団体を表彰する「ジャパンSDGsアワード」も実施している。
SDGsの17のゴール
SDGsには、人権や社会、経済、地球環境などの17のゴールが設定されている。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs が求められる背景
SDGsには前身である「MDGs」の「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)」がある。MDGsでは、貧困や飢餓の撲滅、HIVやマラリアなどの蔓延防止、乳幼児の死亡率削減など発展途上国を対象とした開発目標が設定された。
しかし仕組み作りを行ったのは先進国だったため、途上国の声がなかなか反映されなかった。結果は、一定の成果を達成したものの「乳幼児や妊産婦の死亡率削減」は未達成となった。
そしてMDGsは2015年に期限を迎え、後に先進国と途上国の両者が一緒に達成していく「SDGs」が掲げられることとなる。
SDGs の企業の取り組み事例
SDGsは国だけでなく、企業や個人で取り組むことが非常に重要だ。ここではジャパンSDGsアワードを受賞した企業など、10社のSDGsの取り組みを紹介していく。
セブン-イレブン
セブン&アイHLDGS.では、7つの重点課題をかかげ、それぞれに対応するSDGsの項目を挙げて取り組んでいる。
重点課題2「安全・安心で健康に配慮した商品・サービスを提供する」
・地域の原材料を使用し商品を開発
地域の原材料を地元で使用する「地産地消」の取り組みをしている。地元産の食材を地域の工場で生産し、地元のお客様に購入していただくことで「地域創生」に繋げている。また、食料の輸送による消費エネルギーである「フードマイレージ」の減少にも貢献。
重点課題3 「地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する」
・共同配送で環境負荷を低減
1974年の創業当時はメーカーごとに商品配送を行っていて、1店舗につき1日に70台のトラックで運んでいたが、違うメーカーの商品も1台で運ぶことで、2005年以降は1店舗あたり1日9台のトラックでの配送となった。
重点課題4「多様な人々が活躍できる社会を実現する」
・「セブンなないろ保育園」の開園
育児をしながら働きたい方向けに、東京都大田区、広島県広島市、宮城県仙台市の3か所で保育園を開園。オーナー、従業員はもちろん地域の方も利用できる企業内保育園となっている。
イオンモール
イオンモールでは、「楽しく学ぼう」、「やさしい暮らし」、「街のみんなと一緒に」、「元気な未来を」、「みんな大切な仲間」、「衣料品回収幸服リレー」、「食べ物って大事!」の7つテーマを掲げ、地域、店舗ごとにSDGsの取り組みを実施。店舗ごとにSDGsに関するイベントを開催し、お客様にもSDGsを発信している。
・衣料品回収幸服リレー
日本環境設計株式会社のリサイクルプロジェクト「BRING™」と連携して衣料品の回収し、再生資源にリサイクル。そこから新たな衣料品を作っている。また、回収された衣料品で着られるものは寄付・リユースも行っている。2022年11月12(金)〜11月30日(火)の期間中、全国130のイオンモールで幸服リレーを開催予定だ。
・店舗イベント イオンモール津南「みんなでフードロスをなくそう!食べ残しゼロチャレンジ」
2022年9月25日(土)~10月10日(日)、イオンモール津南では「いつもの量を少なめで!」、もしくは「のこさず完食!」のどちらかのコースで、ペロリ券がもらえる。2枚集めると、2,000円以上のお買い物で利用できる「イオンモール津南専門店お買物500円券」をプレゼント。飲食店でしてしまう食べ残しに意識を向けて、毎日の食事を見直すきっかけになってほしいという思いがある。
ソフトバンク
ソフトバンクでは「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」をSDGsコンセプトに掲げ、事業を通じた社会課題解決、企業活動を通じた社会課題解決に「DXによる社会・産業の構築」などそれぞれ3つずつアクションを設定している。
・女性管理職比率20%を目指す
管理職の女性比率を2035年までに20%にするという目標を掲げ、達成のために「女性活躍推進委員会」を発足させた。女性キャリアに関するワークショップや、女性管理職からアドバイスを受けられるメンタープログラム、全社員を対象としたアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に関するeラーニングなどを行っている。
・高精度測位サービス「ichimill」を活用し、水位計でため池を守る
ソフトバンクが提供する高精度測位サービスの「ichimill」を活用。各地の自治体や技術部門と連携し、農業用のため池の監視に活かしている。ため池は洪水を防ぐ役割もあるが、水位の監視は目視で行っているため、雨量の多い日にため池を見に行くことで増水に巻き込まれる事故が発生しているという。そこで、センサーを乗せた無人の小舟をため池に浮かべ、水位の情報をリアルタイムで上げていくサービスを開始した。
佐川急便
佐川急便では「進化した物流ソリューションの提供」や「資源循環」、「気候変動」などの7つのテーマからSDGsに取り組んでいる。
「進化した物流ソリューションの提供」
・館内物流システム
大型複合施設やオフィスビルなどの「館内物流システム」を提供している。館内物流システムは「人・モノ・車・情報・施設保全」の一元管理を行うシステムだ。納品車両、搬入導線、貨物用エレベーターの運行調整といった管理ができる。スムーズな搬入や、施設の周辺の渋滞を緩和すること、待機車両のよる排気ガスの削減に繋がる。
「資源循環」
・エコマーク認定商品のユニフォーム
セールスドライバー®が着用するユニフォームは、エコマーク認定商品のもの。ペットボトルをリサイクルした再生ポリエステルを使用し作られているもので、500mlのペットボトルを半袖で6本、長袖で8本再利用している。また、使用済みのユニフォームでまだ着られるものはリユースを、着られないものは製鉄用の燃料としてリサイクルしている。
阪神阪急ホールディングス
2020年5月に発表した「阪急阪神ホールディングスグループ サステナビリティ宣言」で定めたサステナブル経営の6つのテーマに沿ってSDGsに取り組んでいる
「安全・安心の追求」
・防災・減災に向けた取組の推進と災害発生時の迅速かつ適切な対応
鉄道事業において地震、台風、豪雨といった自然災害を想定し、ハード面の整備、運航情報の発信強化、対応訓練を行っている。不動産事業では、建物等のハード面の整備、地域・人々との繋がりや防災力を向上させるソフト面の取り組みを行っている。
「豊かなまちづくり」
・まちなかミマモルメの設置
地域全体でお子さんや高齢者の方を見守るサポートを行うために、街のカメラとビーコンのインフラ網、ボランティアアプリを利用し「まちなかミマモルメ」というシステムを自治体に提供。小型の端末機を持ち歩き、交差点などに設置された電波受信器を通るとアプリで通知がいくシステムだ。万が一迷子になったときは、ミマモルメアプリから、まちのボランティアの方に連絡が行き、捜索の協力要請ができる。
富士通
富士通はパーパスに「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」を掲げている。また、2021年にSDGsの達成に貢献するため、ビジネスを通じ、社会課題を解決する新事業ブランドの「Fujitsu Uvance」を発表した。第4回ジャパンSDGsアワードでは「SDGsパートナーシップ賞」を受賞している。
・ 5G・VR等の先端技術を活用した遠隔校外学習プロジェクト
病気などで校外学習に参加できない児童を対象に5Gdでの高精細映像伝送、VR、水中ドローンなどの先端技術で、水族館と病院内学級をリアルタイムで結ぶ遠隔校外学習を行った。コロナ禍で遠隔教育が普及し、誰一人取り残さないための教育指導方法として世界で活用できる等の評価を受けている。
ユーグレナ
ユーグレナでは、事業を通したサステナビリティ達成への挑戦と、持続的な事業活動を支えるサステナブル経営を行っている。第5回ジャパンSDGsアワードでは、SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞した。
・バングラデシュの貧困農家の収入増とロヒンギャ難民への食糧支援等を実現
バングラデシュの貧困農家に、緑豆の栽培方法を伝授し、収穫された緑豆を市場価格より高く購入。半分は日本に輸出し、残りの半分は現地の貧困層に原価で販売をし、雇用の創出と所得増に繋げた。
また、国連世界食糧計画(WFP )と連携をし、ミャンマー・ラカイン州からの難民である「ロヒンギャ」難民へ食糧を供給。さらに現地貧困農家に栽培の指導や、獲れた作物の購入、難民キャンプの近隣にある小規模農家2000人を雇用した。また2年間で3万人の難民に対し、1年半分相当の緑豆を供給した。
日本フードエコロジーセンター
「食品ロスに新たな価値を」という企業理念の日本フードエコロジーセンターでは、SDGsの17のゴールのうち、6つの目標に貢献している。第2回ジャパンSDGsアワードでは、SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞。
・食品廃棄物を有効活用した「リキッド発酵飼料」を開発
産学官連携で、食品廃棄物を有効活用した「リキッド発酵飼料(リキッド・エコフィード)」を開発した。食品廃棄物から良質な飼料を製造することで、輸入飼料の代替となり、飼料自給率の向上に繋がる。さらに穀物の相場に影響を受けにくい畜産経営にも貢献。また、エコフィードを一定以上用いて飼養された豚肉をブランド化。養豚事業、製造業、小売、消費者を合わせたリサイクルループを構築した。
みんな電力株式会社
みんな電力では、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの提供を行っている。第4回ジャパンSDGsアワードでは、SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞した。
・再生可能エネルギーを通じ、地域循環共生圏を構築
2019年にエネルギーの大消費地の神奈川県横浜市と、再生可能エネルギーが豊富な青森県横浜町を電気で結ぶ「横横プロジェクト」を開始した。再生可能エネルギーを通じて地域循環共生圏を構築に繋げている。
・電力トレーサビリティシステムの商用化
世界で初めてブロックチェーンを活用した電力トレーサビリティシステムの商用化を行った。「どの発電所からどれだけの電気を買ったか」を可視化できるシステムだ。
吉本興業
吉本興業では、イベントやメディア、コンテンツ等と連動したSDGsの取り組みを行っている。第1回ジャパンSDGsアワードではSDGsパートナーシップ賞(特別賞)を受賞した。
・イベントやメディアを通したSDGsの発信
SDGsを発信するために、企業等での研修の一環としてオンラインでのワークショップや講演といったSDGsコンテンツ企画を行っている。また、国連とのコラボによりSDGs活動を広めるため、ショートコント風に人気芸人がSDGsを語る映像も作成。SDGsをテーマにしたお笑いのコンテスト「SDGs-1グランプリ」も開催された。
企業のSDGs取り組みはさまざま
SDGsは国や地域だけでなく企業や団体が協力をしないと達成できない目標で、SDGsに積極的に取り組む企業は多い。その企業にしかできない取り組みが行われており内容もさまざまだ。各企業がどのようなSDGsの取り組みを行っているのか注目してみてはいかがだろうか。